テラーノベル
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最終試験会場。 静寂に包まれた広間。 試合は順調に進み、合格者も少しずつ決まり始めていた。 そして。 キルアの前に現れたのは―― ギタラクル。
ギタラクル
次の瞬間。 ギタラクルは顔に刺さっていた針を一本ずつ抜き始めた。 ぐにゃり、と歪む顔。 骨格。 筋肉。 表情。 全てが変化していく。 現れた本来の姿。 イルミ=ゾルディック。
キルア
キルアの顔から血の気が引く。 体が小さく震え始める。
キルア
その声には、明らかな怯えが混じっていた。 イルミの黒い瞳が、静かに弟を見下ろす。
イルミ
キルア
イルミ
キルアは俯き、肩を震わせる。
キルア
イルミ
会場が静まり返る。 その時。
シオン
全員の視線が集まった。 シオンだった。
イルミ
シオン
イルミは静かにシオンを見る。
イルミ
シオン
イルミ
イルミの目が少しだけ細くなる。
イルミ
シオン
シオンは珍しく眉を寄せていた。
シオン
沈黙。 会場全体が凍る。 そして。
ヒソカ
ヒソカが吹き出した。
ヒソカ
イルミは無言。 しかし。 わずかに困ったような顔をしていた。 その様子を見ていたネテロ会長が笑う。
ネテロ会長
シオン
ネテロ会長
シオン
シオンは少しだけ目を伏せる。
シオン
視線の先。 怯えきった表情で俯くキルア。
シオン
ヒソカの笑顔が止まる。
ヒソカ
イルミも少し驚いたように目を瞬かせた。
イルミ
シオン
イルミ
試合開始。 開始の合図と同時。 イルミの姿が消えた。
シオン
次の瞬間。 シオンの背後。 シュッ!! 無数の針が放たれる。 しかし。 シオンの体が猫のようにしなる。 紙一重。 一本も当たらない。
シオン
猫影装(キャット・シャドウ) 気配を薄くしながら、床を滑るように移動する。
イルミの目がわずかに細くなる。
イルミ
再び針。 今度は正面からではない。 天井。 壁。 床。 死角から同時に飛来する。 シオンは第一段階を発動。 視覚。 聴覚。 嗅覚。 全てが研ぎ澄まされる。 キィン―― 空気を裂く音。 針の軌道。 イルミの呼吸。 全てが見える。
シオン
ガキン!! 爪で針を弾く。 しかし。
シオン
その瞬間。 イルミ本人が目の前にいた。 ドン!! 掌底。 シオンの体が吹き飛ぶ。 壁に激突。
シオン
イルミは感情のない声で言う。
イルミ
再び接近。 今度は近接戦。 イルミの動きは無駄がない。 暗殺一家長男。 一撃一撃が急所を狙っている。 シオンも第二段階を発動。 腕が獣のように変化する。 爪。 筋力。 反射速度。 全てが上昇。 ガガガガッ!! 爪と針が激しくぶつかる。 火花。 衝撃。 しかし。 徐々に押され始める。
第二段階:部分獣化 腕だけ狼 足だけ豹
シオン
シオン
キルアを見る。 まだ震えている。
シオン
ズズズ…… オーラが変わる。 第三段階――半獣化。 耳。 瞳。 牙。 全身の筋肉が膨れ上がる。 会場の空気が変わった。
第三段階:半獣化 全能力大幅上昇
ヒソカ
ヒソカが立ち上がる。
キルア
ネテロ会長が目を細める。
ネテロ会長
シオン
シオンは静かに歌い始めた。 透き通る声。 優しい旋律。
しかし。 その歌に合わせるようにオーラが膨れ上がる。
『戦奏領域』 第一楽章。
身体能力上昇。 イルミの目が初めて大きく開かれる。
イルミ
イルミは一気に距離を詰める。 針。 蹴り。 掌底。 連撃。 だが。 今度はシオンが上回る。 ガッ!! イルミの腕を受け流す。 ドン!! 腹部へ一撃。 イルミが数歩後退する。
イルミ
初めて。 イルミの表情に驚きが浮かんだ。
イルミ
イルミ
シオンは答えない。 ただ。 キルアを守るように立っていた。 そして。 そこには、戦いを楽しんでいるシオンがいた。 悪魔のような。 天使のような。 満面の笑み。 今この瞬間を、心の底から楽しんでいるような笑顔だった。 イルミも静かに構える。 そして。 最後の交錯。 イルミの針。 シオンの爪。 互いに急所を狙う。 一瞬。 本当に一瞬だけ。 シオンが今この状況で歌う鼻歌に意識を奪われた。 その僅かな隙。 イルミの体勢が崩れる。 シオンの指先が。 イルミの首元に触れた。 ピタリ。 あと数センチ。 それだけで勝負は決まっていた。 静寂。
イルミ
シオン
イルミは目を閉じる。
イルミ
全員が固まった。 そして。
ヒソカ
ヒソカ絶叫。
ヒソカ
ネテロ会長は大笑い。
ネテロ会長
しかし。 直後。 シオンの体がふらつく。 第三段階と戦奏領域の反動。 限界だった。
獣耳、腕、足、尻尾、表情、 いつのまにか全て元通りになったシオン
シオン
バタッ。 倒れかけた体を。 イルミが反射的に受け止める。
イルミ
ヒソカはまだ混乱していた。
ヒソカ
イルミ
ヒソカ
眠るシオンは無意識にイルミの服を掴む。
シオン
イルミ
小さく呟くイルミ。 そして。 少し離れた場所。 キルアはまだ怯えの残る表情のまま、その光景を見つめていた。
キルア
震える声でそう呟く。 だけど。 その声には、ほんの少しだけ救われたような響きがあった――。
コメント
1件
「怒った猫」、最高でした…!シオンがキルアのために怒るシーン、すごくぐっときました。普段あんなに優しい子が「嫌い」って言い切るのがもう…。しかもイルミ相手に互角以上に戦っちゃうとか強すぎる!歌いながら戦うギャップも可愛くて、でも最後に倒れてイルミに受け止められるのも良かった…。キルアがちょっと救われた顔してたのも好きです。次の話も楽しみにしてます🌙