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私の中でのモヤモヤが晴れてからさらに数日経過した

打ち込むことの出来る回数も増えてきて軽い会話くらいなら

1、2回できるくらいにはなってきていた

そしてそんな会話を毎日してきて何となく変だなと感じたことをソウマさんに伝える日々にも慣れてきたとき

初めて彼女から自分に対しての質問が出てきた

???

???

『ねぇ、アヤメちゃん』

アヤメ

どうしたの?

???

『私って誰?』

アヤメ

あなたはあなたじゃなくて?

???

『うん』

???

『前にアヤメちゃんから私の名前を聞かれた時』

???

『私は誰か分かんないと言ったと思うの』

???

『でも、なんでか分からないけど』

???

『自分が誰かを分かんないままなの良くない気がして』

???

『だからアヤメちゃんに聞きたい』

???

『私って誰?』

この質問に対して私はどう答えるのが正解か分からない

ソウマさんに連絡を入れて妹さんの名前を直接入れるのが正しいのか

遠回しな言い方をするのが正しいのか

それとも知らなくていいと真実から目を背けさせるのか

何が正解分からない

アヤメ

アヤメ

あなたは本当にそれを知りたい?

???

『うん』

???

『私が誰かを知ればもっとアヤメちゃんと仲良くなれる気がするから』

アヤメ

そっか……

アヤメ

アヤメ

分かった

アヤメ

それじゃあすこし時間を頂戴?

???

『いいよ!』

彼女が知りたいと心から願うなら教えてあげるのが正解だろう

それが酷な事実だとしてもそれを隠し抜くことが”優しさ”にはならないから…

アヤメ

夜分遅くにすいません

アヤメ

今お時間大丈夫ですか?

ソウマ

ソウマ

ん?

ソウマ

かしこまってどうした?

アヤメ

実はちょっと進展がありまして

ソウマ

ほぉ?

アヤメ

あの子に『名前』を教えて欲しいと言われたんです

ソウマ

君の名前か?

アヤメ

いえ、彼女自身の名前です

ソウマ

………なるほど

アヤメ

どうします?

アヤメ

私はどんな結末になろうとも教えてあげたいんですけど…

ソウマ

僕も同じ気持ちだ

ソウマ

けど、教えたその先に何が起こるのかわかんない

ソウマ

そのリスクがかなり怖いな

アヤメ

でも、教えないことか優しさになるとは私思わない

ソウマ

ソウマ

そうだな…

ソウマ

そうしよう

アヤメ

じゃあ妹さんのお名前教えてくれます?

ソウマ

そうか、君にも伝えてなかったね

ソウマ

ぼくの妹の名前は『千夏』だ

アヤメ

チナツちゃんですね

アヤメ

彼女にそう伝えてきます

ソウマ

あぁ頼んだよ

アヤメ

アヤメ

ただいま

???

『あ!おかえり!』

???

『それで?私の名前教えてくれるの?』

アヤメ

うん、教えてあげる

???

『やったやった!』

アヤメ

あなたの名前はね…

アヤメ

アヤメ

そこから先の言葉を打つのが怖かった

ただ『あなたの名前は千夏って言うんだよ』この文字を打つだけなのに

それを打つことによって起こる未知の可能性に怯え

文字を打つ手が酷く震え、変な汗も出てきてしまうほどだ

事実を伝えることも優しさだと言うのにそれが酷く怖い…

でも、それでも打ち込まないといけない

彼女に名前を教えると言った以上…

それが彼女を解放するためである以上…

どんな結末になろうとも教えてあげる

そう心に誓ったのだから……

アヤメ

あなたの名前は『千夏』ていうの

???

『千夏…チナツ……』

???

???

アヤメ

千夏ちゃん?

???

『うん。そっか……』

???

『私はチナツなんだ……』

アヤメ

どうしたの?

???

???

『ううん……なんでもない』

???

『なんでもないけど…ちょっと一人にして欲しいかなアヤメちゃん』

???

『ごめんね』

アヤメ

チナツちゃん?

アヤメ

文字を打ち込もうとしたが、今日の使用制限がかかってしまった

アヤメ

アヤメ

ソウマ!

ソウマ

今度は何?

アヤメ

チナツちゃんが心を閉ざしたかもしれない

ソウマ

はぁ?

アヤメ

名前を教えたあと少しの間が空いて

アヤメ

その後一人になりたいって言ってきたの

ソウマ

返答は?

アヤメ

使用制限が掛かってなにも…

ソウマ

明日になるのを待つしかないな

アヤメ

そんな……

アヤメ

もし、明日返答が来なかったら…

ソウマ

その時に考えるさ

ソウマ

行き当たりばったりな策になるが……

アヤメ

後手に回るしかない、か

ソウマ

今はもう何も出来ない

ソウマ

明日を待とう

アヤメ

分かった……

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