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君のため

君のため

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2022年03月31日

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誰かの痛みを代わりに受けることが出来るなら

そんな夢のようなことが出来るなら

僕は君の痛みを代わりに受けたい

るぅと

ウッ…オォェエ……

るぅと

ハァハァ…ォオエ…

あの後るぅとくんの吐き気は増す一方で

僕と会話できる余裕も無くなっていた

ころん

大丈夫だよ…大丈夫…

ただひたすらに背中をさすり声をかけることしか出来なかった

なんて言ってあげればいいのかも分からなかった

ころん

お水飲もっか

るぅと

(* . .))ウン

冷や汗をかいた首の喉仏が動くのが分かる

ころん

一回寝る?

るぅと

(* . .))ウン

ベッドに横たわった

しかしすぐに起き上がり

るぅと

ッウ…オォエエ…ォエェ

また吐いた

ころん

全部出しちゃいな?

かれこれ2時間近くこの繰り返し

るぅとくんは朝まともにご飯を食べていない

吐くことも辛くて

眠りにつこうとしても吐き気が襲って眠れない

僕がるぅとくんの痛みを理解してあげる事は出来ない

だけど辛いことは分かる

るぅと

オエェエ…ウッ…オォォエエ

るぅと

グスンッ…ォエエ

ころん

大丈夫だから…大丈夫大丈夫……ポロポロ

ころん

ねぇ…るぅとくん…やっぱり

ころん

お医者さん呼んだ方がいいんじゃない?…ポロポロ

るぅとくんのあまりに苦しそうな表情を見て僕は思わず涙を流しながらるぅとくんに訴える

るぅと

いいの…呼ばなくていいの…

ころん

でもッ…るぅとくん2時間近く吐き続けてるんだよ…?

ころん

辛いでしょ…

ころん

僕は背中をさすってあげる事しか出来ないの

ころん

でもお医者さんを呼んだら…

僕の言葉を遮るようにるぅとくんが喋った

るぅと

隣に居てくれるだけでいいの…

るぅと

ころちゃんはそれだけで十分僕の役に立ってる…

ころん

でも…でも…ポロポロ

何やってるんだ僕は

泣きたいのはるぅとくんの方だろ?

僕がるぅとくんを支えてあげなきゃいけないのに

何慰めてもらってんだよ

るぅと

じゃあ…フルーツ……

ころん

え?

るぅと

フルーツ…一緒に買いに行きましょ…

ころん

分かった…でもフルーツ食べたいなら僕が買ってくるよ

るぅと

僕はころちゃんと一緒に行きたいんです

るぅと

今なら少し吐き気も治まりましたから

ころん

じゃあ辛くなったらすぐ言ってね?

るぅと

はい…

弱々しい身体を支えながらるぅとくんを立ち上がらせた

病院内のコンビニまではそう遠くない

だけど今のるぅとくんはコンビニまで歩けるのだろうか…

そんな事を考えながら僕は病室を出た

点滴を入れるための滑車付きのスタンドと

僕の右腕に支えられながらも

るぅとくんはしっかり歩いた

これなら行けると思った

ころん

コンビニはそんなに遠くないから

ころん

頑張ろうね

るぅと

(* . .))ウン

流石に歩きながら喋るのは辛いのか相槌だけうっていた

そんなこんなでいつもの倍の時間をかけながらリンゴを買った

ころん

よしっ!

ころん

るぅとくんリンゴ買えたね!

ころん

凄いよ!がんばったね!

るぅと

(* . .))ウン

ころん

じゃあ病室戻ろっか

この調子なら病室へも何事もなく戻られると思った

ころん

辛かったらちゃんと言ってね?

るぅと

(* . .))ウン

ころん

あともう一息だよ!

ころん

るぅとくん頑張れ!

病室まで近づくにつれ足取りが重くなっている様に感じた

るぅと

ころ…ちゃ…ん

か細い声でるぅとくんは話しかけてきた

ころん

どうしたの?どこか痛い?

るぅとくんの腕を掴む力が強くなったので僕は足を止めた

るぅと

さっ…きから…ッハァ…目の前…が…

るぅと

ぐら…ぐら…して…る

ころん

え!?ちょっと待って誰か呼ぶから!

そう言って辺りを見渡そうとすると

バタッ

人が倒れる鈍い音がした

音のする方へ目を向けると

るぅと

ゲホッ…

血を吐いて倒れているるぅとくんが居た

るぅと

ッハァッハァ…ヒューヒュー…

ころん

るぅとくんッ!

ころん

大丈夫?!起きてよ!ッ

ころん

るぅ…とく…ん

ころん

ポロポロ

僕は助けを呼ぶ事も出来ずにるぅとくんの名前を呼ぶ事しか出来なかった

僕の声に周囲が気づいたのかすぐに医者が駆けつけて来た

医者

るぅとさーん!聞こえますか?

医者

聞こえたら手握ってくれますか?

その時るぅとくんの指は動いた

動いた…けど握るほどの強さはなかった

医者

心拍が弱い!

医者

早く運ぶぞー!

医者2&看護師達

はいっ!

医者2&看護師達

1、2、3っ!

医者

第4処置室空けとけー!

医者

早くしないとまずいぞ

医者の人達が焦っている事は 僕にも分かった

ころん

るぅとくん…

僕はその場にうずくまった

るぅとくんの吐いた血が視界に入った

とても人が吐けるような量には見えない

自分の服にも血が付いてるのに気がついた

ころん

るぅとくんを揺さぶった時についちゃったのかな…

莉犬

ころんくーん

莉犬くんが僕に駆け寄って来た

やっぱり看護師は話を聞くのが早いな

僕は不安に押しつぶされ思わず莉犬くんに抱きつく

莉犬

ころんくん…

莉犬

大丈夫だよ…今お医者さんがるぅちゃんのこと助けてくれるから

莉犬

るぅちゃんの病気の事ちゃんと話してなかったよね

莉犬

あの部屋行って俺と話そっか…

莉犬

るぅちゃんが最初に病院にお世話になったのは2歳になる少し前の時だった

ころん

え?

思わず声が漏れてしまった

この前の莉犬くんから小さい頃から病気がちだったとは聞いたがそんなに小さかったとは思わなかった

莉犬

最初は胃がんだった

莉犬

初めて異変に気がついた時はるぅちゃんが倒れた時だった

莉犬

身体が小さかったからがんに耐えられなくて3ヶ月ずっと意識不明だった

莉犬

意識が戻らないまま緊急手術が行われて

莉犬

がんは完全に取り除かれた

莉犬

だからがんだった時の記憶は多分あまり無いんだと思う

莉犬

けどるぅちゃんのが目を覚ました後

莉犬

リハビリが始まった

莉犬

3ヶ月も眠っていたし

莉犬

るぅちゃんは歩けるようになるのが遅かったから

莉犬

目を覚ましてからは歩く練習から始まった

莉犬

毎日沢山の大人に囲まれて、何時間も立たされて

莉犬

相当辛かったと思う

ころん

そうだったんですね…

莉犬

6歳の時には重い小麦粉アレルギーと喘息が見つかった

前回ころんくんが菓子パン食べてたと思んですけど設定ミスったので おにぎり食べてた事にしといてください

莉犬

11歳の時には白血病になった

莉犬

13歳の時に治ったけどそれ以来通院が多くなったからいじめられるようになって

莉犬

ずっと病気やいじめを受けたから13歳の終わりの頃に

莉犬

PTSDっていう危険に直面した後、その体験の記憶がフラッシュバックのように思い出されたりする精神的な病気って診断を受けて

莉犬

喘息もあったから高校にあがるまではずっと入院してて勉強も病院でずっとしてたんだよね

莉犬

やっと高校生になってるぅちゃんも元気になったんだけど

莉犬

入院してる期間が長かったから慣れない学校生活で体調を崩すことが多くて

莉犬

10月に検査しに行ったら心臓病が見つかって…

莉犬くんは時々声を震わせながら僕にるぅとくんの今までを話してくれた

それは僕の想像よりも遥かに辛く厳しい人生だった

治ってもまた病気の繰り返しだったんだろう

莉犬

今の病気はね

莉犬

外へ出ることも、走ることも、大きな声を出すことも、泣くこともしちゃいけないの

ころん

それは何でですか?、

莉犬

走ったり、泣いたり、大きな声を出すと心拍数が上がって心臓に負担がかかるの

莉犬

その少しの変化がるぅちゃんにはものすごく危険な事で

莉犬

外へ出れば身体が弱いるぅちゃんは何かの病気にかかったりしてしまう…

莉犬

ただの風邪でもるぅちゃんにとっては大きな負荷になる事なの

莉犬

だからるぅちゃんにお友達が出来ても一緒に出来ることが限られててみんな離れていっちゃうの

莉犬

でもころんくんは…

莉犬

るぅちゃんはころんくんに心を開いてる

莉犬

俺はるぅちゃんがあんなに楽しそうにしているのを初めて見た

莉犬

だからこの前も言ったけど

莉犬

るぅとくんのことよろしくね?

莉犬

お兄ちゃんの俺には辛いとか苦しいとか話してくれないから…

莉犬

頼りになるのはころんくんだけなの

莉犬

るぅちゃんのことお願いしていい?

友達ができてもみんな離れていく…

頼りになるのは僕だけ…

僕には見せなかったるぅとくんの色んな思いが見えた気がした

そしてずっとずっと守っていきたいと強く思った

ころん

僕に出来ることなら、、

ころん

るぅとくんの為になるなら、、

ころん

何でもします!

莉犬

ふふふ笑

莉犬

ありがとう!

莉犬

噂通りの優しい子なんだね

ころん

あ、ありがとうございます//

僕はずっとるぅとくんの側に居ると心の中に誓った

この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

ユーザー

主さんの作る話すごく読みやすいし、内容も面白いし最高です✨ ブクマとフォロー失礼します...!

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