この作品はいかがでしたか?
252
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監禁されてから
初めて結束バンドから解放された。
正確に言えば引っ張ってみたら簡単にちぎれたのだ。
新たな事態にワコは戸惑った。
ワコ
ワコ
あり得ない。
ワコ
ワコ
それなら
なおさら不自然な行動は禁物だ。
バンドがちぎれるようにしたのには
きっと理由があるはず。
部屋はあまりに殺風景で
パッと見、監視カメラを仕込んだ風には見えない。
Kのお昼間は手術三昧だし。
だからΚが四六時中監視することは無理だ。
何か別の方法で監視しているはず。
ワコ
ワコ
ワコ
ワコ
ワコ
ワコ
足はどうだろう……
なんと
足のバンドも切れ目が入っているではないか。
ワコは脚の結束バンドも手で引きちぎった。
ワコ
自分一人で点滴針を抜けるか?
ワコ
ワコ
ワコ
それならKは必ず朝食を持って現れるはず。
結束バンドに切れ目を入れた意味……
ワコ
ワコ
深い意味なんかない
ワコ
合点がいった。
オムツをはかされたわけでも、尿菅に管を通されたわけでもない。
そこまで変態じゃなかったってことか……
逃げ出すチャンスを窺うワコは、少しガッカリした。
ワコ
ワコ
ワコはベットからゆっくりと降り立った。
思っている以上にふらつく。
ワコ
ワコ
ワコ
点滴ラックを犬の散歩でもするかのように引き連れ
バリアフリーのトイレに入る。
ゆっくり
弱らせ
車イス……
最後は
考えただけでもいやだ。
その前になんとかしないと。
ワコ
ワコ
そんなこと知るか!
そういや
部屋も
このトイレも
やけに綺麗だ。
Kのいない昼間は、これからも眠らされるはず。
だから寝ている間の様子が分からない。
ワコはわざとトイレットペーパーをちぎって落とした。
綺麗になっていたら
だれかが掃除しに来たことになる。
ワコ
ワコ
ワコは用を済ませ。
トイレを見回す。
もし隠し事するならどこだ?
ふと思う──
自分が拘束された証を残すなら
天井か
壁か
便器か
ゴミ箱
便器と壁の間に1mmほど隙間がある。
ワコ
そのまさかをマジで覗く。
えっ?
目を疑った。
便器と壁のわずかな隙間に折り畳んだ紙らしきものが挟まっていた。
過去に拘束された女のものか?
ワコは急激に心臓がドキドキし始めた。
爪を立て
どうにか引っ張りだそうとする。
奥に入れてしまったら二度と取れない。
ただのゴミかもしれないのに
緊張感が走る。
そういや……
Kも同じか
脳の手術を毎日行っているのだからもっと失敗できない。
毎日がストレスの塊だ。
ワコはハッと我に返り、指先を引っ込めた。
ワコ
ワコ
ワコ
ワコ
気を取り直し
もう一度爪を立てる。
硬く入り込んでいる。
もう少し
あと少し
とうとう全てをひっぱり出した。
ガチャン
K
K
K
トイレの向こう側からKのくぐもった声がする。
Kが部屋に入ってきた。
ヤバイ
ワコは震える手で紙を広げる。
長いこと折り畳まれていた。
なかなか広がらない。
K
K
せわしなくトイレのドアをノックする。
ワコ
ワコ
ドアに向かって叫んだ。
紙を広げる。
息を飲む
中に書かれていたのは──
“1777”
4桁の数字
ワコはこれを記憶すると
紙をトイレに流した。
ガチャ
ワコ
出てきてすぐ言い分けする。
一方、Kは気にするふうでもない。
というか、むしろ急いでいた。
K
ワコ
K
K
Kは珍しく苛立っていた。
K
Kはワコを寝かしつけると
Tシャツの袖をめくり
手早く腕に注射を打つ。
K
そう言い残すと部屋を出た。
注射は血管に直接薬を入れるから効きがいい。
ワコに早くも睡魔が訪れた。
眠い頭で考える。
1777が何なのかを考える。
いったい誰が
何を知らせたかったのだろうかと考える。
ラッキーセブン……
それとも
ただのいたずら?
けど
今は
眠い
・
・
.
つづく
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はい妄想