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入れ替わっちゃった！？

第4話 - 兎耳山＆十亀の場合

2025年04月03日

#WIND BREAKER

#ウィンドブレーカー

#アナログイラスト

Ｃ

兎耳山丁子

かーめーちゃーん！

“オリ” の前で、兎耳山の声が響く。

兎耳山丁子

かーーめーー
ちゃーーん！！

十亀条

そんなに大っきな
声で呼ばなくても
聞こえるよぉ〜…

カラン、コロン、という心地よい下駄の音とともに十亀が現れた。

兎耳山丁子

！

兎耳山丁子

亀ちゃん！

兎耳山丁子

いっくよーー！

十亀条

え…

どこに？と十亀が聞く間もなく、兎耳山は突進してくる。

十亀条

ちょ…！

そしてそのまま、

ドン！

二人は激突した。

兎耳山丁子？(in十亀)

いった…いきなり
どうしたのちょーじ…
って、あれぇ…？

いきなり突進され、十亀は大混乱である。

兎耳山丁子？(in十亀)

これ、ちょーじの
体…？ってことは
ちょーじが…？あれぇ？

十亀条？(in兎耳山)

…！

十亀条？(in兎耳山)

成功だー！

兎耳山が嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

しかし今の兎耳山は十亀の巨体の中であるため、いつもの身軽さは微塵もない。

兎耳山丁子？(in十亀)

えっな、何が…？
むしろ失敗でしょぉ…？

十亀条？(in兎耳山)

なんかね、最近ね、
風鈴で噂なんだよ！！

十亀条？(in兎耳山)

勢いよくぶつかったら
入れ替われる、って！

風鈴、どんな噂流してんのさ…？とツッコミたいところだが、今はそれどころではない。

兎耳山丁子？(in十亀)

あ～そういうことねぇ…
とはならないよ…？

十亀条？(in兎耳山)

オレ一回、亀ちゃんの
体入ってみたかった
んだよねー！だから
試してみた！大成功！

兎耳山丁子？(in十亀)

話聞いてぇ…

兎耳山丁子？(in十亀)

…とりあえず、
まずそれを言って
ほしかったかなぁ…

兎耳山丁子？(in十亀)

…えっとぉ、つまり今
オレとちょーじが
入れ替わっちゃった、ってこと？

十亀条？(in兎耳山)

そーゆーこと！！

頭を整理しようとする十亀の目の前に、兎耳山のサムズアップが突き出される。

兎耳山丁子？(in十亀)

えぇぇ…？

獅子頭連にも、愉快な一日が訪れた。

有馬雪成

よぉ兎耳山、十亀

遠くから呼んでいたのは、有馬と鹿沼だった。

十亀条？(in兎耳山)

あーっ！！ありまに
ぬまちゃんじゃん！！

十亀条？(in兎耳山)

丁度いいとこに！
ねぇねぇ、みてみて！

有馬雪成

…は？

鹿沼稔

…えぇ？

当然、二人も大混乱である。

鹿沼稔

ど、どうしたの？十亀…

有馬雪成

…何か変なモンでも
食ったんじゃねーの？

兎耳山丁子？(in十亀)

あぁ、二人ともぉ

兎耳山丁子？(in十亀)

ごめんねぇ、
驚かせちゃって

有馬雪成

おいおいおい…

鹿沼稔

こんなゆっくり喋る
兎耳山、初めて見たよ…

兎耳山丁子？(in十亀)

うーん、オレ自身も
あんまりピンときて
ないんだけど…
かくかくしかじかで…

十亀は、自分自身も再確認するような口調で、事態をゆっくりと丁寧に説明した。

有馬雪成

…なるほどな、
兎耳山ならやるだろ

鹿沼稔

現にやってるしね…

十亀条？(in兎耳山)

そう！だから二人にも
見せたかったんだ〜！

二人は半ば呆れ顔である。

有馬雪成

にしても変な感じだな…

鹿沼稔

デカいし、声低いし…
十亀なのに、兎耳山だ…

鹿沼稔

なんかこう、ゾワッと
するよね…超違和感…

有馬雪成

普段とは似ても
似つかねぇ…

普段の二人。

兎耳山は、天真爛漫且つ好奇心旺盛な性格。じっとしているのは嫌いで、いつでもウサギのように跳ね回っている。

それに対して十亀は、どっしりと構えていて、のんびりとした性格。急かされるのは嫌いで、それこそカメのようだ。

十亀条？(in兎耳山)

言われてみれば…
オレと亀ちゃんって、
結構違うとこばっかりなのかもね！！

兎耳山丁子？(in十亀)

それどころか、
真逆かもねぇ…

十亀条？(in兎耳山)

えーっそんなに！？
亀ちゃんとはこんなに
気が合うのにー？？

兎耳山丁子？(in十亀)

うーん…

兎耳山丁子？(in十亀)

真逆だからこそ、
なのかもねぇ…

十亀条？(in兎耳山)

？？？

十亀条？(in兎耳山)

ねぇねぇ亀ちゃん、
それどーゆーことー？

有馬雪成

それよりよぉ、兎耳山

有馬雪成

お前これどうやって
元に戻んだよ

十亀条？(in兎耳山)

もとに、もどる…？

鹿沼稔

流石に、これからは
ずっとこうです！とか
言わないよね？

十亀条？(in兎耳山)

うん！
今だけのお楽しみ！
って感じかな！！

鹿沼稔

じゃあ戻り方、
兎耳山がちゃんと
分かってるんだ？

十亀条？(in兎耳山)

もどりかた…？

十亀条？(in兎耳山)

何それ！

有馬雪成

いやそれを今
お前に聞いてんの！

十亀条？(in兎耳山)

オレ知らないよ？

有馬雪成

は？

鹿沼稔

あれ？

兎耳山丁子？(in十亀)

えぇ？？

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょっ、ちょーじ？
じゃあ、どうするの
これ…？？

十亀条？(in兎耳山)

オレもわかんない！！

にぱっ！と笑う兎耳山を見て、十亀は再び頭を抱える。

兎耳山丁子？(in十亀)

…ちょーじぃ…

十亀条？(in兎耳山)

？なーに、亀ちゃん！

兎耳山丁子？(in十亀)

いい？ちょーじ、
面白そうだからって
根も葉もない噂を
すぐ試さないこと…
というか、すぐ周りを
巻き込まないこと…

十亀条？(in兎耳山)

？？

鹿沼稔

兎耳山が十亀のこと
叱ってるみたいで、
やっぱり変な感じ…

有馬雪成

まぁそんなことだとは
思ったけどよ…

鹿沼稔

ははは、今日は一段と
忙しくなりそうだね…

兎耳山丁子？(in十亀)

とりあえず、今は
元に戻る方法を探そう

十亀条？(in兎耳山)

えーっ！？
もう戻っちゃうのー？

兎耳山丁子？(in十亀)

うーん…オレはいつもの
体の方が落ち着くよぉ…

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょーじの体、目線が
低くて慣れないしぃ…

十亀条？(in兎耳山)

オレは楽しいよ！！
亀ちゃんはオレより
でっかいから！！

兎耳山丁子？(in十亀)

そぉだねぇ…

兎耳山丁子？(in十亀)

でも戻ろう？

十亀条？(in兎耳山)

なんでー！

駄々をこねる兎耳山とそれを諭す十亀は、さながら父親と幼児であった。

この後、兎耳山の説得にはかなりの時間を要したという。

やっとの思いで兎耳山を諭し、四人は考えを出し合いはじめた。

有馬雪成

やっぱもっかい
ぶつかってみろよ

鹿沼稔

そんなベタな
ことある？

兎耳山丁子？(in十亀)

可能性として
無くはないかもだけど…

十亀条？(in兎耳山)

ねぇねぇ
それよりさー！

十亀条？(in兎耳山)

オレ、お腹すいた！！

有馬雪成

…さては、さっきから
腹鳴りまくってんの、
もしかしなくても
お前だな？

十亀条？(in兎耳山)

大正解…

鹿沼稔

もうそんな時間か…

兎耳山丁子？(in十亀)

昼飯時だねぇ

十亀条？(in兎耳山)

ってゆーか亀ちゃんは
お腹減らないの？
いつもこのくらいの
時間に「腹が減った」
って言ってないっけ？

兎耳山丁子？(in十亀)

あんまり減らないなぁ

兎耳山丁子？(in十亀)

何でだろう…？

鹿沼稔

消費カロリーでしょ

鹿沼稔

十亀、いつもの体
じゃないからあんまり
カロリー使ってないん
じゃない？

十亀条？(in兎耳山)

そっか！亀ちゃんの体
燃費悪いんだね！！

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょーじ、それ悪口…？

兎耳山丁子？(in十亀)

…まぁ、それなら
ちょーじがいつもより
腹が減るのも納得かぁ

有馬雪成

十亀の体で滅茶苦茶
跳ね回ってるもんな…

十亀条？(in兎耳山)

おなかすいたーーー！

兎耳山が再び駄々をこねはじめる。

鹿沼稔

…こうなったら、
テコでも動かないよ…

有馬雪成

しゃーねぇ、
…飯にすっか！

十亀条？(in兎耳山)

やったーーー！！

十亀条？(in兎耳山)

あそこ行こうよ！
こないだ亀ちゃんが
行ってた定食屋さん！

兎耳山はノリノリで立ち上がり、他を置いて駆け出す。

兎耳山丁子？(in十亀)

あぁ、お願いだから
一人で行かないでぇ…

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょーじ、絶対
迷子になるでしょぉ…

三人は兎耳山を追いかけていった。

十亀条？(in兎耳山)

ねぇねぇ早く早く〜！

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょーじ、待ってよぉ…

有馬雪成

お前が早すぎんだよ…

鹿沼稔

まぁとりあえず、
お店入ろうか…

鹿沼が定食屋のドアに力を込める。

リリン、リリン…

いらっしゃいませー！

兎耳山丁子？(in十亀)

四人、お願いします

四人はテーブル席に腰掛けた。

各々が注文を済ませて一息ついたところで、再び話題は兎耳山と十亀の話になる。

鹿沼稔

兎耳山、めちゃくちゃ
はしゃいでるけど…
そんなに十亀の体って
楽しいの？

十亀条？(in兎耳山)

楽しいよ！！

十亀条？(in兎耳山)

いつもより高いとこの
景色が見えるし、
脚が長いから一歩が
大きい！だから走ると
すっごい楽しいんだ！

十亀条？(in兎耳山)

でもね、その分
すっごい重たい！

兎耳山丁子？(in十亀)

ちょーじ、さっきから
少しずつ悪口挟むねぇ…

兎耳山丁子？(in十亀)

まぁでも、オレも
少し楽しいかも…

兎耳山丁子？(in十亀)

慣れないことに変わり
ないんだけどぉ…

兎耳山丁子？(in十亀)

ぶっちゃけ、
ちょーじの言う通り
この体の方が軽いしぃ

有馬雪成

ふーん…

有馬雪成

あ、来たぞ

お待たせしました〜、日替わり定食４つです！

店員の声とともに、日替わり定食がドンと置かれる。

鹿沼稔

…んん！？

有馬雪成

お、おい…十亀…

兎耳山丁子？(in十亀)

ん？なぁに？

有馬雪成

これ、滅茶苦茶
多くないか…？

兎耳山丁子？(in十亀)

そぉ？オレはこれが
丁度いいけど？

十亀条？(in兎耳山)

へ〜美味しそうだね！
亀ちゃん！！

鹿沼稔

兎耳山は、この量で
平気なの…？

十亀条？(in兎耳山)

？全然平気だよ？？

有馬雪成

お前ら、滅茶苦茶
食うのな…

兎耳山丁子？(in十亀)

あぁ、この間佐狐にも
この店すすめたら
言われたなぁ

兎耳山丁子？(in十亀)

思っていたより
多かった、って…

鹿沼稔

だと思うよ…

十亀条？(in兎耳山)

ほらほら、早く
食べようよ！

十亀条？(in兎耳山)

冷めちゃうよ！！

兎耳山丁子？(in十亀)

そぉだねぇ

いただきまーす

四人の声が重なった。

ありがとうございました〜！

有馬雪成

いやぁ、食ったわ…

鹿沼稔

もうなんも入らないよ…

十亀条？(in兎耳山)

おいしかったね！！

兎耳山丁子？(in十亀)

でしょぉ〜

鹿沼稔

二人は…平気そうだね…

十亀条？(in兎耳山)

うん！

十亀条？(in兎耳山)

けどこの前亀ちゃんと
行ったうどん屋さんの
大食いチャレンジは
ちょっと多かったね！

兎耳山丁子？(in十亀)

うどんはちょっと
キツかったねぇ、
食べきったけどぉ…

有馬雪成

すげぇのな…

鹿沼稔

聞いただけで
お腹いっぱいだよ…

十亀条？(in兎耳山)

でも、うどんは
すっごくおいしくて…
…あっ！！

突然、何かを見つけた兎耳山が路地へと駆け込んでいった。

兎耳山丁子？(in十亀)

えっ、どうしたの
ちょーじ！？

慌てて十亀が追いかける。

しかし。

有馬雪成

おい兎耳山！
十亀！！

兎耳山丁子？(in十亀)

…だめだ…

鹿沼稔

ど、どういうこと…？

兎耳山丁子？(in十亀)

…もう見失った

有馬雪成

嘘だろ！？

兎耳山丁子？(in十亀)

路地の先も見たけど、
ちょーじがどこにも
見当たらない…

鹿沼稔

…すぐに探しにいこう！
兎耳山、もっと遠くに
行っちゃう！

有馬雪成

だな！

十亀条？(in兎耳山)

ハァッ、ハァ…

十亀条？(in兎耳山)

ハァッ、ハァ…

十亀条？(in兎耳山)

…ちょ、ちょっと！

十亀条？(in兎耳山)

待ってよー！

兎耳山が、息を切らして追っているのは。

ニャーォ…

猫である。

十亀条？(in兎耳山)

最近見ないなって
思ってたけど、
こんなとこに…！

十亀条？(in兎耳山)

にしても…

十亀条？(in兎耳山)

猫って、こんなに
速いっけ…！？

十亀の巨体で路地を駆け抜けた兎耳山には、もうスタミナが残っていなかった。

十亀条？(in兎耳山)

もー！いつもなら、
すぐに捕まえられる
のにー！！

有馬雪成

いねぇ…！

鹿沼稔

もうずいぶん
走ってるけど…

兎耳山丁子？(in十亀)

……！

十亀の視界の隅に、突然黒い影が現れる。

有馬雪成

十亀！？

ニ゛ャッ！

十亀は咄嗟に、目の前に飛び出してきた猫を捕まえた。

兎耳山丁子？(in十亀)

…猫だねぇ

鹿沼稔

あ！十亀、横！！

兎耳山丁子？(in十亀)

え？

ドーン！

十亀は、横の道から飛び出してきた何者かと勢いよく激突した。

十亀条

いったた…今日
こういうの多いねぇ…

兎耳山丁子

ごめんなさーい！
…って、亀ちゃん！？

十亀条

！

十亀条

ちょーじ！？

兎耳山丁子

っていうか…オレたち
もとに戻ったよ！！

十亀条

ほんとだ…

鹿沼稔

すごい音したけど
大丈夫！？…って、
と、兎耳山！？

兎耳山丁子

ぬまちゃん！ありま！オレたち戻ったよ！！

有馬雪成

オレの言った通り
だったな…

鹿沼稔

もう一回ぶつかれば
元に戻れるなんて…
ベタすぎるよ…

兎耳山丁子

やったね！亀ちゃん！

有馬雪成

それはいいとしてよ、
兎耳山、十亀の体は
なんでそんなに
キズだらけなんだよ？

兎耳山丁子

あ、それは…
猫を追いかけててさ

兎耳山丁子

ほら、亀ちゃんの体
でっかいからさ

兎耳山丁子

それで、いろんなとこ
ぶつけちゃった

鹿沼稔

…まぁ、そんなとこ
だろうね…

兎耳山丁子

ごめん亀ちゃん！

十亀条

いーよいーよぉ、
このくらいどうって
ことないしぃ…

十亀条

それで、その
追いかけてた猫って…

十亀条

この子のこと？

そう言って、十亀は横で毛づくろいしている黒猫を指した。

兎耳山丁子

！！

兎耳山丁子

そう！！

兎耳山は黒猫に駆け寄った。

兎耳山丁子

久しぶりー！
元気だったー？

…ニャッ！

兎耳山丁子

わっ！

黒猫は兎耳山の体をするりとくぐり抜け、颯爽と走り去ってしまった。

兎耳山丁子

…逃げられちゃった…

十亀条

まぁまぁ、きっと
また会えるよぉ

有馬雪成

…よし、二人も
元に戻ったことだし

有馬雪成

帰るか

鹿沼稔

そうしよ〜
ボクなんだか疲れたよ…

有馬と鹿沼に別れを告げ、兎耳山と十亀は歩いていく。

兎耳山丁子

今日はすっごく
楽しい日になったね！

十亀条

オレはもう
懲り懲りだよぉ…

兎耳山丁子

確かに大変だったけど…

兎耳山丁子

オレ、亀ちゃんが
言ってたこと分かった
気がする！！

十亀条

う〜ん…オレ、
なんか言ったっけぇ？

兎耳山丁子

真逆だからこそ、
気が合うってゆーの！

兎耳山丁子

亀ちゃんは、オレに
ないもの全部持ってる…

兎耳山丁子

それはずっと前から
知ってたし、だから
今日入れ替わって
みたいって思ったんだ

兎耳山丁子

でも、オレだって
亀ちゃんにないものを
持ってたんだなって！

十亀条

…ちょーじ…

兎耳山丁子

猫を追いかけるのは、
亀ちゃんの体だと
すっごく大変だよー！

十亀条

ふふふ、そっか

十亀条

お互いのこと、
よく分かったね

そう思えば、今日は悪くない日だったかも。

心做しかそう思えた十亀だった。

入れ替わっちゃった！？第3話・兎耳山＆十亀の場合〜Fin〜

読んでいただき、ありがとうございました！今回も無事リクエストにお応えすることができました〜！更新遅くなって申し訳ない…。書きたい気持ちはあるのに、ネタが降ってこず不甲斐ない…笑ちょーじと亀ちゃん大好きなのでこれからもいろんな話書きたいです！！これからもリクエスト随時受付中です！ぜひぜひコメントも下さいな〜！