ニ週間の出張。
一つ気がかりな点があるとすれば
飼っている犬のことだろうか。
過去に動物病院や
ホテルに預けたこともあるが
慣れない場所のせいだろう、
そのあとよく体調を崩していた。
後輩
門崎春仁
後輩
後輩
職場の後輩はそう言って
過去に自分が利用したことがあるという
便利屋サイトを教えてくれた。
『便利屋ベース』
十人以上の便利屋がおり、
その中から選んで仕事を頼むのだとか。
後輩
後輩
門崎春仁
門崎春仁
後輩
後輩
ニーナというのは
後輩が飼っているトイプードルの名前だ。
後輩
後輩
後輩
後輩
後輩
一日二千円ならば、
ざっくりと計算しても、
三万ちょっと。
色々手数料が入っても
三万円を超えることは無いだろう。
そう考えればとても安上がりに思えた。
加えて、
後輩が一度利用しているとあれば
安心出来る。
その日、
帰宅してから依頼のメールを送った。
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翌日、
紫雲かぎり本人からメールが届いた。
詳しい話しを会って話すか、
電話で話したいとあった。
そこで会って話すことにした。
さすがに見ず知らずの人に留守は預けられない。
紫雲かぎりと会う場所は、
自分がよく行く喫茶店にして、
顔なじみのマスターに
一番奥の席を用意して貰った。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
そう名乗って現れたのは、
真っ黒なジャケットに
紺色のTシャツ。
同じく黒色のズボンを履いていた。
便利屋、という印象より
IT企業の社員のような雰囲気があった。
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
そう言って紫雲は笑って見せた。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
そうして話を詰めていき、
時間とやることを決め、
料金を決定する。
料金は半分を前払いで、
残りの半分は成功報酬ということで、
仕事が完了し次第振り込むという形になった。
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出張当日。
思わぬ事態が起こった。
かんざき
しうん
かんざき
かんざき
しうん
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
しうん
しうん
かんざき
しうん
しうん
かんざき
かんざき
かんざき
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・
そう言うことしか出来なかった。
搭乗前、
リリーの写真と
散歩コース。
近所のドッグランにもよく行くこと。
商店街の方々にも
良くして貰っているから
立ち寄っているかもしれない旨を書いたメールを送る。
紫雲さんからは
出来るだけ早く見つけます。
という返信があった。
門崎春仁
門崎春仁
・
紫雲かぎり
門崎家に到着し、
リビングに腰をおろした紫雲は
持ってきたノートパソコンを開く。
紫雲かぎり
軽快にキーボードを叩く。
ほどなくして
画面に動画が表示される。
それは一つではなく、
いくつも表示されていた。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
一つの動画は
門崎家の前のものだった。
門崎春仁が玄関を開けた瞬間、
弾丸のように飛び出すリリー。
慌てて追いかける門崎。
しかし、見つからなかったのだろう
落胆した様子で戻ってきた。
それから電話をしている。
相手は紫雲だ。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
別の動画を見ると、
人通りの少ない道を
猛スピードで駆け抜けるリリーの姿が映っていた。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
また別の動画を開くと、
それは門崎家近くの公園だった。
リリーは公園に飛び込み、
しばらくグルグルと回ったあと
公園を出ていく。
そうやって監視カメラの映像をハッキングしながら
リリーを追いかけていく。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
それが最新映像だった。
リリーは商店街の裏を
フラフラと歩いているようだった。
紫雲はパソコンを閉じて
紫雲かぎり
と言って立ち上がった。
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かんざき
かんざき
しうん
しうん
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
しうん
しうん
しうん
かんざき
かんざき
かんざき
しうん
かんざき
かんざき
しうん
しうん
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かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
しうん
かんざき
かんざき
かんざき
かんざき
しうん
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紫雲かぎりは毎日写真を送ってきた。
何時にどれぐらい散歩に行ったか、
食べた餌の量など
事細かく報告もしてくれた。
紫雲と一緒に散歩をする動画や
ドッグランで駆け回る動画も
彼は律儀に送ってくれた。
あっという間にニ週間が終わり、
リリーは彼と別れるのを察してか、
床に突っ伏しては
寂しげな上目遣いで
彼を見つめていた。
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門崎春仁
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
門崎春仁
門崎春仁
紫雲かぎり
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
紫雲を見てから、
リリーを見つめる。
彼は逃げ出した犬を
あっという間に見つけてくれた。
どうやって見つけたのかは
企業秘密だと言っていたが
腕は確かなようだった。
門崎春仁
紫雲かぎり
紫雲かぎり
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・
《二日後》
相変わらず
どうやって見つけたのかは
教えてくれなかったが、
紫雲かぎりは依頼を受けてから
たった二日で娘を見つけてくれた。
現住所、
現在の仕事、
交際相手の有無まで。
驚いていると
人探しは得意なのだと彼は言った。
紫雲かぎり
聞かれて
頷くことは出来なかった。
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
門崎春仁
会社へと向かう姿を写した写真を見つめる。
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎春仁
・
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紫雲かぎり
門崎美緒
紫雲かぎり
門崎美緒
紫雲かぎり
門崎美緒
差し出された名刺と
紫雲の顔を交互に見る。
紫雲かぎり
門崎美緒
門崎美緒
門崎美緒
紫雲かぎり
紫雲は茶色の封筒を取り出す。
紫雲かぎり
門崎美緒
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
封筒を開けると
中には数枚の写真が入っており
リリーの活き活きとした姿が写っていた。
門崎美緒
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎美緒
門崎美緒
門崎美緒
紫雲かぎり
紫雲かぎり
紫雲かぎり
門崎美緒
写真の裏を見るよう促される。
そこには、
父親の直筆で
謝罪の言葉と
自分に会いに来なくてもいいので、
たまにはリリーに会いに帰ってきてほしいと、
書かれていた。
門崎美緒
しかし、
顔を上げたそこに
紫雲の姿は無かった。
門崎美緒
門崎美緒
門崎美緒
門崎美緒
美緒はそう呟いて
写真に写ったリリーの頭を撫でた。
・
・
《序章》 了
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