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太陽の先で

2 - 太陽の先で 2

♥

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2019年06月12日

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私は暗い森の中を慎重に進む

怪しい雰囲気の森は、モンスターでも出てきそうだ

優芽

もう一つの太陽とか……

優芽

無いでしょ………

つい、本音をこぼしてしまう

歩きにくい足元は、少し湿っていた

……なんでこんなことしてるんだろ…

もう、引き返そうかな……

華恋には、何も無かった。って言えば良いし……

???

誰もが置き去りにした世界で~♪

穏やかな歌声が聞こえた

???

始まりの歌を歌い続ける~♪

優芽

優芽

もう、分かってたんだ……♪

私の大好きな曲

気づくと、歌ってしまった

???

………誰か居るの…?

???

ねぇ、誰か………

私を求めるような声に、寒気がして

回れ右をすると、足元の砂利が鳴った

???

にっ、逃げないで…!!

必死な声が聞こえた

その声を辿るように、私は歩いて…

優芽

見つけた………

背が高くて、ふわふわの黒髪で

眠そうな目が印象的な男の人

???

???

初めまして、

???

陽太です。

ふわりと笑って、君が言った

綺麗な瞳に、前髪がかかる

陽太

あなたは……?

優芽

優芽、です……

陽太

優芽ちゃん。

私の名前を呼んだ

ポカポカと、心が暖まる気がして

太陽みたいだな………

と思った

優芽

ジャガーノート、好きですか……?

『ジャガーノート』

君がさっき歌っていた曲だ

私が聞くと、君は恥ずかしそうに頭を掻いた

陽太

聞かれちゃったか………

陽太

なんだか照れるな……

ははは、と笑う君はやっぱり太陽で。

これがもう一つの太陽……?

なんて、思ってしまった

優芽

凄く上手。

低くて、安心する声

背中を押してくれるような、優しい声

陽太

陽太

ありがとう!

陽太

本当?!?!

目をキラキラさせて、彼は聞いた

さっきまでの眠い目が、嘘みたい

陽太

僕、歌を歌いたい!

陽太

どこまでも届くような歌を!

輝く笑顔を見つめて、いると

心までもが暖かくなる

少しずつ、私も元気になる気がする

優芽

優芽

君ならできるよ!!

優芽

絶対できる!

優芽

歌で、日本を

優芽

いや、世界を!

優芽

幸せにできる!

夢中になって話した

いままで、こんなに夢中に話したことなんて無かった

……けど、

君に伝わってほしくて。

陽太

本当?

また、ふわりと笑った

それはやっぱり、太陽のようで……

陽太

君も、言いたいことは言おうね……

太陽が月に変わる

そう表現できるように、表情が変わった

優芽

優芽

え?

陽太

やっと、言いたいことが言えた……

ホッとしたように笑った

まるで、太陽のように。

優芽

えっ……と?

戸惑う私に、君はそっと語りかけた

陽太

伝えたいこと、いっぱいあるんだ……

陽太

将来の夢だったり、

陽太

恋だったり、

陽太

友情だったり、

陽太

自分のことだって…

木漏れ日からは、太陽の日差しが入ってきて

君に反射する

ふわふわの黒髪が、つやつやと光った

陽太

色んな人に相談して、

陽太

色んな意見を聞いて。

陽太

たくさんの刺激を貰うんだよ……?

宝石みたいな瞳が私を真っ直ぐ見た

なんだか恥ずかしくなって、目を反らす

優芽

優芽

……うん…

優芽

分かった……

と呟いた

陽太

可愛いな、優芽ちゃんは!

茶化すように言うと、頭に君の手が乗った

クシャクシャと頭を撫でる君

優芽

あはは、止めてよー……

君はどんな顔をしてるんだろう

笑ってるかな?楽しんでいるかな?

哀しんでるかな?怒っているかな?

どんな顔でも、見たいと思った

陽太

優芽ちゃん。

撫でるのを止めて、君が私を見る

真剣な瞳を見るのは五分前ぶりだ

優芽

……なぁに?

陽太

今だけ、好きでいい?

『どうして今だけなの?』

とは、言わなかった

君の瞳が真剣すぎたから。

優芽

優芽

私も。

優芽

好きだよ!

ニッコリ笑って返すと、君も笑った

それは、木漏れ日に負けない明るさだった

続く

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