TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

陽太

あのね……

スッ、と君が息を吸った

華恋

華恋

優芽ー?

華恋がこっちに走ってきた

優芽

か、華恋……

気まずくなって、声が小さくなる

華恋

何してんの?

華恋

その人、誰?

容赦なく聞く華恋に、戸惑う

陽太は、何故かニコニコしていた

華恋

……それより帰ろう!

華恋

門限過ぎるよー?

ニコッ、と笑う華恋が、私の手を取った

陽太

陽太

さよなら、優芽ちゃん。

手を振る君の顔が切なくて

つい、足が重くなる

優芽

……待って…

待って欲しい

君の言葉が聞きたい

こんな別れ方は嫌だ

もう、会えない気がする……

陽太

優芽ちゃん、幸せになるんだよ……

違うの

そんな言葉は聞きたくなくて

もっと、違う何かが………

優芽

待ってよ!!

華恋

優芽……?

唖然とする二人

君のせいだよ

君が、『言いたいことは言おう』

って言ったから………

優芽

陽太、話してよ。

優芽

どうして今だけ、なの…?

やっぱり私に自信は無くて

最後の方は声が小さくなった

華恋

今だけ……?

今だけ、好き

真剣な瞳で聞けなかった、言葉の真相

教えてよ………

陽太

陽太

あのね………

陽太

僕、太陽と一緒に生活してるんだ。

華恋

………は…?

優芽

は………?

華恋と一緒の反応だ

太陽との生活ってどういうこと?

そんなことを思っていると、君が薄く笑った

陽太

ははは、そうだよね

陽太

そんな反応だよね……

俯く君は、太陽とは真反対で

優芽

……っ、そんなこと、っ…

「そんなことないよ」なんて。

咄嗟に言おうとしたけど

そんなことない訳なくて。

言葉に詰まった

陽太

…大丈夫だよ……

陽太

慣れてるから…さ。

無力だ。

君を目の前にして、なにもできない

陽太

陽太

太陽と一緒に生活してるんだ。

陽太

日の出と共に起きて、

陽太

日の入りと共に寝る

陽太

それと同時に、記憶も無くなる

嘘みたいだ。

きっと疑っていたと思う

君の真剣な瞳がなければ

優芽

……そっか。

絞り出した、第一声

か細くて、消え入りそうで

私の無力さを物語っていた

陽太

…だから

陽太

陽太

今だけ、好き。

『今だけ』

上がっていった花火が、咲く時みたいな

瞼を開けて、目を覚ますような

水溜まりに雫が落ちて、波紋を広げるような

そんな一瞬は、君にとって

『今』でもあるんだね……

優芽

私は……

優芽

優芽

ずっと、好きだよ。

本音、言えたよ

君が言ったから

言いたいことは、言おう、って。

君のおかげ。

陽太

陽太

ありがとう

優芽

こちらこそ

君につられて笑った

君みたいに、ふわっと笑えたかな

華恋

華恋

すごーく出にくいんですけど……

華恋

帰ろう……?

申し訳なさそうに、華恋が言った

優芽

ははは、それもそうだね

でも、君とも離れたくないや。

陽太

陽太

待ってるよ。

陽太

ずっと、ここで。

記憶はないじゃん

とは、言わなかった

君が、笑っていたからかな

───────────

────────

日が落ちて、夜空が広がって

空が明るくなって、日が昇った

──────────

───────

陽太

陽太

誰もが置き去りにした世界で~♪

陽太

始まりの歌を歌い続ける~♪

優芽

もう、分かってたんだ~♪

あの時と同じように、私は歌った

陽太

誰かいるの……?

陽太

ねぇ、誰か……

縋るような君の声。

辿らなくても、君を見つけた

優芽

初めまして、優芽です。

陽太

初めまして…陽太です……

不安そうな声

ふわふわの黒髪、眠そうな目

君だ。

君みたいにふわっと笑うと、君も綿菓子みたいに笑った

変わらないな、君は。

今日も話そうよ。

話したいこと、いっぱいあるんだ。

君が飽きても、君のせいだよ?

…………なんてね。

この記憶は、君にはないか。

じゃあまず、こんなバカみたいな話、聞いてくれる?

優芽

優芽

太陽って、回ってるじゃん?

陽太

うん。

急に話し出す私に、戸惑いもせず君は頷いた

優芽

記憶が無くならないように

優芽

太陽と追いかけっこして生活するのはどうかな?

ははは、と笑って話すと、君も笑った

陽太

意味が分からないよ……

優芽

えー?でも、

優芽

太陽がこーやってくるくるってしてるから

優芽

陽太もくるくるってしたら

優芽

記憶無くさないで済むよ?

ジェスチャーと擬音だらけで、自分でも意味が分からない

陽太

陽太

はいはい、

陽太

そうだね。

手のひらを振って、君が聞き流した

優芽

あ!めんどくさくなったでしょー!

陽太

バレた?

君が私の顔を覗き込む

顔が近くなって、触れそうだ

優芽

近いよ……

慌てて顔を離すと、

陽太

照れた?

なんて君が聞いた

優芽

照れてなんかないし!

必死で否定すると、君が太陽みたいに笑った

その笑顔が朝日に反射して

本当の太陽みたいに輝いた

もうひとつの太陽って、君のことだったかもね?

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

もし、君が太陽と追いかけっこしてたらさ。

私も君を追っても良いかな?

記憶が無くならない君を、太陽と一緒に見ていたいんだ。

そして、いつか太陽を追い越して、

君と平行線で走るから。

次会うときも、君は記憶がないけど

でも、それなら私は───

太陽の先で、君に会いたい。

この作品はいかがでしたか?

532

コメント

58

ユーザー

どうかご内密に…笑

ユーザー

シーッッd(ºε- )

ユーザー

( ̄b ̄)シーッ ((皆そこ触れるんだけどww私も疑問ではあったけどさw

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚