テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

そろそろ気づいてよ。

殴られる痛みよりも、言葉の方が傷つくんだよ。

ねえ。誰か、僕を助けて...。

ころん

痛いよ!

ころん

お兄ちゃん!放して!

兄ちゃん

は?お前が悪いんだよ。

兄ちゃん

なあ?殺してもよくね?こんな愚図

ころん

っ!

兄ちゃん

はぁ。お前なんか、

『生まれなければよかったのに。』

ころん

ごめん、なさい。

お兄ちゃんがこう思う理由もちゃんとあるんだ。

だって、だって僕のせいでお母さんも、お父さんも死んだんだから。

母さんは。僕を生んだ時に死んだ。

父さんも、その後を追うように蒸発した。

結果残ったのは孤児2人

お兄ちゃんは僕を恨んでいる。

だから仕方がないんだ。

沢山の車。

一歩踏み出したら楽になれるのかもしれない。

大丈夫。誰も僕を心配しないし。

『おい』

あっ。トラック。

今だ。

『おい!聞いてんのか!?』

2

いち…

『あぶねぇだろ!』

ころん

ビクッ

ころん

だ.....れ?

『そんなこと考えて意味あんのかよ!』

『なんで、今トラックにぶつかろうとしてた!?』

『死ぬぞ...』

『え、あ、っと。ごめん。強く言い過ぎた。。』

なんで、謝ってるんだろう?

『だから、泣きやめって。』

ああ、わかった。僕が泣いてるんだ。

僕の心が、壊れたんだ。

『あー、じゃあとりあえず、此処からどこっか』

『んで、どうしたんだよ。』

ころん

.....僕は、死んだほうがよかったんだよ。

『は?』

ころん

僕のせいで、父さんも母さんも死んだし。

『…。』

ころん

生きてたら....ダメ....なんだよ

『よく、頑張ったな』

ころん

ポロポロ

『あ、俺の名前言ってなかったな。俺はさとみ』

さとみ

よろしくな

ころん

さとみ、くん?

さとみ

あ、名前は?

ころん

...ころん

さとみ

ころん。お前は生きててよかったよ

ころん

なんで

さとみ

だって、俺は、ころんが生きてたから出会えたんだよ

ころん

.....

ころん

でも、僕には生きてる理由がない。

さとみ

そんなん俺もないわw

さとみ

けどさ、意味はあったんじゃないかな

ころん

意味?

さとみ

そう。

さとみ

俺のメルヘンな話だけどさ。

さとみ

人ってさ、生まれてくる前に、神様に課題を出されるんだ。

さとみ

それをちゃんと全うしたら、死ねる。

さとみ

だから、お前の母さんは、お前を生むことが課題だったんだよ。

さとみ

そして、ちゃんと、お前は生まれた。

ころん

そんなの、綺麗事でしょ

さとみ

あー、まあ、そうともいうかもな

さとみ

じゃあさ、考えを変えよう

ころん

さとみ

お前が命を懸けて助けた人、好きな人がさ、お前が死んですぐに、死にたいって言ったらどうする?

さとみ

俺のせいで、私のせいでこの人が死んだんだって。

さとみ

嫌だろ?

ころん

そんなこと言われても。

さとみ

俺は嫌だ。

さとみ

きっと、お前の母さんも。

さとみ

だから、嫌なものは全部流してしまえばいいんだよ。

さとみ

人には、それそれ器があるんだ。

さとみ

小さい人、大きい人、その器を溢れるくらいの負の言葉をかけられ続けたらこれは溢れて、溢れて、いつか自分を壊してしまう。

さとみ

だから、泣くことで少しづつ、中身を減らしていくんだよ。

ころん

そしたら、お兄ちゃんに殴られる。

さとみ

俺はお前の兄ちゃんか?

さとみ

違う。俺の前では泣いていいんだよ

ころん

ウウウ

僕がせき止めていた何かがガラガラと音を立てて崩れて、僕はずっと泣いていた。

さとみ君は何にも言わず、ただ、僕を抱きしめていてくれた。

さとみ

落ち着いたか?

ころん

うん。

ころん

ありがとう

さとみ

お前はさ、一番つらい事は何なんだよ?

ころん

言葉

さとみ

言葉?

ころん

殴られるのはいい。けど、言葉は直接心に来るから。

さとみ

そっか。

さとみ君と話してると、死にたいとかそういう、余計な事を考えなくていいから楽だな。

ありがとう、さとみ君。

ころん

ねえ、僕を助けてくれてありがとう。

ころん

もう少し、生きてみるよ。

『良かった!俺みたいにはなるなよ!ずっと、見守っててやるから…。』

ころん

っ!

ころん

ここ。。。は?

医者

あ、ころんさん目覚めましたか

ころん

は、い。

医者

ちょっと待っててくださいね

ころん

まって、なんでここに

医者

あー、トラックとぶつかったんですよ。

医者

もう少し当たる位置が悪かったら確実に死んでました。

医者

まあ、今でも十分死にかけてたんですけどね!

ころん

う、はい

医者

全く、自殺なんてしようとしないこと!

ころん

はい。

医者

周りの人が言うには、向かっていったそうじゃないですか!

ころん

はい。

医者

じゃあ、後でまた話しますが、何か質問はありますか?

ころん

あ、さとみくんって、いますか?

医者

さとみ?

医者

付き添いの方ですか?

ころん

いや、僕を助けてくれた.....

あれ、僕はトラックにぶつかる前に助けられたよね。

じゃあ、あれは夢?

医者

あー、はいはい。

医者

一昨年のね、冬かな。

医者

なんかいじめで自殺したそうなんですよ、

医者

彼の場合、打ちどころが悪くて脳死に。

医者

でも、臓器移植したとかなんとか

ころん

臓器、移植

僕もした。一昨年に。

もしかして…。

ころん

その、ドナーを受けた人の名前って、わかりますか?

医者

ああ、はい。

医者

えーっと、ん?

医者

ころんさん、ですかね。あってますか?

ころん

ああ、やっぱり。おかしいんだ。

医者

え?

ころん

ごめ、ん、なさ

ころん

ちょっと、おもいだし、ちゃって

医者

はい。

医者

また、きますからね

ころん

はい。

『泣くなよ。』

『生きててくれてありがとう』

揺れるカーテンの奥では、雪が降り始めていた。

ころん

またな

すとぷり 短編集②

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

171

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚