湊は、私の全てだから
お姉ちゃんは僕の全て!
あの日から
いや、あの日よりもずっと前から
私のスキと1番の大切は
湊だった
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
“お姉ちゃん”と呼んで 慕ってくれるこの子が
私の弟で本当に良かったと
そして同時に
どんな事があっても
湊に嫌な思いはさせないと
年上...いや
“お姉ちゃん”なりに
そう決意したのを憶えている
両親の離婚は なんだか現実味が無いほど
あっけなくて
なんとなく そんな気がしていたからか
私は結構冷静...な つもりだったけれど
やっぱりどこか動揺していて
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊が中学1年生の秋
私が受験生の秋
きっとあの秋は 今までで1番
冷たくて、悲しくて
...でも
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
抱きしめあった その温もりのおかげで
いつもより
じんわり 温かく感じた
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
中学生最後の冬
颯太(ソウタ)
クリスマス1週間前
私に
颯太(ソウタ)
初めての彼氏が出来た
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
思えば
湊を守りたい思いの中に
ちょっとだけ
自分にとっての安らぎ、というか
守ってくれる空間、というか
...
もっと直球的に言えば
少しずつ大人になっていく弟を
持て余してしまって
少し楽をしたいと そう思っていた...んだと
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
そういう時だけ
いやに我慢した顔をする
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
きっと、あの時の湊は
中学1年生なりに 私の心情を
察していたんだろうと そう思う
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
上級生の教室に入る時だって
大人びた姿勢を見せる
いつからこんなに
...
やっぱり 私が頼りなかったかな......?
...なんて
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
私は
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
高校生活の楽しい時と
彼氏の優しさと
“独り立ちできた”感覚に
大分酔ってしまって
私の好きも1番の大切も
彼氏に
そして開けたような “大人”な感覚に
いつの間にか
変わっていたんだ
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
あの時の私は
“別れる”なんてことが 私たちにある訳無いと
信じていたからか
はたまた
また “お姉ちゃん”に戻るのかと
今でこそあの毎日は 宝物だったと言えるけれど
...
楽しいようで やっぱりどこか息苦しさのある
あの生活に戻るのかと
そう思ったら 急に何かがプツンと切れたような
そんな感覚があって
湊の事を許したくないと
そんなふうに思ってしまった
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
今思うと 私はどうかしていたんだろうけど
湊を深く傷付けたであろう この事は
今でもずっと 私の中の苦しい事、辛い事で
謝りたいと 本気で思ってます
......ごめんなさい
あれ以来 湊と話す事が無くなって
正直複雑な気持ちになった
“言い過ぎたな” という反省の気持ちと
“私は悪くないじゃない” という自分を庇う気持ち...
どっちもあるからこそ面倒で
ただ
今まで こんなに長く会話しなかった事が
全く無かったものだから
寂しいというのが本音で
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
颯太は廊下にいて 声も反響しているのに
それでも 聞き分けられてしまうのは
...やっぱり
まだ未練があるんだろう、と
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
颯太(ソウタ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
廊下の声が小さくなってから
教室の壁に寄り掛かって
ずっと、ずっと 混乱する頭を何とかしようと
滲んでいく元彼の机を 眺めていたのを憶えている
だんだん さっきの事が現実なのだと
そう思えるようになった頃には
湊の事しか頭に無くて
どう謝ろうか
なんて声を掛けたらいいか
...そもそも どんなふうに湊と話していたか
何もかも初めての事すぎて
本当に頭の中がぐちゃぐちゃに なってしまって
あの時の湊みたいに
家出した事にして 帰らないのもアリか
なんて 馬鹿な事まで考えてたのは
今思うと とても恥ずかしい
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
久し振りに入った 湊の部屋
机の上には 高校の入学式で一緒に撮った
私と湊の写真が 写真立てに収められて
飾られていた
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
あっという間に 低くなっていた湊の声
優依(ユイ)
湊(ミナト)
いつからか 大人びた瞳になって
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
その声音1つで
その温かな瞳で
私はどれだけ
支えられてきたんだろう
湊(ミナト)
湊(ミナト)
雪の降る隣町で
優依(ユイ)
いつか私がそうしたように
いつの間にか 私より15cmは高くなった身長で
まるで割れ物に触れるように
温かく、優しく
そっと 包み込んでくれた
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
その声が だんだん震えてくるのも
私を抱きしめたその腕に 少し力が込められた事も
私のほっぺたが 気付いた時には濡れていた事も
きっと
湊と過ごした思い出の
――否
私の宝物の
大きいようで小さな1部になって
私の証になるんだろう
...
小さな頃みたいに
面と向かって口にするのは
なんとなく くすぐったいけれど
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
まだお互い
目が真っ赤だけど
湊(ミナト)
それでも
いや、だからこそ
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
伝えたい って
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
耳打ちして答を言った湊を
私は
そっと抱きしめた
最近の雨とは無縁の
よく晴れた空の下で
優依(ユイ)
湊(ミナト)
私は、弟へ言葉を贈る
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
キラキラした優しい光は
紫陽花の葉の上の
雨上がりの小さな雫を
淡く光らせて
私を、湊を、湊の大切な人を そっと包み込んだ
あの日撮った1枚
皆が輝くような笑顔で写ってる その写真は
今も
私のアルバムの中で
私の宝物は
私の心の中で
いつまでも彩やかに 輝いている
結芽(ユメ)
優依(ユイ)
結芽(ユメ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
凪(ナギ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
凪(ナギ)
凪(ナギ)
湊(ミナト)
凪(ナギ)
結芽(ユメ)
結芽(ユメ)
年を重ねる度に増えていく たくさんの宝物は
変わらず
“今”の私を創っていて
優依(ユイ)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
湊(ミナト)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
優依(ユイ)
湊(ミナト)
それはいつか私が消える時まで
途切れることなく
紡がれて、1つになって 続いていくのだろう
きっとそれは
いつまでも――
fin
コメント
6件
自分には兄弟がいなかったので作品を通してあじわう事ができて良かったです!
この2人をもう一度見られて、とても嬉しいです!! 大人になっても仲良しで素敵ですね(* ´ ▽ ` *)
ふぁぁぁっ😭😭 もう最高でした感動でした😭