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無惨は静かに思案していた。あの夜目にした姿が頭から離れない。
白い羽が黒く染まり天使の輪が砕け現れた赤い角。
まるで堕天使――いや悪魔のような姿だった。
無惨
あれは感情の高ぶりによって引き起こされた変化。
力があるからこそ制御できなければ危険だ。
感情に飲み込まれた鬼はいずれ判断を誤る。
鬼殺隊を前にして躊躇するようでは使い物にならない。
情を持つこと自体が問題なのではない。
情に振り回されることが問題なのだ。
無惨はある鬼の顔を思い浮かべた。
感情を嫌い美を理論で切り刻む上弦――玉壺。
そしてすぐに呼び出した。
玉壺
玉壺は露骨に眉をひそめた。
玉壺
玉壺
玉壺
少し間を置き渋々と笑った。
玉壺
その夜。るなは無惨に連れられ山奥へと向かった。
人の気配はなく湿った空気が肌にまとわりつく。
虫の声すら遠く異様な静けさが支配していた。
その中心にぽつりと現れた壺。
いやそれは壺というにはあまりにも生々しい存在感を放っていた。
玉壺はるなを見るなり鼻で笑った。
玉壺
壺の縁からねっとりとした視線を向ける。
玉壺
視線は容赦なく頭の先から足元までをなぞる。
玉壺
玉壺
続けて楽しげに言葉を重ねる。
玉壺
玉壺
そしてくるりと背を向けた。
玉壺
玉壺
るなは思わず眉を寄せた。
月
第一印象ははっきり言って最悪だった。
一方的に喋り勝手に評価しこちらの意思など気にも留めない。
月
玉壺の後ろ姿を見る。
玉壺
月
壺から出たり入ったりしながら饒舌なその姿に脱力感すら覚えた。
月
そう思うと胸の奥がずしりと重くなる。
期待よりも不安の方が圧倒的に大きい。
明らかに弱そうで気持ちの悪い鬼ーー。
るなのテンションは正直なところまったく上がらなかった。
だが――この場所で過ごす時間が
自分の何かを削り形を変えていくことを
まだこの時のるなは知らなかった。