そのとき、僕は昔のことを思い出していた。
ハロルド
ハルちゃん
ハルちゃん
ハロルド
ハルちゃん
ハルちゃん
ハルちゃん
ハロルド
強引で、人の話を全く聞かないハルちゃん
自由で考えなしで頭もあんまし良くない
わがままだし、言い出したら聞かないし、頑固だし、…あとは、あとは、なんだろう
僕を、初めて見つけた人で
……笑顔が似合う、かわいい女の子だ
ハロルド
アメリア
ハロルド
アメリア
アメリア
アメリア
考え方がちょっと変で、笑顔が怖いアメリア。
いつか食い殺されそうな謎の怖さがある
あとは、頭はたぶん、いい
でもやっぱりすごく変で、気が強い
………なんだかちょっぴり、かっこよくて憧れてしまう。
僕は2人からたくさん逃げた
それと同時に、追いかけてほしいとも思っていたと思う
認めたくはないけど
でも
もし2人が死んだら、僕も死にたくなるくらいには、2人のこと、好きだった。
ハルちゃん
アメリア
ハロルド
こんなめんどくさくい僕のこと
初めて、友達だって言ってくれたんだ
僕がどれだけ言葉で拒んでも優しくしてくれる2人に
いつか、好きと、ありがとうを…伝えたかったんだ。
ハルちゃんが死んだ
僕は、怖くなった。
アメリア
ハロルド
アメリア
アメリア
アメリア
ハロルド
好きもありがとうももう、ハルちゃんに言えないから
僕はそれを、いまさらアメリアにも言えない。
僕は、言葉を、失くした。本当の言葉を、失くした。
どうしていいか分からなかった
神様は見てなくても、空からハルちゃんは見ているような気がしていた
うまく、笑えなかった
だけどハルちゃんを安心させたくて、無理して笑うようにした
ハルちゃんに認めてほしくて、強くなろうとした
アメリアとは、ただの友達じゃなくなった
アメリアのことは本当にすごいと思っていた
だから、"先生"として慕った
これは、情なんかじゃない
ハルちゃんがいなくなってこんなに悲しいのは、好きになってしまったせいだ
もう、誰のことも、好きなんかじゃない
でもやっぱり、もしもまた3人で会えるなら、そのときは────。
復讐が終わった
僕は、もっと怖くなった
でもそれよりもっと怖かったのは
ハロルド
夜になってもお母さんもお父さんも帰ってこなかったこと。
いくら待っても2人は帰ってこなくて
数日経ってから、2人は死んでいたことを知った
近所の人が僕を探していたみたいで、気の毒そうに教えてくれた
ハロルド
僕はただひたすらに、歩いていた
クロエ様
ハロルド
ハロルド
クロエ様
そのときは知らなかったけど、そこは輸入船の来る海沿いで
シャーズドウムとサンラシファーの、国境でもあったらしい
ハロルド
ハロルド
クロエ様
船の中から、少年少女がクロエと口々に言いながら、彼に飛びつく
クロエ様
クロエ様
子どもたちはケラケラ笑いながら、荷物を運び出す
クロエ様は輸入船から降りてくると、僕の前に立った
クロエ様
ハロルド
クロエ様
クロエ様
ハロルド
ハロルド
クロエ様
クロエ様は嫌そうに髪をかきあげたあと、苦々しく笑った
クロエ様
クロエ様は少しだけ腰を落とすと、僕に目線を合わせて言う
クロエ様
クロエ様
クロエ様
ハロルド
僕はそれまで気がつかなかった
クロエ様
クロエ様
クロエ様
クロエ様
そして、僕は初めて知る───
ハロルド
ハロルド
ハロルド
クロエ様
クロエ様は、甘く、淡い夢を僕に見せたんだ─────。
コメント
4件
ハロルドくんにとってハルさんもアメリアさんも同じくらい大切な存在で大好きだった……のに、ハルさんが死 ん でしまったことでハロルドくんの中で何かが壊れてしまった中、両親を殺 さ れ てしまうという悲劇が起きる……。ハロルドくんの人生は誰かの手によって壊されてしまい、最終的にはクロエ様に助けられた、ってことだよね…… もしハルさんが生きていれば、両親が生きていれば……、