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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

これで良かったんだ。

クロエ様について行ったことは、今も後悔していない。

ほったらかしのあの国とは違って、ここではみんなが同じ方向を見据えていた。

王様だって、優しいし色々話してくれる

強い魔力があるのに体質には合わず、肌が焼けはじめたとき、クロエ様は戦わなくていいと言ってくれたこともあった

僕自身も、瞳が傷み、体の内部から自分が壊れていくのを感じていたけれど

でも…それでも僕は、誰かを憎まなきゃ生きていけないから

"ハルちゃんを殺すことを止めないあの国"に復讐するために、戦い続けた

僕の説明できない苦しみも、感情も…この説明できない魔法という仕組みに守られた国では、考えなくて済んだ

…再会したアメリアは仲間に囲まれて、もう僕たちのことなんて乗り越えたように笑っていた

だから、殺してやりたいと思った。憎むことしか知らなかった僕は、大切だったアメリアをも憎んだ。

でも違った。乗り越えたんじゃない。アメリアは言っていた通り、きっと"抱えて生きている"。

ごめんなさい。それなのに、一緒に苦しんでほしいのを、お前が死ねばよかったなんて、そんな言葉にしてしまった

…うまく言葉も伝えられなくて、間違ったことばかりする僕は

"正解"の道を歩いてるアメリアに、殺してもらうべきだったんだよ。

僕は"死ぬべき"でアメリアは"生きるべき"。

だから、貴方が殺してくれないのなら、せめて抱えてくれるうちに死ぬよ。

あ゙〜〜、痛いなぁ。まだ痛い。まだ死なない。まだ、時間がかかる。

長い。永遠のように感じられる長さ。静かで、苦しくて…。

ハルちゃんも、きっとこんな気持ちだったのかな。

ああでも僕は、ハルちゃんとは違う。

だって、これはすごくすごくひどい考えだけれど────

この荷を下ろせることを、やっと、なんにも気にしなくて良くなることを…

少しだけ、救われるようにも思ってしまうんだ。

ハルちゃん。お空の上で、待っててね。

今、行くから────。

クロエ

キリがいい。…もう、やめにしよう。

アメリア

………は?

アメリア

駄目だ。ここまで来てしまったら、最後までやらなきゃ気が済まない。

アメリア

お前を殺す。

クロエ

クロエは真剣な眼差しでアメリアを見ていた。

しかしすぐに、ため息を吐く。

クロエ

はいはい分かった分かった!悪かったよ!

クロエ

でもさぁ、これ以上僕たちが戦って何を生めるんだい?

クロエ

きっと…、意味はないよ。こんな戦いに

アメリア

お前らが始めた戦いだろ!

クロエ

そうだけど…。こちらの目的はもう果たした

アメリア

は?

クロエ

僕が戦いを仕掛けたのはまず、先手を打つため…キミたちが殺しのため入国した可能性の考慮だ

クロエ

そして…今、キミたちが本気で僕らを見、viperを知ろうとしていると理解した

クロエ

人は追い詰められてはじめて心からの本音を漏らす

クロエ

お前たちはライアンの奴隷でもなければ、その意志を担いでもいなかった

クロエはそこで、テヘルとアイザックを見る

クロエ

あの王国の体験者、それから大切な人、色々…試した、そして分かった

クロエ

キミたちになら情報を教えてもいい。

アメリア

お前は…どこまでいっても"理性的"なんだな…

アメリア

人の心ってのがないのか!?

クロエ

…ハロルドは

クロエ

僕が唆さなくても、再会したアメリアと戦って死のうとしていたよ。

アメリア

ああ分かるさ!そうだろうな!

アメリア

だけどそれでも防ごうと尽力はできただろ!

クロエ

無理だよ。あの子の意志は固まっていた。最初からね

クロエ

それは感情論だ

アメリア

っだから〜〜…!

アメリア

そういうことじゃないって言ってんだろこのクソサイコパス野郎!

クロエ

………は?

クロエ

あのさぁ…黙って聞いてれば…。じゃあこちらも言わせてもらうけど!

クロエ

もうハロルドはキミが救える状況になかったって言ってんだ!この石頭が!!

クロエ

そもそも過去がなんだか知らないけどずっと一緒にいてやれば良かったろ!!

クロエ

責任を押し付けて自分は安全圏から責めてくるなよ卑怯者!!!

アメリア

…っ違う、アイツが…これ以上殺しに関わってほしくなかっただけなんだ

アメリア

んなの関係ないお前にとやかく言われる筋合いねえだろ!!!!

飛びかかりそうな勢いのアメリアを、咄嗟にサミュエルが止める

サミュエル

ハイハイおしまい!言い争いは無駄だ!

アメリア

あ!?お前はいいのかよ!

サミュエル

…いいかどうかじゃない!

サミュエル

アメリアだって本当は、ああするしかないこと分かってたでしょ?

サミュエル

今ここで死ぬことが、一番…ハロルドにとっては救いだったはずだ。

サミュエル

あなたがハロルドを殺せなくても。

アメリア

…っ、でも…っ

サミュエル

とにかく。もう意味のない血の流し合いはやめる。これは別に悪い事じゃないでしょ?

サミュエル

コイツらに協力するって言わせた。それだけでこの戦いに十分意味はある!

クロエ

仲間にまで言われてやんのー!バーカバーカ

 

コラ!追い討ちかけないの。

クロエ

いだっ

サミュエル

…今聞くべきなのはそれじゃない。viperのことと…それから

テヘル

まずはミュール…だろ。返せよ。アイツをどこにやったんだ

メラ

そうだよ!アンタたちのせいでいなくなったんじゃん!まずミュールを戻してくんなきゃ協力なんて無理!

 

…そのことは、申し訳ないと思ってるの

 

私たちがミュールに当てていた子とともに消えてしまった。私たちにも…分からないの

 

おそらくあの子は、私たちを裏切ってviperに従ったのね

アメリア

…っんなの……いきなりお前らのことなんて信じられるかよ…っ

 

そうね。協力を仰ぐなら他に言わなきゃならないことがあるわね

 

ね、クロエ?

クロエ

う、うるさいな…。ていうか、やっぱ協力なんてしない!

 

はぁ?言ってたでしょ、場合によってはそうするって───

クロエ

いーや!今決めた!やっぱコイツらの事嫌いだ!協力なんてしない!

クロエ

コイツらどれだけチームワークがいいのか知らないけど

クロエ

それで頭が弱くなるなんてイライラする!

アメリア

うっさい薄情者!お前らのことなんて信じねえよ!

サミュエル

もう、アメリア───!

メラ

そーだそーだ!メラたちはお前らとは違うんだよーだ!

サミュエル

ちょっと、メラまで!今は落ち着いて情報をもらうことが第一でしょ!

テヘル

…そうだよな

サミュエル

良かった、テヘルくんは分かってくれるよね────

テヘル

アイクにあんだけ手ぇ出しておいて今更取り入ろうなんて許せねえよ!

アイザック

ちょ、テ、テヘル?

クロエ

それはキミを試しただけだろ!!

 

貴方たちってば…みんな揃いも揃って……。情報を聞きたいんじゃなかったの?

 

そういうバカなところ、一周回って似た者同士ね、アメリアにクロエ。

アメリア

一緒にするな!!!

クロエ

一緒にするな!!!

 

ぷっ

 

ふふふ!!!いいわねあなた。気に入ったわ!

 

私はオーロラよ!事の権利はすべてクロエにあるから私から協力を仰ぐことはできないけれど

アメリア

オーロラね。…まあ、そうだろうな

アメリア

というかお前、クロエを呼び捨てしているのか

オーロラ

そりゃあそうでしょ?私のような女じゃなきゃクロエは落とせないわよ

アメリア

どこまで本気なんだか

アメリア

つーか、こっちだって協力なんてするかよ

オーロラ

アメリア。聞きなさい。

アメリア

…っ

アメリア

(コイツ…絶対私にクロエと同じ扱いをしてる)

オーロラ

オーロラ

…。"viper"。

サミュエル

アメリア

全員が反応し、空気が変わる。

クロエ

おい!勝手に言うなよ!僕まだ何も言ってないだろ!

オーロラ

うるさい

クロエ

!?いつもは優しいのに…

オーロラ

貴方だって意地を張ってるだけで本当は教えてあげる気だったのでしょう

クロエ

オーロラ

…で、貴方たちはどこまで知っているのかしら?

銃口の先のエンディング

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コメント

3

ユーザー

結局、ハロルドくんのほんっっっとうの本音をアメリアさんに伝えることは出来なかったけど、ハロルドくんは幸せな最期を迎えることが出来た…のかな……😌😌 わー……似た者同士だ、この2人……。っていうか、2人ともさっきの威厳はどこいったんだよ(( ミュールさんのところにいた人はクロエ様達を裏切った、か……オーロラさんがどこまで話してくれるか分からないけど、少しでもヴァイパーについて分かればいいな💭

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