睦月加奈
い…たい……です…
師走有栖
え?何?
弥生夢乃
こいつまだ喋れるんだ
長月陽菜目
誰も助けないよ?
静かな教室。
そこにいるのはか弱いかなと、気の強く、いじめっ子の有栖。そして、ゆめのとひなめだけの4人で、鈍い音が響き続ける。
睦月加奈
どう……して虐めるん…ですか……?
師走有栖
うーん、気が弱そうだから、かなぁ(笑)
弥生夢乃
うちは有栖さんが好きだから一緒にいたい…的な?
長月陽菜目
あたしは普通に有栖とは仲がいいからね。裏切るわけにゃいかんのよ
師走有栖
そもそもまだ喋るの?
師走有栖
もう黙ったら?口の中切れちゃうよ?
そう言って有栖はかなの顔を蹴った。
ドスッ
静かな教室に音が響く。
睦月加奈
ガァッ、
長月陽菜目
有栖この子口ん中ほんとに切ったよ(笑)
弥生夢乃
ウケるんですけどー(笑)ゆうこと聞かないからー(笑)
師走有栖
ま、今日はここまでにしようかしらね。
あなた達行くわよ!
弥生夢乃
はい!
長月陽菜目
はーい
長月陽菜目
まったねー♪かーなーちゃん♥
睦月加奈
……(口の中が苦い。鉄のような血の味がする。)(?だれかきた?)
佐藤光良
やっべー筆箱忘れるとか私としたことが
ガラガラガラ
みらが教室に入るとそこには口から血を流している大人しそうな少女が体育座りをして遠くを見つめている姿があった。
佐藤光良
えッ!?どうしたの?大丈夫?!
睦月加奈
???
佐藤光良
そこのメガネの女の子だよ!おーい!
睦月加奈
!(このクラスにメガネの子は私しかいないはず…!まさかこの子、私を心配して…)
睦月加奈
あの、もしかして、私の事…ですか?
佐藤光良
そうだよそうだよ!
口から血が出てるよ!大丈夫?!よく見たらあざもあるじゃんか!
睦月加奈
私なら平気だから、気にしないで。この血も口の中が少し切れただけだから。
佐藤光良
何言ってるの?!
睦月加奈
え……?
佐藤光良
それでも痛いでしょ?
保健室行く?その前に口ゆすぐ?あ、あざの手当もしないと!
睦月加奈
(この子優しいんだな)
佐藤光良
あれ?そういえばなんでこんな所でうずくまってんの?アザもあるし、
……………もしかして、イジメ?
みらがそのセリフを言った瞬間かなの目付きが変わった。さっきまでは死んでいた目が一瞬、生きた目になったのだ。
その眼差しはまるで、知られてはいけないことを知られたかのような、、そんな目だった。
みらはそれを逃さない。
佐藤光良
やっぱり!
なんで言わないの?助けてって!苦しかったんでしょう?痛かったんでしょう?
睦月加奈
え……?
そのセリフを聞いた瞬間、かなの目から涙が溢れてきた。
睦月加奈
?なんで涙が、涙なんて………悲しいなんて感情消したはずなのに…
佐藤光良
かなちゃん…………
大丈夫だよ?ずっと、ずっと、我慢してたんだよね……?偉いね。よく頑張ったね、辛かったでしょ?怖かったでしょ?寂しかったよね…………
睦月加奈
うんっ………………
うん………………(もう無理)っうぁぁぁあぁあぁぁぁああぁぁぁあ
体育座りをしていたはずのかなはいつの間にか泣き崩れ、みらに支えられながら泣いた。
初めて話したとは思えないほどに泣いた。
睦月加奈
(久しぶりにこんなに泣いたな。いつからだっけ助けてって言えなくなったのは)
睦月加奈
おはようございます!
先生
はいおはよう。
睦月加奈
名塚くんもおはよう!
名塚
ん、おはよう。かな
睦月加奈
ねぇ、今日は会える!?
名塚
うん
睦月加奈
じゃあ家に着いたら連絡してね、連絡来たら家行く!
名塚
わかった。じゃあまた後で
睦月加奈
うん!
師走有栖
師走有栖
………(あの二人………)
名塚
着いたぞ
睦月加奈
分かった!今から行くね!
名塚
おう
名塚
おう、開いてるぞ
睦月加奈
おっじゃまっしまーすっ!
名塚
ったく、お前は全く抵抗がないな
睦月加奈
何が?
名塚
家入んのはいいって言ったからいいけど、勝手に部屋入るってどういう神経してんだ?
睦月加奈
だってぇー、玄関まで来てくんないじゃん
名塚
まぁな(笑)
それより何する?
睦月加奈
遊ぶ
名塚
何して?
睦月加奈
お散歩!
名塚
遊びじゃないだろ(笑)
まぁいいや、じゃあ行こうぜ
睦月加奈
うん!
師走有栖
(絶対あの二人は付き合ってる!私名塚くん好きだったのに……!家も近いし、脈アリだと思ってたのに!あの女、許さない。)
睦月加奈
わぁ~、外あったかいねー!(>▽<)
師走有栖
(?!)
名塚
だな。
睦月加奈
ん?あれ?有栖さん?
師走有栖
あら、偶然ね。こんにちは、あなたと話すのは初めてかしら?
睦月加奈
うん、そうだね!
名塚
よお、有栖
師走有栖
あっ、名塚くんこんにちは。(/////)
睦月加奈
?有栖さんは家近いの?
師走有栖
えぇ、この辺にあるわ
睦月加奈
そうなんだ!
師走有栖
2人は随分親しいように見えるけど、付き合ってでもいるのかしら?
睦月加奈
うん、付き合ってるよ!
師走有栖
…そうなのね、じゃあデートの邪魔しちゃったかしら?
…邪魔者は帰るから2人で楽しむといいわ。
その有栖の言葉は力のなくどこか遠くへ向かって話しているように見えた。
睦月加奈
(?なんか違和感…)
そんなことないけどな、じゃあまたね!有栖さん!
名塚
またな有栖
師走有栖
えぇまた学校で(学校にかなが来る頃には机はもうとっくに……ふふっ………楽しみだわ)
その後2人は散歩した後に少し遊んでから帰っていった。かなは少し有栖の言葉が引っ掛かったが、特に悩むことはせずにその日を過ごした。
翌日
睦月加奈
え…?
かなの目線の先には「男たらし」「ビッチ」「ぶりっ子」などの暴言が書かれている机があった。
名塚
どうしたんだ?か……な……
睦月加奈
あ、名塚くんなんだろうね、これ…
名塚
なぁ、こんな時悪いがかな。別れてくれ
(俺には背負いきれねぇよこんなもん、めんどくせぇ)
睦月加奈
え?なんで急にそんな……
冗談だよね?
名塚
悪い、もう今日からただのクラスメイトだ。じゃあな?
(悪いなかな、俺は幸せに生きたいんだ)
睦月加奈
え…?そんな…………
師走有栖
あっれー?かなぁー、その机どうしたのぉー?
弥生夢乃
ぷっ、まじうけるんですけどー、ビッチとか(笑)何?男たらしなの?あんた、
まじ引くわー
長月陽菜目
こりゃ酷い(笑)みんな性格悪いねーあんたいつも来んの遅いのにあんたが来るまで誰も拭かなかったんだねー♪
睦月加奈
え?有栖さんに…えっと、夢乃さんと陽菜目さん?
どうしてそんなこと…?初めて話すはずなのに……
弥生夢乃
当然じゃん?
長月陽菜目
そりゃあね?
睦月加奈
なん…ですか…?
師走有栖
あんた知らないの?このクラスでは、私の好きな人とったらもう、ねぇ?
長月陽菜目
まぁ、ビッチで男たらしで仲間外れにされてたアンタにはわかんないでしょ、彼氏も脅されて付き合ってただけだし?
睦月加奈
え、嘘でしょ…?
長月陽菜目
嘘だよ(笑)なんでも信じるんだねあんた(笑)まじうけるぅ~www
師走有栖
その辺にしなさい、陽菜目
まぁ?こんな時に別れようって言う彼氏なんて十中八九貴女の事そこまで好きじゃないだろうけど?
弥生夢乃
ホントだよー、本当はあんたなんかのこと好きじゃなかったり?
まぁ、ひなめは言い過ぎだけど
長月陽菜目
そうだね、ごーめんねぇ?かーなーちゃん?
睦月加奈
睦月加奈
そんな感じでいじめが始まったんです。
佐藤光良
そっか…
睦月加奈
でも、1回助けようとしてくれた人も居ましたよ ?
それは、かなの目から完全に光が消えた時の事だった。
その時からかなはやめてください。しか言えなくなっていた。
睦月加奈
グゥッ、
師走有栖
あはっ🎶耐えた耐えた🎶
長月陽菜目
有栖ー、サイコパスみたいだよ?
師走有栖
だって、もう2分同じところを蹴り続けてるんだもん♥
弥生夢乃
まぁ、凄いよね
長月陽菜目
それもそうか
睦月加奈
っ……!
師走有栖
あれ?ものも言えなくなったのかなぁ?(いい気味ね)
甘崎琴音
何……してるの?
長月陽菜目
ん?何の事?
弥生夢乃
あぁ、もしかしてぇー
夢乃はかなは掴んで持ち上げ、琴音の前に出した後、思いっきり離した。
睦月加奈
ガァッ、
弥生夢乃
こいつの事?
師走有栖
うわぁー、ゆめのったら酷いねぇー
弥生夢乃
有栖さんこそー
で、どうなの?こいつの事なの?
そう言い放った夢乃の顔はとても残酷で、冷徹な顔だった。
目は狂気に満ちていて、はい。と言ったらお前もこうなるぞ。と脅しているようだった。
甘崎琴音
そうですよ!
……と言うとでも思いますか?冗談ですよ!じょ・う・だ・ん!
弥生夢乃
そーう?ならいいか、
ねっ?有栖さん?
師走有栖
えぇ、そうね
長月陽菜目
だって、良かったねー。2組の琴音さん?とばっちり食らう前にとっとと戻んな
甘崎琴音
甘崎琴音
(良かったー)
ことねは何かを言おうとしてから少しニヤッと笑ってクラスに戻って行った。
睦月加奈
睦月加奈
こんな感じで すぐに行っちゃったんだ。
佐藤光良
そっ…か
睦月加奈
でも、君はなんだか信用出来る気がする。
佐藤光良
そっか…じゃあ明日からは私たちの戦いだね。
睦月加奈
うん!
かなはまた嘘を語った。
みらはかなが嘘をついて有栖たちに協力して、ターゲットを探していることに気づいていなかった。
数ヶ月後
睦月加奈
なぁーにが「明日からは私たちの戦いだね」だよwww
さぁーて?次は誰にしよっかなァー?
師走有栖
次はあんたがいじめ役ね?かな
睦月加奈
はーい
弥生夢乃
じゃあ、私がいじめられるよ
長月陽菜目
私はいつも通り罵ればいいでしょ
師走有栖
みんな理解が早くて最高ね。信頼してるわ。
睦月加奈
そうかなー?へへっ🎶
ことねは、随分前に自殺していた。
そして、また不幸は続く、
これは狂気に充ちた少女達による、 ずっと続く不幸の連鎖の物語。