この作品はいかがでしたか?
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あの図書館を出て廃城にと足を運んだ
城門をくぐりエントランスと思われる場に着く
2階に上がるための階段は崩れ落ちて使えそうなものでは無い
他の道を探すため辺りを見渡す
高価な装飾品に綺麗にまとまった煉瓦造りの壁
なかなか強固な素材を使っているのか並大抵の武器では傷はつかないだろう
とは言え、やはり老朽化には耐えられないようでその状態だと壊すことは容易だと
その時ふとある壁に目がいった
強い衝撃を与えられてヒビが入ってる
少し気になるのはそのヒビの入り方だ
まずヒビの出処だが明らかに何かしら鈍器で壁を叩かれている
そこから亀裂が入っているのだがそのサイズが問題なのだ
少なくとも人間が持てる大きさの鈍器ではない
直径では大人まるまる1人分は入るだろう
そんなおぞましい跡がいくつも見られる
この跡は人間では到底作れない
となるとこの国は人間以外の何かが存在していたことを証明してるかもしれない
思案するルウスを他所に白狼エヴィエニスは別の道を見つけていた
エヴィエニスが吠えたことでルウスは我に返りその方向を向く
まだエントランスに来たばかりだ
ここであれこれ考えるよりは先に進みこの国が何故廃国となったのか
それを調べた方が早いと考えエヴィエニスと共にその先に行く
仮定上の話ではこの国は深淵と関わりを持っているということ
その手の情報はきっと重要機密ということで国に保管されてるはず
この国の学者の部屋なり国王の部屋なりそれらを見つければ一気に深淵に近づく
エヴィエニスには悪いが気になるところは一つ一つ調べさせてもらうことにした
〜???〜
不思議なところにやってきた
あてなく歩いていたのは事実だが
感覚的にここに来るように仕向けられてたような気がしてならない
言葉にできない得体の知れない力という訳なのか
確証こそないがそう言わざるを得ない
不思議と足がここに向かったのだから
辺りは黒一色の世界
その世界になにかの花をもした紋章のようなものが正面の壁に彫られている
この国の国章なのだろうか
だとして何故そんなものがこんな辺鄙な所に掘られているのか
そもそもこの場がなんなのか分からない
何の目的でこの部屋が作られたのか
家具ひとつ見当たらなくあるのはこの紋章と黒の世界
得体の知れない力によって導かれたのだとしたら不気味でしかない
とにかく今はこの場所に用はない
今行くべき場所は学者の部屋か国王の部屋の二択なのだ
可能なら王国図書館を見つけたいところだ
そんなことを考えているとエヴィエニスが急に吠え出す
彼女の吠えた方を向くと国章から黒い影が生まれ床にと転がり落ちる姿であった
この状況誰がなんと言おうと明らかに異様な事態だと言うのが見て取れる
生まれ落ちたあの影は一体何なのか
そんなことを流暢に考えてる暇はない
とにかく今はこれと距離を置き警戒態勢をとるに限る
少ししてあの影はゆっくりと起き上がる
それは人の形をしているがあくまでそれは自分達が取っ付きやすい姿だからだろう
警戒されぬような姿を形成したところで出てくる瞬間を見た者には通用しないだろう
それを察したのかすぐに形を変えゼリー状の姿にと変化した
この姿が本当の姿なのだろうか
もしこの影のような存在が深淵だとするならば取りつかれた時点でおしまいだろう
迂闊に近づくことは出来ない
だが、近づかなければ倒せない
それもまた事実ということ
意を決して剣を構え縦に切り裂く
幸い動きも鈍く容易に攻撃することは可能であった
縦に切り裂かれたゼリー状の何かはそのまま何もせず消えていった
あれが深淵の正体なのか
それはまだ確証は得られないものの
この国と深淵が関係してるのは確実である
とにかくこの場所を覚えておき他を当る
あくまでこれは予想の範囲を過ぎないが
いずれここに戻る時があるからだ
この場から深淵らしきものが生まれるのなら
その生まれた先に主がいると予想できる
しかしそこに行く方法もそもそもその先があるのか
それはまだ予想の範囲を過ぎない
そのためその仮定を立証するものを得るのに
別の場で情報を得る必要がある
その鍵を握るのが国王だろう
全て予想や憶測1歩間違えればこうであって欲しいという願望
それに近しいものである
しかし意外なことにエヴィエニスはこの深淵を見つけるのが上手いようだ
彼女を頼りに先を進めば深淵関連の文献なり何かを得れる
その期待を胸にルウスはこの部屋を去る
〜???〜
先程とはまた違う不思議な場に出た
機械仕掛けの部屋
何かを動かすのにこの部屋を使うのだろうか?
しかしいまいち用途はわかっていない
だが、彼女がここまで導いてくれたのだ
きっとこの部屋には深淵にまつわる物があるはずなのだ
疑り深く辺りを見渡していると気になるものを見つけた
この機械仕掛けの部屋に似つかわしくない本棚の存在だ
どう違和感があるのかと言われればその本達にある
この機械関連のなにかならともかく
全く関係のないと思われる宗教的な本
他にも黒魔術的なものもちらほら見える
恐らくこの本棚の裏に深淵にまつわる何かがあるらしい
そこまではわかってもこの先に進めない
何故ならこの本棚の両端にはまた別の機械が組み込まれているからだ
これでは横から押して先に進むということは出来そうにない
だが考え方を変えればこの仕掛けさえ動かしてしまえば先に進めるということ
むやみにあれこれ起動するのは得策ではないだろうからもう一度辺りを見て
ヒントを得てからその仕掛けを動かしていこう
幸いこちらには鼻の聞く相棒がいる
エヴィエニスの嗅覚を頼りに様々な謎といて回った
そしてついにその本棚は動きその先の道が顔を出してくれた
中に入るとちょっとした書斎となっている
ここまでして隠されていた書斎の存在
公には言えぬまた見られてはならないものがここにはあるということが分かる
机に置かれたとある本を拾い上げ中を確認してみる
その本はとある国の歴史について記されたものであった
別の本を確認するもやはり特定の国について入念に調べていたようだ
その中で特定のページが開かれたままの本をみつけ中を見てみる
そこにはしっかりと【深淵】という言葉が書かれていた
詳しく調べるとある国はその深淵によって滅んだという
深淵の主は元はその国のただの住民であったらしいが
国の開発した魔法の実験体として選ばれてその実験の副産物として生まれたのが深淵ということが判明した
その生まれた深淵に最も近かったのは言わずもがなその住人である
副産物の深淵に飲まれ彼はもう人を辞めてしまい
そして自我すらも失いただ暴れ狂い遂には国自体を消し飛ばしたという
その最後の時国の七賢者と言われる者達が全てを賭け何とか彼の封印に成功した
体から発せられたその黒いオーラは消え去り人の体に戻るとそのまま息を引き取った
しかし暴走が収まったところで国は崩壊を辿るしかなくそのままその国は歴史から姿を消すことになる
この本にはそう記してあるがでは何故今この国で似たようなことが起きてるのか
それを示すものがエヴィエニスが見つけ口にくわえていた
なにかの近況報告書のようなものだろう
内容は今見た深淵の主の遺体を見つけそれを弄んだということ
その結果彼の遺体に眠る深淵が動き出し結果として滅びを辿ることになった
これで深淵が何かということが判明した
古の自体の無名の国が生み出した魔法の副産物
それが深淵であり、深淵の主はその実験の被検体
今この国に起きてる出来事はその無名の国と同じ運命にあるということ
いや1歩間違えればそれ以上のものとなる
あの国は七賢者により被害を最小限に抑えたが
今回はそうはいかない
何故ならもう住民もみな深淵に飲まれたのだから
この国にはもう深淵を止める者がいないということだ
それが示すのは世界の崩壊ということ
自体は自分が考えるほど甘くはない
この書斎を片っ端から漁って深淵について深く知りその後対策を取るしかない
まだ深淵が何なのかということしかわかっておらず
深淵がもたらす厄災については大きな情報は生まれていない
それを調べるまではこの部屋を出ることは無い
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