蘭丸
え⁉︎て、鉄砲ヶ原さん⁉︎

蘭丸
死んだ筈じゃ...

天望
落ち着け、蘭丸

と、あっしはこれまでの経緯と
現状を彼に詳しく説明した。
天望
...信じてもらえないかと思うけど、結構マジだ

蘭丸
...なるほど、そうだったんすね

蘭丸
信じるっすよ

天望
え?軽っ

蘭丸
だって、過去の姿のままの鉄砲ヶ原さんと、こうして話せてるのが動かぬ証拠っすからね

蘭丸
あの時は本当にありがとうございましたっす

蘭丸
鉄砲ヶ原さんがいなければ、僕達が研究所から脱獄することができなかったっすから

天望
お、おう

遥翔
何その反応

天望
感謝され慣れてないだけだ、ほっとけ

天望
まあ、過去の話はそれくらいにして...どうだ?今は幸せに過ごしてるか?

蘭丸
幸せ過ぎるくらいっすよ

蘭丸
妻や子どもに恵まれて、毎日が楽しいっす

天望
そうか、それは良かった

蘭丸
今日は仕事終わりに花澄のクリスマスプレゼントを買いに来たんすけど...このザマっす

天望
こうなることは誰にも予想できなかったんだ、仕方ない

天望
まあ、蘭丸が幸せに過ごしているのなら、あっしは安心して去れる

蘭丸
逆に鉄砲ヶ原さんはどうなんすか?

天望
あっしか?...まあまあだ

遥翔
彼女は、君を助けるために自分の幸せを投げうったんだよ

遥翔
本当は同僚に会いたいって願いも

天望
お前ッ‼︎

蘭丸
そうだったんすね...

蘭丸
神崎さん、鉄砲ヶ原さんを元の世界に帰してくださいっす

天望
蘭丸、別に

遥翔
いいよ

天望
え?

遥翔
え?

天望
お前はあっしを助けることだろ?...え?帰してくれるのか?

遥翔
んー、何で研究者ってみんなこう...頭が固いんだろうね...

遥翔
僕が言ったのは君を幸せにすることだ

遥翔
だからこの場面も助けるし、元の世界にも帰すつもりだよ

天望
なっ...マジか...

蘭丸
良かったっすね、鉄砲ヶ原さん‼︎

天望
あ、ああ...

蘭丸
あれ...?でも待つっす...

蘭丸
神崎さん、元の世界の現状ってどんな感じになってるんすか?

遥翔
元の世界は彼女が死ぬ直前、つまり君達の脱獄計画の日だよ

蘭丸
ということは、あの炎の海の中っすよね...

蘭丸
...鉄砲ヶ原さん、少し伝言を頼んでも良いっすか?

天望
伝言...?何だ?

蘭丸
ボイスレコーダーとか無いっすか?

天望
え?そんな物

遥翔
あるよ

天望
何でだ

蘭丸
ありがとうっす、じゃあ行くっすよ

蘭丸
ーーーーー

蘭丸
ーーーーー

天望
....

天望
....

天望
....‼︎

天望
蘭丸...お前は...

天望
分かった...分かったよ...

一通り話し終えると
蘭丸は録音停止ボタンを押した。
蘭丸
お願いできるっすか?

天望
ああ、任せろ

天望

天望
絶対に“生きてやる”ッ‼︎

遥翔
...さて、そろそろ時間だ

遥翔
もう思い残すことはないね?

天望
悲しいが...蘭丸の伝言、あっしが承った

蘭丸
鉄砲ヶ原さんならできるっす

天望
任せろ、蘭丸は家族で素敵なクリスマスを過ごすんだぞ

蘭丸
そうっすね、そうさせてもらうっす

蘭丸
じゃあ、応援してるっすよ。鉄砲ヶ原 天望さん

天望
ああ、末長くお幸せにな。流鏑馬 蘭丸

こうして、あっしは
蘭丸のいる世界に別れを告げた。
そして、あっしは覚悟を決め、
“最期の業火”へと歩みを進めた。