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それからも

父の気性がおさまることはなかった

家事もご飯も全てぼくがやる

弟の分は作る

でも、殴られていても助けない

それでも

コトン(飯置)

にーに!

ありがとうニコッ

弟は、僕を嫌おうとしなかった

むしろ、昔から人懐っこかった弟は、

まだ僕にまで懐いていた

にぃに!

でも当時の僕は、

それが鬱陶しかった

…なに?

用がないならさっさと食べな

…うん、ごめんなさい

でも、小学校に上がって以来

僕は彼が泣くところを見たことがなかった

すぐに謝るような子

そんな印象がついていた

父自身も少し僕と同じような考えを持っているのかもしれない

父は、とてもイライラしている時は僕も殴った

でも、明らかに弟の方が殴られている回数は多い

自分の部屋にこもっていても声が聞こえた

んだよっ!!

腹立つんだよ、その目!

…ごめん、ごめんなさい!

うるせぇ!!

母さんを返せ!!!

ごめん、なさい、、

酷い難癖ではあるとは思った

でも僕もそう思う気持ちは少なからずあったため

過去の優しい父が黒く塗りつぶされていくのを見たくなかったため

赤を助けようとは思わなかった

…あ、にぃにニコ

それでも赤は、僕に笑いかけた

…うざ

話しかけないで

あーあ、小さい時は

もうちょっと仲良かった気がするんだけどな

…ごめん、ね

小学生になったばかりの

まだまだ幼い弟

「ごめんね」しか発さない弟

そんな日々が続いた

僕は高校にあがった辺りから家にいる時間はほぼなかった

赤が殴られきって、父さんが疲れて寝たであろう時間

それを狙って帰った

週に2回ほど出くわして、殴られることはあった

でも、弟は毎日毎日殴られている

それと考えたら全然マシだろう

そういう考えはあったが、

すでに“日常”と化してしまっており

僕は特に「助けよう」なんて感情、今更これっぽちも湧かなかった

そして僕は高3になった

そう、今年の初めのことだ

僕は大学受験が迫ってきた

たまに勉強を家でやらざるを得ない日も、

父の罵声と弟の謝る声

それが耐えられなかった

そして僕の家庭環境が良くないことを友だちに言った

すると、友だちは提案してくれた

「受験まで一緒に俺の家で一緒に住まない?」

その友達は一人暮らしをしていた

だから僕は、家賃などを折半することを約束し

一緒に住まわせてもらうことにした

だから大体の荷物もコツコツ1週間ほどかけて持って行った

明日からはこの家は帰ってこない

そんな日のこと

にぃに、?

どこか行くの?

弟が話しかけてきた

…ああ

友だちの家で住むことにする

…多分もう、この家には帰ってこないから

…そっ、か

今までありがとね!

ごはん、すっごく美味しかった!!

…ん

…じゃあもう、行くね

…うん!

ばいばい…

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