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傀儡

第9話 - 7話

100

2025年04月05日

#ミステリー

#一次創作

#ドラマ

アクヤ

マリーゴールド

足音がしなかった？

カシュウ

あぁ。もしかしたら
気のせいかも知れないけど……。

カシュウ

五感強化……固有能力を
使っても聞こえなかった……。

アマーリア

……人間を嫌ってる様子だから、
もしかしたらDollなのかも。

桜華

でも、保健所にバレずに
自由に行動するなんて
可能なのかな？

桜華

だって、ましろたちでも
指名手配として警察に
名前と顔が出てるんでしょ？

桜華

それなのに探せるなんて、
ありえるのかな？

マリーゴールド

そうゆう能力……とか？

ベッフェリオ

……じゃあ私達を
眠らせる必要がないんじゃない？

アマーリア

うーん……。
ドールちゃんは何か知らない？

ドール¿

……私もあの人のことは
“観測者様”に聞いてないから
分かんない。

マリーゴールド

(観測者様？
あの人の事を指してるの？)

ドール¿

名前も教えて貰ってなくて……。

アマーリア

じゃあもしかすると、
教えたくないくらい嫌ってるのかな。

カシュウ

だとしても、今危険に晒されてる限りちょっとは教えてくれてもいいだろってなるけどな。

ドール¿

観測者様、自分の事はあまり
話さないんだ……。

ドール¿

いつも他人の事ばかり……。

マリーゴールド

……じゃあ、Dollが認められるまでの間私たちがするべきことは、

マリーゴールド

彼のことを知ること、だね。

桜華

そうだね！

桜華

何か知れたら変わるかも
しれない！

アマーリア

ドールちゃんが安心する
ためにもね。

ドール¿

皆……ありがとう！

ドール¿

でも、皆にはもう一つ
やるべきことがあるんだ。

ベッフェリオ

やるべきこと……？

ドール¿

自分の能力をコントロールする練習！

ドール¿

ここでは皆で共同生活する
わけだから、

ドール¿

暴走しない様に
コントロールするの！

カシュウ

能力を、コントロール……。

大輝

あの、皆さんは……。

大丈夫、安全な場所に
いるから。

君はまだ、行けないけど……。

ここで僕と、調査をしてほしい。

大輝

調査ですか？

そう言うと、いくつかの紙の書類を僕の前に差し出した。

これは、今までDollが暴走して
人を傷つけた事件の報告書。

保健所のものをコピーして
持ってきたんだ。

大輝

そんな事していいんですか⁉︎

あまり良いことじゃ
ないけどね。

今の所長は僕だから。

大輝

え……

えぇ⁉︎

声が大きいよ。

大輝

す、すいません……。

まあ……良い雰囲気で所長に
なったわけじゃないし。

今の環境は、変えられなかったしね。

所長なんて名前だけだ。

優しく笑う彼は、なんだか苦しそうだった。

それで、君にはこの書類を
一通り目を通して欲しい。

なぜ襲ったのかどんな能力だったのか、
人に害を与えるものだったのか、
全て調べて欲しいんだ。

そして、この本を使って
Dollが生まれた時代から
その様な事例があったか、
事例が起きたのはいつかを
調べて欲しい。

家でやっても良いし、
母親にバレたくないなら
ここの鍵を渡すからいつでも
ここに来たらいい。

目の前に本と鍵を置かれて、自分の鞄にしまう。

大輝

ありがとう、ございます。
信用してくれて。

……君は、昔の僕に
よく似ている。

大輝

え？

救えなかったんだ。

……僕も、ね。

さ、重い話は終わりだ。

あぁ、自己紹介がまだだね。

僕は“トラディメント”。

トラディメント¿

よろしくねヒーロー君。

大輝

トラディメント……さん。

トラディメント¿

あー、長いからトラディでいいよ。

大輝

トラディさん。
今日からお願いします。

トラディメント¿

ん、よろしく。

トラディメントさんの笑う姿は。

妙に、異様だった。

ベッフェリオ

……疲れた。

桜華

早くない？

ドール¿

うーん、常時発動だから
疲れやすいのかも。

カシュウ

発動をコントロールは
できないのか？

ドール¿

Dollになってからすぐ
常時発動ってことは……
変えるのは難しいかも。

ドール¿

でも、少しも抑えられる
方法があると思う。
少しずつ探していこ！

ベッフェリオ

……うん。

カシュウ

…………。

端で座っている彼女の元へ向かって座る。

カシュウ

練習、しないのか？

アマーリア

……私はまだ能力が
分からないから。

アマーリア

制御どころか、
暴走もしない。

アマーリア

私が今できることはない。

カシュウ

……誰も、できねえよ。

カシュウ

俺たちもコントロールするだけ。

カシュウ

誰かを守ることも、
支えることもできない。

カシュウ

ここで、ただコントロールするだけ。

カシュウ

傷つけないように、
死なさないように。

カシュウ

それに、

カシュウ

それが“正義”とは限らない。

アマーリア

……人生2周目？

カシュウ

多分違う。

やめてください！やめてください！

ごめんなさい…… ごめ……なさ……

死にたくない！まだ生きたいんです！

誰かの悲痛の声が聞こえる。

きっと今日も、誰かが死ぬ。

香保

お願い…………。

香保

香……私の愛する妹。

香保

家族の中で、
私を最後まで姉だと
言ってくれた……

香保

私の大事な妹……。

香保

どうか……

騙されないで……。

香保

……トラディ？

トラディメント¿

…………。

トラディメント¿

彼女を一番奥の牢へ。

香保

(そうよね、それが仕事だものね。)

トラディメント¿

─────────。

香保

はっ……？

その時聞こえたのは、

間違いなく、

“救いの声ではなかった”

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アクヤ

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