椿
・・・‥
俺の目が覚めて2日経った
あの後琴葉に、「俺はどのくらい寝ていたんだ?」と聞いたら
「一週間ほどです」と言われた
椿
(思っていたよりも長い時間眠っていたんだな…
俺がそんなことを考えていると
ガチャッ
永琳
あ、起きていたのね
椿
、?
部屋に白髪の女性が入ってきた
永琳
私は八意永琳、医者よ
椿
あ…(この人か
琴葉が言っていた「永琳」とはこの人の事だったか
椿
俺は水原椿だ
永琳
紫から事情は聞いているわ
永琳
体の方は大丈夫かしら?
椿
ああ
永琳
そう、なら安心したわ
そう言って永琳は安堵したような表情を浮かべる
永琳
正直、貴方の事情と状態を見た時焦ったわよ
椿
え?
永琳
外傷こそはなかったけど
永琳
レミリアとの戦闘で、激しい動きを長時間したから
永琳
癌が一瞬、内部に回ったのよ
椿
、!?
永琳
吐血も幻覚もそのせいでしょうね
椿
幻覚、…?
永琳
あら、レミリアと霊夢から聞いたのだけど…
椿
‥‥?
永琳
貴方が霊夢を見て「母さん」と言っていたの・・・覚えていないかしら?
椿
・・・!
そうだ
俺は、母さんに会ったんだ
あの時の母さんは__
椿の母親
椿‥‥(泣き笑い
『泣いていた』
椿
・・・(ああ…
永琳
、?
なんであの時・・・あの瞬間・・・
どうして母さんの顔が見えなかったのか…
どうして母さんが・・・歪んでいたのか
今、やっとわかった・・・
椿
(俺が・・・母さんを否定”してきたから…
俺は今まで、父さんが死んでも
兄弟が死んでも、なんとも思わなかった
父さんも兄弟も、歪んでいなかった
俺が父さんたちの「死」を受け入れられていたから
でも…母さんだけは受け入れられなかった”
だからずっと歪んでいた
霞んでいた
俺が「母さんの死」を否定し続けてきたから
「母さんはまだどこかで生きているんではないか」って
ずっとそう思い続けてきていたから
俺だけ自分の夢の中にいたから
椿
・・・すまん、永琳
椿
少し、休んでもいいか、?
永琳
・・・ええ、構わないわ
永琳
ゆっくり休んでニコッ
椿
・・・‥‥
そう言って俺に笑いかけた永琳の顔は
何処となく、母さんに似ていた気がする‥‥
永琳
それじゃあね
ガチャッ、バタンッ
椿
・・・・・・・ポスッ
永琳が部屋を出た後、俺は起き上がった体を倒し、ベットにその身を預けた
椿
‥‥嫌な事‥思い出したな…ボソッ
次回 水原椿の過去







