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手に入れたいものがあるとする。
ある者は、それを手に入れるために努力をした。
ある者は、それが手に入らないことを悟って諦めた。
そして、ある者は――それが手に入るように画策した。
それを周囲から孤立させ、自らが味方になることで、信頼を得ようとしたのだ。
そして、それは見事なまでに実った。
もう、彼女が疑う余地はない。
そのような思考的余裕もない。
そして、永遠の愛を誓う。
――それは果たして本当の愛なのだろうか。
いいや、本人が騙されたまま、心からそう思っているのであれば、間違いなくそれは愛だ。
しかし、実のところそれは――。
支配である。
人の弱みにつけ込んだ支配。
恋人に振られたばかりの女の心につけ込む男みたいなもの。
だが、問題なのさ、恋人に振られた原因が――その男にあるのか否か、女が気づけるかだ。
どうやら、幸いなことに、彼女は知ったようだ。
運が良いことに、単なるクラスメイトだったはずの、良識のある人達のおかげで。
ひなた
いわさき
いわさき
よしの
ひなた
よしの
ひなた
ひなた
いわさき
いわさき
よしの
いわさき
よしの
クラスメイト2人は深々頭を下げた。
ひなた
しばらくすると2人はゆっくりと顔を上げる。
いわさき
よしの
ひなた
ひなた
ひなた
ひなた
そして、日向もまた頭を下げる。
よしの
ひなた
ひなた
ひなた
ひなた
ひなた
ひなた
いわさき
よしの
2人の静かな心遣いに涙が出そうになった。
ひなた
ひなた
ひなた
よしの
いわさき
いわさき
ひなた
ひなた
かつてのクラスメイトが見守る中、日向は踵を返す。
もうきっと、そこには戻れまい。
しかしながら、そこにあえて居場所を作ってくれた、その気遣いに感謝しつつ。
現在、午前1時。
法令失効まで、残り7時間。
ひなた
これまで、どれだけの想いを寄せてきただろうか。
幼い頃、一緒にいるのは自分だけだった。
その後、小学校に入ると、周りにいる男子は自分だけではなくなった。
ふと、高学年の頃、同じクラスの男子が、どうやら日向に想いを寄せているらしいという噂を聞いた。
小さい頃から一緒にいるのは自分なのに、他の男が想いを寄せるなんて、なんて失礼なんだ。
翌日、その男子生徒は運悪く階段から足を踏み外して転落。
死にはしなかったが、しばらく入院することになった。
中学生になると、いよいよ周囲も色気付いてくる。
やれ、誰々がかっこいいとか、やれ誰々が可愛いとか、そんな馬鹿げた話が飛び交う。
いつだったか、日向のグループがそんな話をしているのを、放課後に盗み聞いたことがある。
どうやら、日向は2つ歳上の先輩に想いを寄せているようだった。
すぐ近くに、十数年一緒にいる幼馴染がいるのに。
なぜ、会ってから数年しか経っていない男に、そんなに簡単に想いを寄せることができるのだろうか。
その先輩は、それから数週間後、車道に飛び出してトラックに轢かれて死んだ。
見通しの良い道路で、事故なんて起きない場所だったらしい。
翔太
自分をアピールしたし、日向の周りを飛び回るうるさい虫を追い払って来た。
それなのに、日向は自分のことを見向きもしない。
誰よりも日向のことを知っているのに。
誰よりも日向のことを――愛しているのに。
高校はもっと上の学校を狙えたが、日向が志望する高校を受験した。
高校に上がったら、もっと色欲にまみれた思春期の絶頂期を迎えた男どもが群がって来るに違いない。
その邪魔な虫を追い払ってやらねばならない。
しかし、高校ともなれば人の数も多い。
どこの馬の骨かも分からぬ男達が、自分の把握できないところで日向に言い寄る可能性は高く、また自分だけでは対処しきれない。
そこで思いついた。
寄りつく悪い虫を追い払うのではなく、そもそも誰も寄りつかないようにすればいいのではないかと。
高校生の恋愛なんて、半分以上見栄と虚栄心が混じっている。
だから、例えば――いじめにあっている女なんて、それがどれだけ美しかろうと、狙おうとは思わない。
実に単純なもので、いじめられているカーストの低い女と付き合っている――という事実が不都合だからだ。
そして、全ては思い通りに行っていたはずだった。
そう、余計なモブどもが変な正義感さえ出さなければ。
クラスのグループメールを眺めつつ、翔太は大きく溜め息を漏らす。
翔太
翔太
クラスのグループメールに日向は入っていない。
しかしながら、クラスの実に目立たぬ女子である岩崎と吉野によって、どうやら日向にカミングアウトされたらしい。
翔太
翔太
翔太
翔太
翔太
翔太
翔太
現在、午前2時。
これまでの経緯を知った日向は、おそらく全ての元凶である自分を、最後のターゲットとすることだろう。
翔太
翔太
翔太