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俺はガキの頃
友人とよく地元の海水浴場に行っていた。
夏場は特によく行っていた
だが、その頃の俺は無知で馬鹿だった。
海、特に沿岸部では波の満ち干きが激しく、また予測もしずらい
1度波に飲み込まれたら大人は愚か、子供は絶対自力では戻って来れない
いくら助けを叫ぼうと、足掻こうと、
その音はすべて波の音が打ち消す
海とはそういう場所なのだ。
俺は、スイミングが得意が故に、よく沿岸部まで友人と泳ぐのを競走しいた
二人で沿岸部までたどり着いたら、そこから引き返す。
そういう遊びをしていた。
いつも通り、海水浴場に向かったある日の事だった
その日は少し雲行きも怪しく、所々で白波が立っていた。
だが、俺と友人は真っ先に水着に着替え、海に飛び込んだ
俺は、勝ちたくて無我夢中で泳いでいた
そして沿岸部にたどり着き、辺りを見渡した
だが、そこに友人の姿はなかった
俺は、周りを見渡し続けた。友人の名前も叫んだ
だが、聞こえてくるのは、波の音と風が吹く音だけ
俺は、戻ろうとした。しかし、波はそれを許さなかった
いくら泳ごうと、一向に前に進まない。俺は干潮に飲み込まれたのだ
その後、海水の冷たさと体力の限界で気を失ったのを覚えている。
死んだと思っていた。けど、俺は死ななかった。
意識を取り戻したら、目の前には空が広がっていた。揺れる感覚がまだ体に残っている。
俺は、海上保安庁に救助されたのだ。
近くに通りかかった巡視船が俺を見つけ、奇跡的に俺は一命を取り留めた。
横には、友人がいた。
俺は安心の表情を浮かべ友人の手を握った。
しかし、
友人の手は氷のように冷たかった
亡くなっていたのだ。
海上保安庁が友人を救助した時には、既に亡くなっていたらしい。
死因は重度の低体温症と窒息による酸素不足死。
友人を亡くした俺は二度と海に近寄らなかった。
海という存在そのものがトラウマになった。
泳いでも泳いでも戻れたかった恐怖、友人を死なせてしまった罪悪感。
俺は、海が嫌いになりそうだった
だが、高校帰りのある日。
俺の運命は変わった
たまたま海辺を通りかかった時、女の子が溺れかけているのを見つけた
親が目を離した隙に海に入ったのだろう
俺は、躊躇無くカバンをその場に落とし砂浜を走って制服のまま海に飛び込んだ
本来なら、トラウマで海に入るのを拒絶しそうだが、俺は違った
俺は、女の子を抱えどうにか砂浜に戻れた
その日の天候は晴天で、かつ波も穏やかだったから俺は女の子を助けれたのだろう
その出来事をきっかけに、俺は海で人の命を救いたいと決心した。
そして高校卒業後、俺はなった。俺の命を救ってくれた────
────海上保安庁に
〇〇県。△△市。 海上保安本部
港には、数隻の巡視船が停泊していた。
1人の海上保安官が、巡視船の横を通り過ぎ、ある建物に入っていく
建物の入口横の看板にはこう書かれていた
『海上保安庁 :特別救難隊』
海上保安官は廊下を歩いていた。彼こそが、友人を亡くし後に英雄となった────
優吾
────桐龍優吾である
雅紀
優吾
優吾
雅紀
雅紀は、優吾の操縦する救難ヘリの乗組員の1人である
雅紀
優吾
雅紀
優吾
雅紀
優吾
雅紀
優吾
雅紀
食堂にて
優吾
雅紀
優吾
雅紀
雅紀
優吾
雅紀
優吾
雅紀
雅紀は、定食のカツを優吾の前に差し出す
優吾
雅紀
優吾
優吾はカツを箸で持ち上げる。口に運ぼうとするが、手が止まる
雅紀がヨダレを少し流しながらカツを見ていたのだ
優吾
雅紀
優吾
優吾は雅紀にカツを返しつつ、自分のカツを雅紀に渡す
雅紀
優吾
雅紀
優吾
優吾
雅紀
優吾
美味しそうにカツを頬張る雅紀を見て桐龍は少し微笑んでいた。
気象庁 地震観測班
職員A
職員A
職員Aが、上司を呼ぶ
職員B
職員A
職員B
職員A
職員A
職員B
職員A
職員Aが何かを告げようとした時だった。
気象庁の地震発生のサイレンが鳴り響く
職員A
職員B
職員C
職員B
職員B
時刻は7時30分
優吾は、仕事を終え家に帰宅していた。
優吾
優吾
優吾は、ベッドに横になり、白い天井を見つめる。
徐々に眠気が襲ってくる
優吾
優吾
優吾
あの日の夏……
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
友人
優吾(幼少期)
友人
友人と俺は、水着に着替え海に飛び込んだ
雲行きが怪しく、白波が立っていた
海は荒れていた
だが、子供の好奇心はそんな物に左右されないのが普通だった
水に飛び込んだ
冷たい海水が肌の隅々まで当たり、冷たく感じる
優吾(幼少期)
友人
優吾(幼少期)
友人
あの時、友人は若干フライングして泳ぎ始めた
初めは、友人の姿は見えていたが、
少しずつ見えなくなっていた
その時は自分は追い抜いたんだ、っと思っていた
そして────
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
友人が、居ない事に対し、俺は「遅いな」の一言で終わらせそこで待っていた
しかし、何分経っても友人は現れず、雲行きと白波が激しくなっていく
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
俺は、無我夢中で友人の名前を呼び続けた。だが、聞こえてくるのは……
波の音と風の音だけ────
優吾(幼少期)
俺は、その場から泳ぎだし砂浜に向かって泳いだ
しかし、どれだけ泳いでも浜辺に近づかない
それどころか、遠くなっているような気がする
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
俺の泳ぐ手は少しずつ止まっていった
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
その後の事は覚えて居ない。おそらく、気を失っていたのだろう
……ッ!
……れ……ッ!
がん……ば……ッ!
がん……ばれ……ッ!
がんばれ……ッ!
戻ってこい……ッ!!
頑張れ!!!
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
俺は、意識を取り戻し、その場に海水を吐き出した。
俺が、顔を上げると、そこには数人の海上保安官が立っていた。
俺は、海上保安官の被っていた帽子の「JAPAN」っという文字だけ読んだ
優吾(幼少期)
海上保安官
優吾(幼少期)
海上保安官
優吾(幼少期)
海上保安官
優吾(幼少期)
海上保安官
優吾(幼少期)
海上保安官
海上保安官は俺の前から立ち退いた。海上保安官の後ろには、友人が横になっていた
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
俺は、慌てて友人の手を取った。
しかし────
優吾(幼少期)
友人の手は、氷のように冷たかった
海上保安官
優吾(幼少期)
俺は理解が追いつかなかった
優吾(幼少期)
優吾(幼少期)
その後、俺はずっと友人の名を読んでいた。
海洋の上で……ずっと────
優吾
優吾
優吾
優吾は、ゆっくり体を起こす
優吾
優吾
優吾
優吾は、自分のスマホが震度している事に気がつく
スマホを取り画面を見ると、そこには、電話の画面が出ており『海上保安本部』っと書かれていた
電話に出ると、録音の機械音声が流れてくる
海上保安本部 緊急通達電話
海上保安本部 緊急通達電話
海上保安本部 緊急通達電話
海上保安本部 緊急通達電話
海上保安本部 緊急通達電話
海上保安本部 緊急通達電話
優吾
優吾
優吾はスマホをカバンに入れ、家を飛び出し海上保安本部に向かう
海上保安本部 『特別救難隊 本部』
優吾
雅紀
雅紀
優吾
優吾
雅紀
優吾
雅紀
優吾
雅紀
優吾
涼花
翔真
浅野 涼花。中内翔真。2人とも、雅紀と同じ、優吾の救難ヘリに乗る乗組員だ。
優吾
涼花
翔真
雅紀
優吾
雅紀
3人は、優吾の指示に従い部屋を出ていく。優吾は、部屋のテレビをつける
TV
TV
優吾
優吾
優吾は、テレビ画面を見ながら、一人ポツンと部屋の真ん中に立っていた