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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

中也が最初の攻撃を放ってから約20分___

何が起こって居るのか、理解が追いつかなかった。

彼の目の前には、座り込んだ自身を庇う様に太宰が屈み込んで居る。

ポール・ヴェルレエヌ

生徒を連れて来たのは、間違いだったな、太宰くん

ポール・ヴェルレエヌ

自分の技量では勝てない計算だったのかい?

太宰 治

っ…

太宰 治

五月蝿い…

ポール・ヴェルレエヌ

君にしては珍しく誤算をしたね。お陰で楽になった

中也の視界が霞む。立ち上がろうとしても頭がふわふわとして力が入らない。

___何故こんなことになったのだろうか。中也は霞む頭で思い出す。

___嗚呼。

俺の所為だ。

中也は竹刀を構え、ヴェルレエヌの肩辺りを突く。

軽々と避けられたが、退路には太宰の銃の照準が合って居る。

空間を切る弾丸が、ヴェルレエヌを襲う。

途端、彼の取り出した短刀によって___

   ・・・・・・・  弾丸が斬り落とされた。

太宰 治

チッ…

ポール・ヴェルレエヌ

甘い攻撃だな

云うと同時ヴェルレエヌが蹴りを放ち、太宰の身体が後方へ吹き飛ぶ。

向こうの壁に背が打つかり、鈍い音を立てた。

太宰 治

あがっ…

中原 中也

太宰っ!

追撃の為、太宰へ歩み寄るヴェルレエヌに中也の視線と殺気が縫い付けられる。

中原 中也

死ね…!

怒りに任せて頭上へ竹刀を振り下ろす。殺傷には充分な威力だ。

ヴェルレエヌは僅かに瞠目し、膝抜きの要領で攻撃を回避する。

彼の手から、短刀が弾け飛んだ。

ポール・ヴェルレエヌ

良い動きをする様になったじゃ無いか…

中原 中也

兄貴ヅラすんなよ、クソ上司!

再び中也が竹刀を振り下ろすも、相手の手によって其れは止められた。

更にヴェルレエヌは、自身を襲った其の凶器を握力に任せて圧し折った。

中原 中也

この…っ!

中也は相手から距離を取り、予備のカッターナイフを取り出す。

其の時、太宰が掠れた声で叫んだ。

太宰 治

駄目だ、中也

太宰 治

刃物は未だ出すな!

中原 中也

ぇ?

銃声。

出したばかりのカッターの刃が折れる。

勢い良く飛んだ刃は、中也の肩甲挙筋を突き刺す。

中原 中也

ぐあっ…!?

太宰 治

(計算し切られた…!)

中也が横向きに倒れる。 赤い血溜まりがコンクリートの床に広がって行く。

太宰の目が恐怖に染まる。

___連れてくるべきじゃなかった。

___此の子を、傷付けたくない。

太宰 治

中也…っ

中原 中也

だ…ざ…っ、ごめんなさ…っ

太宰 治

良い、私の所為なんだ…御免…御免…っ

太宰の瞳孔が揺れる。

太宰 治

(何故)

太宰 治

(何故、何故、何故)

太宰とて、直接手を下して居ないとは云え数え切れない程の人間を殺して来た。

人が死ぬ事に感情が動くなんて、無いと思って居た。

太宰 治

(なのに)

何故。

中也から溢れ出る真紅に

顔を顰めて痛みに耐える姿に

___こんなに動揺して居る?

ポール・ヴェルレエヌ

殺す心算は無い

太宰 治

気付けば、直ぐ傍にヴェルレエヌの姿が在った。

ポール・ヴェルレエヌ

生徒を連れて来たのは、間違いだったな、太宰くん

ポール・ヴェルレエヌ

自分の技量では勝てない計算だったのかい?

太宰 治

っ…

太宰 治

五月蝿い…

太宰は中也をちらりと見遣る。 出血が多いが未だ、応急処置をすれば間に合う。

ヴェルレエヌを睨み付け、殺気を滲ませる太宰。

ポール・ヴェルレエヌ

まぁ、そう睨むな

ポール・ヴェルレエヌ

お前等には未だ利用の余地が有る

太宰は其の目を見開いた。 何故此奴が中也に自分を殺せと命令を出したのか、理解した。

太宰 治

く…

太宰 治

くはは…っ

太宰は嘲笑する。相手に向けてか、或いは自身に向けてか。

太宰 治

成程…中也への命令は、私も同時に組織へ引き戻す為だったのだね…?

太宰 治

私はまんまと其れに乗って仕舞った訳だ…

ポール・ヴェルレエヌ

理解が速くて助かるよ

ポール・ヴェルレエヌ

では改めて聞こうか___

ポール・ヴェルレエヌ

どうする?此処で生徒を見殺しにするか、其れとも此方側に戻るか

ヴェルレエヌの銃が中也へと向けられる。

中学生殺し屋は養護教諭に恋をした。  太中※学スト改変

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