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雨雪を翔ける二つの剣は。

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雨雪を翔ける二つの剣は。

11 - 第九話 今生の別

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2023年10月11日

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"君の両親を殺したのは、この俺だ"

彼方

……え?

   

…それは驚くだろうね

彼方

だって、父さんと母さんは

   

"目の前で殺された"、だったかな?

彼方

っ……

   

…少し、昔話に付き合ってくれるかい?

この雲隠隊という組織は、その当時剣を扱える者が足りずに困っていた

そのため、どこかから若い剣客を連れてくる必要があったんだ

そこで目をつけられたのは、当時まだ六つだった少年

父も母も剣の道では無かったが、幼いながらに体力があって、武道の腕もかなりあると見た

組織はその少年をどうにかして自分たちの元へ連れてこようとしていた

ただ、何度家を訪ねて交渉しても、返事は決まって『できない』の一点張り

そこで組織は考えた

あの少年を手に入れるために、まずは少年の居場所を無くそう、と

そこで組織は、また家を訪ねに行った

もちろんその少年を引き込むために、雲隠隊の羽織は着ずに

そして、少年の目の前だと言うのにも関わらず、組織の人間は父親と母親を刀で斬りつけた

その後、雲隠隊は殺害の実行犯である身内を、あたかも最初から敵同士だったかのように戦い、捕らえたふりをした

それを見た少年は、雲隠隊は自分を助けてくれたのだと勘違いをして、組織に入りたがった

自分の両親を殺されてしまった辛い気持ちは、他の人たちには絶対させたくないと言いながら

組織は少年に、父と母以外に親族がいないこともしっかり調査していた

その少年は組織の思惑通りの動きをとってしまった

   

そしてその少年は組織の中で剣と共に人生を歩んで、今では立派な剣客に…か

   

裏の話だけ切り取れば、何とも素敵な話だね

彼方

っ…!!

彼方

(あれは、あの事件は組織が起こしたものだった…?)

目の前で語られた、何とも信じ難い話は、受け入れたくないが現実だった

彼方

(組織が、殺した…俺の両親を……)

彼方

っじゃあ、その実行犯って人が…

   

そう、それが俺だった

彼方

っ!!

手が震えて、刀が少しだけ音を立てる

俺は今すぐにでも、そいつに斬りかかろうとするほど怒りで満ち溢れていた

   

……すまなかった

彼方

…え?

   

俺も止めたかった、だが止める術がなかった

   

いくら謝っても君の両親が帰ってこないのは重々承知している

   

だが、俺には謝ることしかできないんだ…っ

彼方

…組織を裏切ったのは、この事件があったから?

   

あぁ、最初は君の両親のことを"組織を裏切った反逆者である"と聞かされていたんだ

   

それで俺のもとに任務がきて、俺はそこに向かって……

彼方

…………

それ以上、何も聞けなかった

この人が組織を裏切った理由、そして俺の両親のことを聞いてしまったら、これ以上傷つけられなかったのだ

彼方

(これが、きっとあの任務を行っていた真冬の気持ちなんだろうな…)

   

…最後に一つ、君に言おう

彼方

え…?

   

俺が使っていた、屋敷の一番北にある隠し部屋

   

そこに、君に関することが全て書いてある

   

…君の、大事な相方さんのこともね

彼方

!! それって…

   

じゃあね、傷をつけてしまってすまなかった

そう言うと、そいつは自分の首に刀を当てがった

彼方

っ、待っ…

ザシュッ!!

足元に、血の池が広がって行く

気づいたら、俺はそいつの傷口に着ていた羽織を当てていて

助かるなんて保証もないのに、組織の人が心配してきてくれるまで、ずっとそうしていたらしい

   

一ノ瀬!大丈夫か…

彼方

…え、あ、何ですか?

   

…一ノ瀬、だよな?

彼方

そうですよ、どうしたんですか

   

いや、お前……

この心配の眼差しも

今まで触れてきた優しさも

全て全て、偽物だったなら?

彼方

…………

彼方

もう戻ります、後頼みました

   

あ、あぁ……

   

ちゃんと怪我の手当てもしてもらうんだぞ!

彼方

…………

彼方

(傷、痛くない……)

頬に触れても、腕に触れても、痛みも何もなかった

彼方

(……真冬、怒るかな)

俺はそのまま、落ちた刀も拾わずに 屋敷に戻った

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