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季節は春から初夏へと変わる頃。 咲は、ひとりで教室の窓から外を眺めていた。

(最近、あんまり……
会ってないな)

哲汰はライブのリハーサルで 連日忙しくなっていた。 朝から深夜までダンス、歌、立ち位置、演出、 全てのチェックを繰り返す日々。

哲汰

おはよう

哲汰

哲汰

哲汰

おやすみ

哲汰

おはよー
今日も頑張る。

でも、そこには“会話”はなくなっていた。

会えなくなってから、もう2週間近く経つ。

学校帰りにふと、哲汰とよく歩いた道を通る。 手を繋いだこと、くだらないことで笑ったこと、ふとした視線にドキドキしたこと―― 全部、あっという間に過去の景色になっていた。

咲はスマホを見た。 メッセージの履歴には哲汰の優しいスタンプが並んでいたけれど、画面越しでは満たされない。

(私、ちょっと……寂しいのかな)

哲汰は夢に向かって走ってる。 それを応援したい気持ちはある。 でも、心の奥で「置いていかれてる」ような、 不安な感情が膨らんでいた。

次の日の放課後。 教室を出ようとした咲の目の前に、 息を切らした哲汰が現れた。

哲汰

……咲ちゃん!

……え?

哲汰

今日、ちょっとだけ抜けてきた。どうしても顔が見たくて

不意に、胸がぎゅっとなった。

哲汰

会えなくてごめん

哲汰は申し訳なさそうに言う。

咲は俯いたまま、小さな声でつぶやいた。

……寂しかった

その言葉に、哲汰の目が見開かれる。 次の瞬間、優しく咲の頭に手を置いて言った。

哲汰

ごめん。でもね、俺、咲ちゃんのこと忘れた日なんて、一日もないよ

……ほんとに?

哲汰

うん。会えなくても、ちゃんと“好き”って思ってる

その声が、咲の胸の奥にまっすぐ届く。 そして咲は、少し照れたように小さく頷いた。

哲汰

じゃあ……今日だけ、
ちゃんと一緒にいて

もちろん

二人はそのまま、人気のない校庭のベンチに 腰掛けて、ただ、並んで座った。 言葉は少なくても、心は近かった。

忙しい日々の中でも、 確かに「大切」がそこにある。 そんなことを実感する、静かな夕暮れだった。

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