な
な
な
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気づけば、というか
物心ついた時から病院にいた
当時の俺は何故なのかも分からなかったが、俺の家はこの病院だと言うことだけは理解していた
普通の人はこんな日常を過ごさない
毎日学校に行ったり、仕事をしに行って
外で遊んだり、お出かけしたり
料理とか、部屋の掃除とか、家事もやって
俺には出来ないことばかりやっているのだろう
いや、それが“当たり前”で
俺には出来ない劣等感というか、嫌な感情がずっとずっとぐるぐる回っていて
唯一同じようにやれることは勉強くらい
逆に言えば、ベッドから移動出来ないからこれくらいしか同じようなことを出来ない
お陰で知識は増えていくばかり。それをどこに使えるわけでも無いのに
そんな気持ちにまた押しつぶされていた時、開け放っていた俺の部屋の窓から、ひとつの影が映りこんだ
突如現れたその影は、にこりと俺に微笑みかけた
それに驚く俺には訳があり。
大きな黒い天使の輪っかのようなものを頭上に浮かせ、
黒い羽を羽ばたかせながら、鎌のようなものを握っているのだ
“初めてって字と、兎って書いて初兎なー?”と説明を続ける死神。
すると彼は急にこう言った。
“ …俺と一緒に、日常大作戦せえへん? ”