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【レトルトside】
おれは人間に害をなす 古のヴァンパイアの家系で
見た目を人間に似せられるばかりか ヴァンパイアが弱点とする いくつかのものの 耐性を持つ一族に生まれた
力や能力に優れ ヴァンパイア討伐組織の 殲滅を請け負うだけでなく
覚醒したおれたちの血を飲めば 力、能力ともに増すため どのヴァンパイアからも 重宝されている存在だった
……ただ一人だけ…
幼い頃のおれを除いては…
ー数十年前ー
レトルトの妹
自分で狩ってきた人間の 生き血を吸っている妹
レトルト(子供)
レトルト(子供)
レトルトのお母さん
目を背けるレトルトを見て ため息をつく
レトルトのお母さん
レトルトのお父さん
レトルト(子供)
レトルトのお父さん
レトルト(子供)
おれは生まれた時から 人間の血を受け付けない体質だった
それだけならまだしも 力は人間以下で 人間を狩る事すら出来ない 役立たず…
レトルト(子供)
レトルトのお母さん
レトルト(子供)
バシッ!
レトルト(子供)
お母さんに思い切り頬を叩かれ 倒れるレトルト
レトルトのお母さん
レトルト(子供)
お父さんやお母さんに 事あるごとに 殴られ罵倒される日々
でも、おれは 家族を愛していた
レトルト(子供)
" 早くみんなの役に立ちたい "
" 役に立って いつかみんなに 笑いかけてもらえるように なりたい… "
そう、思いながらずっと…
そんなある日 お姉ちゃんと出会った
お姉ちゃん
レトルト(子供)
近所の孤児院に住む 小学校高学年くらいのお姉ちゃんで
夜、食べ物を探してる時に たまたま通った孤児院の窓辺にいた お姉ちゃんに話しかけられて以来 毎晩通うようになっていた
お姉ちゃん
レトルトにパンを差し出す
レトルト(子供)
パンを受け取り 1口サイズにちぎり食べる
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
不思議だった
出会って今日まで お姉ちゃんの役に 立っていないどころか 甘えて食べ物まで貰っているのに
叩かれたり 怒鳴られたりしたことは1度もない
最初に会った時ですら 見ず知らずのおれに 笑顔で話しかけてくれていた
レトルト(子供)
お姉ちゃんといっぱい会えば 何故そうするのか 分かってくるのかと思っていたけど
会えば会うほど おれの周りにいる人たちとは 違い過ぎていて…
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
レトルト(子供)
お姉ちゃん
首を横に振るレトルト
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
レトルト(子供)
お姉ちゃん
お姉ちゃん
お姉ちゃん
レトルト(子供)
この日からおれは 笑う事を意識して過ごした
周りの人を幸せにするという お姉ちゃんの言葉を信じて
幸せにした人の数を教えるという お姉ちゃんの約束も忘れずに
こうしてお姉ちゃんが 孤児院を出ていく前日になった…
グチュッ…グチャ……
レトルト(子供)
微かに聞こえる不快な音で 目を覚ますレトルト
レトルト(子供)
レトルト(子供)
レトルトの部屋に お父さんとお母さんがいる
レトルトのお母さん
レトルト(子供)
お母さんに初めて微笑み掛けられ 戸惑うレトルト
レトルト(子供)
レトルトのお父さん
なでなで
レトルトの頭を撫でる
レトルトのお父さん
レトルト(子供)
レトルト(子供)
レトルトの妹
ズズズ……
妹が何かを引きずりながら 部屋に入って来る
レトルト(子供)
妹が引きずっているもの
それは切り口がズタズタの お姉ちゃんの生首だった
レトルト(子供)
レトルトのお母さん
レトルトのお母さん
レトルト(子供)
段々意識が遠のいていくような 感覚に襲われる
レトルト(子供)
レトルトの妹
レトルト(子供)
バンッ!
いきなり障子が蹴破られる
レトルトのお父さん
ヴァンパイア
レトルト(子供)
レトルトの妹
覚醒する妹
レトルト(子供)
ヴァンパイア
スッ…
ヴァンパイアが 軽く手を動かすと同時に 妹の首が飛ぶ
レトルト(子供)
妹の首が宙を舞い
ガッ!!
レトルト(子供)
レトルトの顔面に当たる
ピチャ……
レトルト(子供)
『……お前は使えそうだ…』
レトルト(子供)
目を覚ますレトルト
レトルト(子供)
レトルト(子供)
レトルト(子供)
目の前に白目をむいた お父さん、お母さん、妹の生首が 並べて置かれている
レトルト(子供)
部屋中血まみれで 激しく争った跡があり レトルトにも大量の血が付着している
レトルト(子供)
レトルト(子供)
その場に吐いてしまうレトルト
レトルト(子供)
視界が涙で歪む
レトルト(子供)
シーンと静まり返った部屋に レトルトの息遣いだけが木霊する
まるでこの世には 自分しかいないかのように…
レトルト(子供)
レトルト(子供)
それからどのぐらい 経ったのかは分からない
冷たく薄暗い部屋の中で 孤独に押しつぶされそうになりながら うずくまり泣いていたら
『笑顔でいれば 絶対いいことがあるから』
何故か、愛していたはずの お父さんやお母さんではなく お姉ちゃんの声が 頭の中から聞こえてきて…
レトルト(子供)
笑顔で、いなくちゃ……
さっきまで うずくまり泣いていたのが嘘のように スッと立ち上がるレトルト
そしてお父さんたちに向かって…
レトルト(子供)
おれは全てのものに別れを告げ 生まれ育った場所から離れて 新たな場所へと移り住んでいった
数十年後 笑顔のおかげなのか 一人になって初めて 良い人だなと思える人に… ガッチさんに出会った
ガッチさんはおれが働くコンビニに 良く買い物に来る 常連さんの一人だったけど
投げるように商品を渡す人や いきなり腕を掴んだり 付きまとう常連さんがいる中
『お願いします』 『ありがとう』
不愛想ではあったものの 初めてレジ対応をした時から ずっと変わらず丁寧で
" この人、良い人だな "
" この人には 幸せになってほしいな "
そう密かに思っていた
その後しばらくして ガッチさんと ルームシェアする事になった
今まで不愛想だった ガッチさんの印象が ガラリと変わってしまったけれど その分良い人度が増して…
ールームシェア始めて数週間後ー
バンッ!
勢いよくドアが開く
レトルト
レトルト
ガッチマン
テーブルの上に 沢山の朝食が並べられている
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマンを見る
レトルト
ガッチマン
レトルト
住み始めた頃は 環境に慣れていない事もあり 掃除・洗濯・料理など 全てガッチさんがやってくれていた
でも、このままではいけないと 何度も当番制にしようと提案
うやむやにされ続けるも やっとの事で 当番制になったんだけど…
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
いつも、こんな風に おれが出来なかった事に対して 怒る訳でも注意する訳でもなく あたかも「自分が当番です!」 みたいな感じで やってくれるガッチさん
それだけじゃ飽き足らず 時々一緒にお風呂に入って 頭とか洗ってくれたり 仕事の送り迎えもしてくれるなど おれのお世話までする始末…
レトルト
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ぎゅっ…
レトルトを抱きしめるガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
ガッチマン
と言いつつ うっしーとキヨくんに 指摘される今でも 「そんな事ないよ」て言うから ちゃんとガッチさんが 言ってくれる日が来るのかは 分からないけれど
昔も今も ガッチさんの優しさに救われていた
特にこの頃のおれは ガッチさんのおかげもあって 孤独という恐怖を 忘れてしまっていた…
レトルト
薄暗い部屋の中で 横たわっているレトルト
レトルト
ルームシェアして初めて 知らない場所で目が覚めた
体をゆっくりと起こす
レトルト
レトルト
体のあらゆるところに 傷や青アザが出来ている
レトルト
ツーン…
レトルト
咄嗟に鼻を塞ぐ
レトルト
部屋中血まみれで 血特有の鉄のニオイが充満している
レトルト
ひんやりとした冷たい空気
物音一つしない シーンと静まり返った部屋
孤独に押し潰されそうになる恐怖など
お父さんたちが死んだ あの日の出来事が鮮明に蘇る
レトルト
レトルトのか細い声が 暗い闇の中に消えていく
レトルト
レトルト
恐怖のあまり 体が全く動かない
呼吸も段々浅くなり息苦しくなる
……もしもこのまま
動くことも出来ず 誰にも見つけて貰えなかったら…
レトルト
震えつつ声を振り絞るように発する
レトルト
『必ず見つけて連れて帰るって 約束するから』
レトルト
ガッチマンの言葉が 頭によぎるも 目の前にある現実に絶望する
レトルト
何の取柄もない 役立たずのおれなんかの為に 来てくれるなんて…
こんな薄暗く冷たい場所にいるおれを 見つけてくれるなんて……
レトルト
ガッチマン
レトルト
レトルト
視線を上げると 部屋の入口からガッチマンが 駆け寄って来るのが見える
レトルト
ガッチマン
ぎゅっ…
息を切らしながら レトルトを抱きしめるガッチマン
ガッチマン
レトルト
さっきまでの息苦しさが 消えていく
ガッチマン
レトルト
徐々に体が自由を取り戻していく
ガッチマン
レトルト
ぽたっ…ぽたっ……
レトルトの頬に涙が伝う
レトルト
ぎゅうぅ……
ガッチマンを抱きしめ返す
レトルト
レトルト
ガッチマン
ガッチマン
レトルト
ガッチマン
……この人なら…
ガッチさんなら おれを見つけてくれる……
どこにいようとおれのことを…
『ずっと レトさんのそばにいるから』
レトルト
あなたがいてくれるだけで 何も怖くない…
あなたがそばにいてくれるだけで おれは生きていけるの……
レトルト
この想いが あなたに届くことはないけれど
それでもおれはあなたを
あなただけを想い続けたい…
何があっても ずっと、あなただけを……