テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
日菜が目を覚ますと、 綺麗な部屋のベッドで横になっていた。
トト
ララもトトも大騒ぎで、 日菜はいまいち状況を理解できずにいた。
???
どこか双子と似ている、 女の妖精が制止をかける。
女王
丁寧な口調と表情に優しさを感じ、 日菜は少し見惚れてしまった。
日菜
日菜は森であった出来事を忘れてしまっていた。
トト
日菜
トト
日菜は『悪魔』という単語に鳥肌が立った。
女王
女王はそう言うと、 日菜に温かい紅茶を差し入れた。
ララ
トト
双子も今回ばかりは少し気を落としていた。
女王
女王は双子にも紅茶を出し、 ふかふかのソファに腰掛けた。
日菜
日菜は少しでも深く知ろうと、 女王に質問する。
女王
立ち上がって本棚に手を伸ばし、 分厚い書物を取る女王。
そしてゆっくりと語り始めた。
「悪魔という存在は、この世に要らないわ」
約二百年前、 当時の女王アクアは、 魔界で悪魔に言い放った。
彼女は新たな領地を求め、 魔界に攻め入ったのである。
悪魔
アクア
アクアの言葉により、 悪魔討伐を建前とした、 お互いの領地を巡る戦争が始まった。
当時の女王アクアは、 現女王アリアの姉である。
妹は姉を止めるため説得に踏み込んだ。
アリア
アクア
アリア
姉に目を向けた瞬間、 妹は強烈なビンタを受けた。
アクア
最初は互角だった戦いも、 五十年ほど経つと悪魔側が有利となり始める。
妖精界の森は半分以上が焼け、 精霊たちの守りも効かなくなっていた。
この頃はまだ人間界を行き来する妖精は、 数えるほどしかおらず、 決まったルートさえ確保されていなかった。
妖精と精霊に、 妖精界以外の逃げ場はもうない。
「大丈夫かい?」
アリアには恋人がいた。
こんな状況でも、 優しく声をかけてくれる恋人と、 アリアは戦争が終わったら、 結婚しようと約束していた。
アクア
女王は当然気に食わない。
妹が自分より、 幸せになろうとしていることが許せなかった。
恋人は女王の命令で戦争へと駆り出される。
数年後に戻ってきたのは、 彼の羽だけだった。
アクア
泣き崩れるアリアに、 女王は高々と笑いながらそう吐き捨てた。
アリア
アリアは心に決めた。
この戦争を終わらせ平和を取り戻す、 そして新たな女王として妖精界を変えていこう。
それは姉への復讐ではなく、 純粋な願いだった。
そこから戦争は激しさを増す。
ついに国にまで悪魔が押し寄せ、 女王アクアは焦りを感じていた。
アクア
その野蛮な命令を、 アリアは正論で打ち負かす。
アリア
妖精界の民は誰一人として、 女王の言葉に耳を傾けなかった。
最後までそばにいた妹のアリアさえも、 首を縦に振ることはない。
アクア
二人きりの城で盛大に怒鳴り散らす姉を、 妹は思い切りビンタした。
アリア
いきなりのことで驚き硬直した女王アクアを、 アリアは怒りを含んだ瞳で冷たく見つめている。
アクア
暴力など受けたことがないため、 この初めての感覚はアクアに痛みと恐怖を植え付けた。
アリア
アリアは無理やり女王の手を引き、 城の外へと連れ出した。
自然は完全に崩壊し、 それを蘇らせることも守ることもできないほどに、 悲惨な妖精界の景色が姉妹の目に映る。
城を攻めようとしていた悪魔たちが姉妹に気付き、 容赦なく襲いかかってきた。
姉のアクアはうずくまって震えている。
それに反し、 妹のアリアは堂々と待ち構え、 悪魔たちに向かって叫んだ。
アリア
必死の訴えだった。
「止まれ」
その一言で悪魔たちの進行がぴたっと治まった。
そして軍団の後ろから声の主が現れる。
悪魔
それに対して、 アリアは怯むことなく言葉を返した。
アリア
アリアはその場にひざまずき、 頭を地面につけて許しを乞う。
その行動に悪魔たちはざわつき始め、 口々に愚痴をこぼした。
悪魔
悪魔は同情などしない。
それゆえに許すという選択もしない。
悪魔
アリアは言われた通り顔を上げ、 悪魔の姿を再確認する。
アリア
悪魔
アリア
アリアはどこまでいってもお人好しだった。
その言葉に悪魔は心底怒りを感じ、 アリアに突きつける。
悪魔
それを聞いたアリアはついに覚悟を決める。
アリア
アリアはすっと立ち上がり、 悪魔たちに背を向けて城に戻ろうとした。
悪魔
悪魔の言葉に足を止めるアリア。
そして涙を拭い振り返る。
アリア
悪魔
受け入れる以外の選択肢はない。
アリア
そこからアリアは振り返らなかった。
城の扉に手をかけると、 後ろから女王アクアの助けを求める声が聞こえる。
アクア
アリアは既に、 女王アクアを姉とは認識していなかった。
アリア
扉の前で叫んだアリア。
一切振り向かず、 今度は扉の取手を強く握りながら小さく呟いた。
アリア
アリアは勢いよく扉を開け、 城の中へと姿を消した。
しばらくは外から声がしていたが、 やがて静寂となり、 再び外を確認したアリアの目には、 荒廃した妖精界が映るだけだった。
こうして、 約百年にも及ぶ戦争は幕を閉じた。
日菜はうまく言葉が出ず、 女王に目を向けていた。
優しい女王は書物を閉じ、 日菜の頭を撫でた。
女王
もう平和は百年ほど続いている。
それは女王が過去と真剣に向き合い、 過ちを繰り返さないように努力した結果だった。
トト
ララ
妖精なら誰しもが聞かされる話だが、 双子は特にこの話を何度も耳にしていた。
日菜
日菜はもっと知りたいと思った。
女王
双子の表情が明らかに変わった。
トト
ララ
たじたじな双子を見て日菜は何かを察した。
日菜
的を得た質問に双子は硬直した。
女王はくすくすと笑っている。
女王
女王は双子の頭に両手をぽんと置き、 わしゃわしゃと撫で回す。
双子はされるがまま、 抵抗もせず赤面していた。
トト
ララ
恥ずかしがっている双子を見て、 女王は楽しんでいた。
女王
日菜
日菜は『学校』という言葉に、 恐ろしい速さで食いつく。
女王
女王は笑顔で答える。
双子は乱れた髪を整えながら、 椅子から立ち上がった。
トト
ララ
双子が学校に行くのは一年ぶりで、 卒業したのは何十年も前のことだ。
トトは日菜の手を掴み、 またララを置き去りにして、 勢いよく部屋を飛び出していった。
ララ
ララは必死で追いかける。
女王
女王は微笑ましい光景に笑みを浮かべ、 三人を見送った。
三人は妖精界の学校、 『ミル・アカデミー』へと、 駆けていくのだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!