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妖精界の学校『ミル・アカデミー』は、 現女王アリアが初代校長として築き上げた、 妖精界唯一の六年制学校である。
トト
トトは腕を組んで校舎を見上げる。
ララ
ララは校舎を指差して日菜の手を引く。
トトを置き去りにしてやろうと、 ララは強く手を引くが、 日菜はその場を動かなかった。
日菜
日菜の言葉に、 ララは素直に従うしかなかった。
職員室を覗くと、 女の妖精が三人に気づいて、 すぐに駆け寄ってきた。
先生
日菜の目線に合わせ、 しゃがんだ先生はにっこりと笑う。
戸惑う日菜は、 双子の方を振り向いて助けを求めた。
トト
ララ
落ち着いたトトと、 テンションの高いララが同時に挨拶をする。
おっとりとした口調の先生は、 双子の頭をそっと撫でた。
先生
まるで猫のようにそれを受け入れる双子。
先生
先生は日菜が人間だということを知らない。
今日菜が人間だということを知っているのは、 双子と女王以外にはいないのだ。
ララ
ララは明らかに動揺していた。
トト
トトが平然と嘘をつく。
先生
先生は慌てた様子で机の上の書類を漁っている。
ララ
トト
妖精界は広い。
意地でもくだもの村を探し出すような妖精は稀なのだ。
先生
くしゃくしゃの書類を持って戻ってきた先生。
『一年生』と書かれた札がぶら下げてある教室まで、 一直線に歩き出した。
日菜はその後ろを黙ってついていく。
トト
日菜が振り返ると双子は手を振っていた。
不安な気持ちを抑えながら、 日菜も同じように手を振った。
先生が教室に入り、 「どうぞ」という合図で日菜も教室に入る。
生徒たちの目線が一気に日菜に向けられた。
日菜
トトから事前に、 「苗字を名乗ってはいけない」 と聞いていた日菜。
妖精には苗字がなく、 その代わりに『家系魔法』という、 その家に代々伝わる魔法で判別している。
しかし、 日菜にはそれさえもないため、 どうにか誤魔化していかなければならない。
先生
「先生―! ヒナさんはどこから来たんですかー?」
先生の言葉を遮り、 一人の生徒が質問する。
先生
先生はのんびりとした口調で丁寧に説明した。
先生
先生は空いている席を指差し、 日菜を優しく送り出した。
隣の席に座っていたのは、 物静かな少年だった。
日菜
少年
これ以上会話は続かず、 沈黙が訪れる。
日菜はそれ以上、 話しかける気を失ってしまった。
日菜が席に着いたのを確認した先生が口を開いた。
先生
先生の言葉に明るく返事をした生徒たちは、 一斉に外へと走り出した。
先生
一応注意した先生は、 教室に一人残った日菜に話しかけた。
先生
先生はにこにこと笑って教室を後にした。
隣の席のミヅキのことを頭の片隅に置いて、 日菜も校庭へと急いだ。
一年生最初の体育は、 妖精にとって最も重要な技術。
先生
先生の言葉にはしゃぐ生徒たち。
先生
先生がお手本を見せながら説明する。
二、三回目の授業ぐらいまではこれを続け、 徐々に動かす速度を上げていく。
トト
ララ
トトとララが様子を見に来た。
それに気づいた生徒たちが、 一斉に双子に駆け寄る。
「わあ! 久しぶりだね!」
「今までどこにいたのー?」
トト
ララ
おしくらまんじゅうのように詰め寄る生徒たち。
もう授業どころではなく、 先生も諦めている様子だ。
その群衆に混ざらなかったのは、 日菜とミヅキだけだった。
日菜はチャンスだと思い、 ミヅキに話しかけた。
日菜
ミヅキ
日菜
ミヅキ
どうでもいいというように、 適当な返事であしらうミヅキに、 日菜は少し寂しさを覚えていた。
そんな二人の様子を、 人混みに揉まれながら見ていたトトは、 群衆をかき分けてミヅキに近づいた。
トト
わしゃわしゃとミヅキの頭を撫でるトト。
ミヅキ
ミヅキはトトの行動に一切動じず、 無表情でそれに耐えている。
トト
日菜はその言葉に一瞬肩を震わせた。
なでなでタイムから解放されたミヅキが、 トトを見つめている。
ミヅキ
トト
ミヅキの質問にトトは言葉を濁した。
疑いの目を、 トトと日菜に交互に向けたミヅキは、 一つの答えを導き出した。
ミヅキ
トト
しらを切るトトだが、 ミヅキは完全に気づいてしまった。
ミヅキ
トト
トトの声が徐々に小さくなる。
ミヅキ
トト
ミヅキ
トト
ミル・アカデミーの一年生は六歳か七歳、 トトはその一年生たちとほぼ同じ背丈で童顔だが、 実年齢は百歳を超えている。
ミヅキ
トト
トトはその意味を深く聞くことはなく、 ミヅキの頭をぽんと叩いて、 再び群衆の中へと戻っていった。
ミヅキは少し寂しそうな表情で、 戻っていくトトを真っ直ぐ見つめていた。
学校のチャイムが授業の終わりを告げる。
先生
先生の掛け声で、 双子に群がっていた一年生たちは、 素直に教室に戻っていく。
日菜も教室へと歩き出した時、 トトが声をかけた。
トト
日菜
日菜はトトの言葉を受け取り、 足早に教室へと戻っていった。
十分ほどで帰りの会を済ませた日菜が、 双子と合流する。
日菜
ララ
ララが静かに日菜の手を握る。
トト
トトも後から遅れて日菜の手を握る。
三人は森にいる 『初めて人間から妖精になった者』 に会いに行くのだった。