蘇枋
桜
先程まで楡井と 酒を飲み ワイワイ2人で喋っていた 光景をボヤけて仕方がない 頭で考える。 目の前に居る蘇枋は 俺の腕を自身の肩に掛け、 片方の腕は 俺の腰にそっと添えていた。
この光景が 夢だと、 ありえない景色だと 俺の働かない脳が そう判断した。 これは俺の蘇枋に会いたいという 願望が、遂に幻覚になってまで 目に映る様になってしまったのかと
蘇枋
蘇枋
そう語りかけてきた蘇枋に 酒が入って酔いつぶれている俺は 言葉にならない言を返した。 自分でも何を言っているかすら わからなくて、 困惑に陥る様に俺は 必死な顔で何かを返した。
俺の幻覚の蘇枋は、 何かに気づいた様に 「大丈夫だから落ち着いて?」 と、優しく甘い声をかけてきた。 甘く優しい声に 甘えてしまいたくなるほど 俺の心はこの声を欲していた。
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
手渡された水のキャップを 開け、喉が一気に冷たさで 潤うのを感じた。 あまりの冷たさに これは幻覚では無いと 頭が信号を鳴らしてきた。
桜
桜
いや、本当は____
蘇枋
俺が何かを口から零す前に、 それごと飲み込む様に 蘇枋にキスされた。 甘い甘いキスは、 俺の頭だけでなく 身体中を暑く、 甘く侵食していった。
本当は夢だと俺が思いたかった だけだと言ったら、 蘇枋は怒るだろうか。 甘い吐息とキスの音が 人気のない自動販売機で 続く。 俺の冷たい口の中は あっという間に 蘇枋の熱を分け与えられ、 いつの間にか 暑く蕩けていた。
キスに夢中になる俺達 まるで別れた事等無かったかの様だ。 俺は蘇枋のタバコの隠し場所に 手を伸ばした。 キスに夢中になっている 元恋人は 盗られたことに気づいていない様 だった。
盗った所で、きっと何も 変わらないだろうけど、 お前の悲しい思いを した数が 減ればいいなと そう思った。
話しかけても ずっとボヤっとしている 元恋人を支えながら 街頭と月の光が 照らす夜道を歩いた。 あまりの不用心さに どうかとも思うが、 今はとやかく言う資格は ないと、自分の気持ちを抑えた。
水を飲むよう促すも、 自分の言いたいことを 言葉にできない様で、 必死な顔で何かを訴える君をみて、 可愛いなと、思ってしまった。 自分の甘さもポーカーフェイスも 全て君に絆されてしまったんだな そう思ってしまった。
蘇枋
君にだけ出す 甘い声。 本当に俺の声なのかすら 疑いたくなる程だった。 君にだけ甘くなって 正しい判断も 出来なくなってしまう俺は、 社会人となってもまだまだなんだと そう痛感した。
蘇枋
蘇枋
すぐ君を揶揄ってしまうのは きっと俺の悪い癖なのだろう。 流石の桜君も、 「1人で飲める」と 少したどたどしく 言い返してきた。
力の入らない手で ペットボトルのキャップを 開けるのに少し苦戦する 君を眺めた。 君の素振り全てが可愛く、 愛おしく見えてしまう俺は きっと重症なんだろう。
桜
水を飲み終えたのか、 俺に話しかけてきた桜君。 急に話を振られたので 少し驚いてしまった。 夢。 君はそう話した。 俺は夢でなくて欲しいけどな。
桜
不安げな目で俺を見つめる君は きっと分かっているんだろう。 俺たちが一緒にいる事は 良くないことなんだと。 別れた身で 2人きりでいるのが良くないのだと
蘇枋
この時の俺の顔は きっとすごく笑顔だっただろう。 気づいた時には 俺の体は動き出し 君が言葉を発する前に 唇を奪い取った。 君の冷たい口の中は 俺の体温を訳あって 甘く暑くなってゆくのを感じた。
この1夜の出来事は、 きっと俺しか覚えていないのだろう。 お酒に弱く 今も目をトロリとさせている 君の両方で違う 綺麗な目を俺はジッと眺めた。
この1夜の記憶が、 きっと無くなると分かっている俺は、 ずるくて……
打算的な行動とも言えるであろう。
コメント
22件
蘇枋さああんやっぱり桜のこと大好きでたまらないんじゃないですか!!!😭 2人とも奥手すぎるんだから🥺 甘酸っぱい恋はすおさくにぴったりですね、笑 続きが気になりすぎます!!
桜は自分でタバコとったのに忘れてる…………キスした記憶もない………… それに対して蘇枋さんは桜だけにする優しい態度を忘れない……… 甘味も強いけど、後味にほろ苦さが残りますね。めちゃくちゃ最高です‼︎
白黒猫はたばこをとった事忘れてたって事か、甘々すおさくご馳走様でした(尊)