稔探偵事務所
紗羅
あれ、こんな時間に...
紗羅
今から?
魔叉琉
依頼人の新田さんから、連絡があって
魔叉琉
早急に来てくれ、だって
紗羅
えぇ...だって今、夜の10時だよ!?
魔叉琉
この仕事は、そうも言ってられないからね
紗羅
どこまで?
魔叉琉
えっと...MX工場跡だって
紗羅
廃工場!?
紗羅
いやいや...やめた方がいいって!
魔叉琉
ヤバい感じ?
魔叉琉
それは俺も判ってんだけどさ
紗羅
じゃあ......!
魔叉琉
だから、藤野警部にも連絡済み
藤野警部とは、仕事をする時に意気投合した警部である
魔叉琉
工場跡まで車で送ってくれるし、
魔叉琉
何かあったらすぐ駆けつけるってさ
紗羅
それなら...まあ......
紗羅
でも、本当に気を付けてね!?
魔叉琉
判ってる
じゃ、行ってくるよ
じゃ、行ってくるよ
紗羅
何だろ...物凄くフラグ立てまくってる気がする......
紗羅
......いや、魔叉琉に限って
紗羅
そんな綺麗にフラグ立てまくるとか
紗羅
な、無いよね!?
紗羅
......ダメだこれもフラグな気がしてきた...
藤野警部の車で送ってもらい、魔叉琉は工場の敷地に足を踏み入れた
魔叉琉
(警部にはそのまま外で待機してもらってるし...)
魔叉琉
まあ問題無いか...
もう殆ど真っ暗な中、スマホの ライトを頼りに歩く
魔叉琉
なんか変な臭いするし...
魔叉琉
......灯油、か?
魔叉琉
何処に行けば...
そのとき、何者かの呻き声が 奥から聞こえた
?????
~~~~~~~~!
魔叉琉
......!?
魔叉琉
あ、新田さんですか!?
声のする方に向かって走る
魔叉琉
どっちだ!?
?????
~~~~~~~!
曲がり角を曲がった時 扉の隙間から
オレンジ色の光が 漏れ出ている事に気が付いた
魔叉琉
(ここか?)
魔叉琉は慎重に扉を開けた
魔叉琉
...ッ、新田さん!
そこには、猿轡を咬まされ 椅子に縛り付けられた依頼人
新田武司がいた
魔叉琉
今外します!
猿轡を外し、 手錠に手を伸ばし掛けた魔叉琉を
新田が止める
新田武司
待ってくれ!
魔叉琉
ですが...!
新田武司
そこの机の上の物は爆弾なんだ!
新田武司
顔は見ていないが、俺をここに拘束した奴が言ってた
魔叉琉
な......!
新田武司
今からじゃ間に合わない!
新田武司
依頼内容の変更を...!
魔叉琉
ッ判りました。
作業しながら聞きます!
作業しながら聞きます!
ポケットから針金を取り出し、手錠を外す作業に取りかかる
新田武司
たぶん、俺は死ぬ
魔叉琉
まだ諦めないでください!
新田武司
だから、この前の依頼...
新田武司
俺を殺そうとしている奴を突き止めてほしい、っていうのを
新田武司
俺を殺した奴を突き止めてほしい、に変更する
魔叉琉
...ッ......
魔叉琉
――承りました
魔叉琉
よし、後もう少しです!
新田武司
もういい!あんただけが頼りなんだ
新田武司
死なれちゃ困る!行け!
魔叉琉
だけど......あっ
魔叉琉
ッし、外れた!
魔叉琉
あとは足だけ...
ピヒピピピピ......
魔叉琉
―――ッ!
部屋中に響き渡る 甲高いアラーム音
新田武司
依頼したからな、頼んだ!
新田は思い切り 魔叉琉を突き飛ばした
魔叉琉
新田s...!
机から5m位の場所から 魔叉琉が駆け寄ろうとした時
・ ・ ・
ドオオオオン
紗羅
魔叉琉~返信してよ...
既読の付かないLIMEの画面を睨む
紗羅
本当に何かあったのかな...
紗羅
あっ、電話っ!
着信音と共に表示された 名前を見て驚く
紗羅
藤野警部......?
紗羅
...はい、碧です!
藤野警部
すぐに出てくれて助かった
藤野警部
実は、稔君が出掛けていたMX工場跡で
藤野警部
爆発が起こったんだ
紗羅
......え...?
紗羅
え、っと...魔叉琉は......?
藤野警部
犯人が灯油か何かを
撒いていたらしく
撒いていたらしく
藤野警部
火が広がっていて…
藤野警部
それが収まるまで、
中に入れない状況なんだ
中に入れない状況なんだ
藤野警部
今、消防車も到着した
紗羅
藤野警部
碧くん、大丈夫か?
紗羅
は、はい…
紗羅
あの、魔叉琉は
大丈夫でしょうか…?
大丈夫でしょうか…?
藤野警部
彼のことだ
脱出できる場所にいたなら
脱出できる場所にいたなら
藤野警部
さっさと
脱出してるだろうな
脱出してるだろうな
紗羅
そう...ですよね、きっと...
藤野警部
それで、一応碧くんにも
現場に来てほしいんだ
現場に来てほしいんだ
藤野警部
今から車で迎えに行っても
大丈夫か?
大丈夫か?
紗羅
...判りました
支度します!
支度します!