それは、雪の降る夜。
降り積もった雪は辺り一面、白く染めていた。
俺はうすぼんやりとした街頭の元、 腕の中にもう動くことは無い青白い肌の女を抱いていた。
ネイ
うっ…ぐっ…
ネイ
っ…うぅっ…
俺は女を抱いたまま、ひたすら泣いていた。
ただ、泣いた。
泣いても泣いても、どうしようもなかった。
もうすぐ、朝が来る。
朝になれば、俺は女を殺した罪で捕まると思っていた。
別にそれで良かった。
なのに。
エレナ
♪ふんふん〜
エレナ
えっと次の配達場所は…この辺りのは…うわっ!!
ネイ
っぐ…うっ…
エレナ
ちょっとお兄さん、なにしてんの!?
何かを配達中の変なやつに見つかった。 俺は目にもとめず泣き続けていた。
ネイ
うっ…うぅっ…
エレナ
…もしかして泣いてるの?
エレナ
その、女の人は…?
村人A
おーい、今日も仕事始めるぞー!!
エレナ
大変!お兄さん!こっち来て!!
ネイ
嫌だ…
エレナ
いいからはやく!
俺は見ず知らずの変な女に抱いていた女と引き剥がされ、半ば引きずられるようにその女の家へと案内された。
エレナ
…
ネイ
…
エレナ
…私はエレナ。お兄さん、名前は?
ネイ
…ネイ。
エレナ
ネイ、ね。
エレナ
聞きたいんだけど、
エレナ
あの女の人の首元に、小さなふたつの赤い傷があった。
エレナ
…あなたは、ネイは、
エレナ
ヴァンパイアなの…?
ネイ
…ああ。
エレナ
…じゃあ、あの女の人は?
ネイ
…
エレナ
…答えたくないならそれでいいよ。
ネイ
…
エレナ
…ネイさ、
ネイ
?
エレナ
しばらくうちに泊まらない?
ネイ
え…?
エレナ
だって心配だし。
エレナ
ほうっておけないよ。
ネイ
いや、いいよ、別に。
エレナ
だめ。
エレナ
よくない。
エレナ
今日からしばらくうちに住んで。
エレナ
わかった?
ネイ
いや、だから…
エレナ
決まりね。
エレナ
じゃあよろしく、ネイ
こうして俺は、エレナという変なやつと強制的に一緒に暮らすことになった。