「俺が」「俺は」

きんとき…

元気かな？

船が沈没し、俺ときんときが離れ離れになってからもう2週間が経っていた

…俺は、あの決断が最適解だと考えた

俺が人魚だとバレ、兄妹も人魚ということを人間に知られた

きんときの親族や友人やあの場にいた人はみんないい人だと思いたい

悪い人がいたら、俺ら人魚は捕獲されてしまう

だから、人間から離れなければならなかった

俺や、家族

他の人魚を守るためにも

離れなければならなかった

だけど、だけどね？

その考えで本当によかったのかな？

って、思わなくもないんだ

きんときと、もう会えないって考えれば考えるほど、

辛くなる

涙が流れる

他の人にきんときがとられる

俺はきらりと綺麗にひかる指輪をみる

そしてそれを外し内側に彫ってある２つの名前をみる

大丈夫

俺はきんときの恋人だ

そして、嫁だ

どこにいてもその事実は変わらない

でも、もう2週間も会っていない

きんときが俺に飽きたら？

きんときに忘れられたら？

婚約破棄

きんときは俺の隣には立たない

立てない

そして、他の人の隣に立つ

うわあ

やだやだ！

むりむりむり！！

でも、こんなの遠距離恋愛すぎでしょ！！

遠距離恋愛って、こんな遠距離なの⁈

こわっ

この世界では、

「好きな人が幸せならそれでいい」

とか

「貴方が幸せになれるなら」

とかー

そんな言葉を耳にする

そんな言葉、綺麗すぎだ

人間にはあっていない

人間はよく深い生物だからね

まあ、俺らもだけど

とか思ってたけど

今なら俺も言えるなー

心の底から…

俺は、母さんをジトーっと見る

確かに…

俺の目的は、自分の恋のためだ

じゃあ、この決断は俺の恋とはかけ離れている

だって、好きな人と離れてしまうから

涙が溢れてきた

どうすればよかったのだろう

そう言って、母さんは何処かへ行ってしまった

適している答え…

…わからないよ

俺はよく深いから、

恋愛も、家族も、

守りたいんだ