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またしても、先ほど着信のあったスマホが鳴った。

デスクの上に放り投げてあったそれに手を伸ばすと、周囲とアイコンタクトを交わしてから電話に出た。

先ほどの着信と相手が同じであれば、それはもちろん――。

イガラシ

ナポレオンか?

ナポレオン

御名答。察しが良くて助かるよ。

相変わらず聞き慣れない合成音声。イガラシはスピーカーにしてスマホをデスクの上に置いた。

ナポレオン

さて、わざわざ説明する必要もあるまい。

ナポレオン

今から3人の友人の名を答えてもらおうか。

ナポレオン

その前に、そこにもネットに繋がっているPCくらいはあるだろう?

ナポレオン

この高校の名前で検索をしてくれれば、おそらくトップのほうに出てくるだろう。

ナポレオン

なにせ、多くの人達が注目しているからね。

ホソヤ

革命チャンネル?

ホソヤ

生配信か、これ?

ホソヤが操作したパソコンの周りに一同が集まる。

ホソヤ

そんなに密集するな?

ホソヤ

暑いだろ?

ホソヤ

他にもPCがあるんだから。

お前が言うな――とは誰も言い出さず、素直に教員室にあるPC何台かに人数が分散する。

イガラシは自分のデスクのPCを開き、それをヒグラシとミヤギが覗き込む形。

見事なまでに【3D事件】の関係者が集中した感じだ。

画面の中には見覚えのある教室が映っている。

そして、画面の左上には【生配信中】とのテロップが浮かんでいる。

ナポレオン

さぁ、イガラシセイヤ。今から2時間以内に、3年D組の教室へと来てくれるであろう人物を、3人まで選出せよ。

ナポレオン

このことはすでに元3年D組の仲間達は知っている。

ナポレオン

君のために、誰が教室に駆けつけてくれるのか。

ナポレオン

それを当てることができればそちらの勝ち。

ナポレオン

当てることができなかった、もしくは誰も来なかった場合はこちらの勝ちだ。

ナポレオン

制限時間は今から2時間。

ナポレオン

口頭にて今から答えてもらおうか。

イガラシ

待て、それは先にそっちに答えを教えることになるんじゃないか?

イガラシ

それは、あまりにもアンフェアだ。

イガラシ

俺が指定した人間を、そちらの仲間が妨害する可能性だってある。

ナポレオン

ならば、どうすればいい?

イガラシ

……提案がある。

イガラシ

今から俺はこの教員室にいる誰かに、その3人をメモした紙を渡す。

イガラシ

制限時間が訪れるまでの2時間。ずっとその人物にはメモを預かってもらって、それを答え合わせの時に開示してもらうんだ。

ナポレオン

なるほど――だが、その特定の人物に、あらかじめ全員分の名前を書いた何枚かのメモを渡しておき、答えに合わせてメモを開示するなんてことも充分にあり得る。

ナポレオン

だから、その人物の身体検査は徹底的に行ってもらうぞ。

ナポレオン

もちろん、そちらのカメラを入れた上でだ。

イガラシ

……分かった。こちらの準備が出来次第、カメラでこちらの様子を映そう。

イガラシ

どうやら、バッテリーの交換が必要らしくてね。

正直、そんなこと知ったことではなかった。

しかし、ヒグラシは意図を察してくれたのか、小さく頷いた。

ナポレオン

いいだろう。

ナポレオン

ならば、そちらの答えは結果が分かってから開示するということでいい。

ナポレオン

カメラもそちらの準備ができてからで構わない。

ナポレオン

ただ、すでにもうゲームは始まっている。

ナポレオン

そちらの準備を待ってからゲームを始めるつもりはない。

イガラシ

……いいだろう。

ナポレオン

後、何度も言うが、君と3年D組の仲間達が連絡を取り合うのは禁止とする。

ナポレオン

もしこっそりやろうとしても、こちらには分かるからな。

ナポレオン

下手な真似をしたら、その学校に仕掛けてある爆弾が一斉にドカンだ。

イガラシ

望むところだ。

ナポレオン

くくくく。いいねぇ、そうでなければ!

ナポレオン

では始めよう!

ナポレオン

そして明らかにしよう!

ナポレオン

君にどれだけの友達がいるのか!

同時刻、イガラシの地元。

ツヨシ

おー、悪い。待たせたな!

マドカ

遅いわよ。ってか、ツヨシ親父さんにそっくりすぎじゃね?

ツヨシ

まぁ、親子だからな。

マドカ

で、結局集まれたのはこれだけ?

マドカ

私、適当なこと言って半日有給取ってきたんだけど。

ツヨシ

そういえばハカセは?

マドカ

ハカセはどこぞの大学の院生でしょ?

マドカ

どう頑張ってもここに2時間以内に来ることはできないって。

マドカ

ただ、サポートはしたいって話よ。

ツヨシ

そうか。でもまずいな――俺とマドカしか来てないって。

マドカ

これだけの美女と一緒にいられるのよ?

マドカ

ありがたいと思いなさい。

ツヨシ

なんつーか、相変わらず高飛車だな、お前。

ツヨシ

まぁ、それが懐かしいけどよ。

マドカ

うるさいわね。

マドカ

ん、待って。誰か来るわ。

マドカが神社の石段の向こうに視線をやる。

すると、そこには色々な意味で懐かしい格好をした人物の姿があった。

ヒメ

着れるかどうか不安だったけど、なんとか入ったよー。良かったー。

ツヨシ

ヒ、ヒメか――。あいつ、なんだって学校の制服で。

マドカ

箱入りのお嬢様だからね。

マドカ

何の考えもなしに着てきたんでしょ?

ヒメ

あ、ツヨシ君にマドカちゃんじゃん!

ヒメ

久しぶりー。

ツヨシとマドカに気づいたヒメは、2人に手を振りながら駆けてくる。

が、つまづいてしまったのか、大勢を大きく崩す。

????

危ない!

しかし、次の瞬間、どこにいたのか全く不明ではあったが、倒れ込むヒメの下敷きになる形で人影が滑り込んだ。

ツヨシ

おいおい嘘だろ?

ツヨシ

こいつ、ある意味本物じゃねぇか。

カシン

ヒメ、ご無事ですか?

マドカ

まだお姫様ごっこやってんの?

マドカ

さすがに引くわ。

ツヨシ

あぁ、カシン。

ツヨシ

さすがの俺でも引く。

カシン

くっくっくっ。久しぶりですねぇ、みなさん。

ヒメ

私は数時間ぶりくらい?

カシン

えぇ、今日も今日とてヒメのことを見ておりましたから。

ヒメ

そうだね。あの、電柱に隠れてニヤニヤしてるのキモいから、あれだけはやめてね。

カシン

ヒメがそうおっしゃるのであれば。

ツヨシ

マジもんのストーカーになってんじゃねぇか!

ツヨシ

っていうかヒメ、お前もあれだ警察に相談とかしたほうがいいぞ。うん。

ヒメ

うーん、でも別に害があるわけじゃないし。

ツヨシ

どういう神経してんだよ。

マドカ

まぁ、ヒメのおかげでカシンがおまけについてきたんだからよしとしましょうよ。

マドカ

あ、ハカセから電話みたい。

マドカはそう言うとスマホを耳に当てる。

マドカ

うん、思ったより集まらなかったけど、これからどうすればいい?

制限時間まで、残り1時間。

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