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私には、両親がいない。
何故いないのかと言われるととても困る。
両親が科学者で危ない物を作っていたからだと親戚から聞いた。
そのため、家に帰ってこれないのだと。
両親がいない代わりに学園の校長をしていた祖母が私の母親がわりになり、私を育ててくれた。
私にとっての唯一の家族。
私の大事な肉親。
ベニ
そこは、理科室だった。何故、私がそこにいるのかは分からない。でも、おばあちゃんを探さなきゃ。
なぜ?
分からない。
でも、探さなきゃ。
ベニ
目の前に広がるゾンビの集団があった。私は、問答無用で、そいつらをなぎ払っていく。
一人、二人、三人
私が殴るだけで、奴らは壁や床にヒビをつけて倒れていく。
痛いという感覚は、全く無い。むしろ、虫を蹴散らすような感覚だった。血しぶきが邪魔だなー。
誰も、私を襲ってはこなかった。むしろ、はたからみたら私がゾンビを襲っているのかもしれない。
ベニ
いる奴いる奴をら片っ端から叩きのめした。爽快という感覚は無かった。むしろ、おばあちゃんに会いたい一心だった。
おばあちゃんは、どこ??
生徒がいる場所は何となくだがわかった。何故だろう?匂いがするのだ。人間臭い香り。一部屋、試しに壊して開けてみた。
ベニ
生徒
うるさい。
うるさい。
ベニ
生徒
そのまま、うるさい奴は、全て叩き伏せた。そうして部屋を後にする。そんなことを何度も繰り返す。でも、おばあちゃんは見つからない。
ベニ
その時、刺股(さすまた)を持った子が私の前にやってきた。とても、素敵な笑顔をしていた。
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
誰? 男の子にしては、少し長めの髪。背は、私より少し大きいくらいかもしれない。制服は、血で染まり、目は、真っ青だ。
綺麗な顔つき。きっと、モテるだろうな。きっと、昔の私ならそんな事を思っていたに違いない。
でも、今の私には関係ない。今は、おばあちゃんを探さないといけない。
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
それから、私は、イツキと一緒に部屋という部屋を回った。その間、ゾンビが来るもイツキは、刺股でなぎ払ってくれるからとても楽だった。
途中、何人かの生徒に会うも誰もおばあちゃんの事を知らなかった。その度に、イツキは、生徒の周りにゾンビの死体を集めて置いて回っていた。意味不明。
イツキ
ニコニコと笑いながらイツキは、私の後についてくる。廊下は、随分と静かになった。
ベニ
もう、どれだけの時間が経ったのか分からない。何故だろう、心が黒く染まっていくのを感じる。
ベニ
イツキ
ベニ
涙が、頬をつたうのを感じた。あぁ、泣くなんて久しぶりだな。いつ振りだろう?
イツキ
慌てふためくイツキ。私は、ただ歩きながら泣くことしか出来なかった。こんな時、誰かが、抱きしめてくれてたら………。あれっ? 誰かいた気がするけど、誰だっけ?
イツキ
なんか勝手に喋り始めた。
イツキ
そう、私は中学の頃、バスケ部の部長をしていた。小柄のくせに身長のある選手に向かっていくため、よく先輩なんかには嫌がられた記憶がある。
中学では、先輩と次第に揉めるようになり、高校ではマネージャーとしてバスケに関わるようになった。
その時、仲良くしてくれたのが、アキラとトシ。すごく楽しかったのは、覚えてる。
んっ? あれっ? アキラって誰? トシって誰?
イツキ
ベニ
イツキ
イツキ
私の名前は、ベニ。ベニ。
おばあちゃんが、くれた名前。
イツキ
ベニ
イツキ
そう言って、額を指差す彼の先にはたしかにぽっかりと小さな穴が空いていた。
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
ベニ
イツキ
私、ゾンビになっちゃったんだ、へー。
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
それから、イツキは色々と話し出した。
イツキ
イツキ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
イツキ
ベニ
イツキ
ベニ
イツキ
何とも奇妙な関係の私たちだ。
廊下を曲がった先、外に出る渡り廊下を行かないといけないのだが、これまた沢山のゾンビがいた。
イツキ
ベニ
列をなすようにそいつらは、体育館の入り口に集まっていた。窓を叩く者もいたが全て鉄格子がされているため、中に入れない様子だった。
ベニ
イツキ
そう言って、イツキは、最後尾に並ぶゾンビを刺股で真っ二つに割いた。刺股って、そんな威力ある?人を捕まえる道具じゃないの?
そのまま、横に刺股をなぎ払い、二人同時に吹き飛ばす。三人、四人。剣道やってるって言ってたな。刺股を剣のようにして、ゾンビをさばいてく。
入り口の前にいた最後の一人の頭をかち割るとイツキは、清々しい笑顔で私の元にきた。顔が血で汚れて汚い。
イツキ
ベニ
体育館の扉は、硬く閉ざされていたが、少し力を入れたらすぐに開いた。ゾンビって、バカなのかな?
生徒
生徒
ベニ
小野寺先生
イツキ
そんな事を言いながらイツキは、やっぱりゾンビを入り口前に並べていた。
小野寺先生は、音楽の先生だ。本名は、小野寺ユミ。「ユミ先生!」と生徒に言われたくて教師になったが、高校では、苗字で呼ばれるため、その夢は叶わなかったと聞いたことがある。
少しふくよかで、セミロングの髪をいつも内巻きにしている。ジャケットにグレーのフリルスカートばかり着ている印象があるが、今は、ジャージ。
右胸に鈴木と刺繍された紺のジャージを着ていた。1年から借りたんだろうなというのがすぐに分かる。
ベニ
小野寺先生
イライラする。私の話を聞けよ。
私の心境を察して、イツキがすぐに割って入った。
イツキ
小野寺先生
イツキ
お決まりの話を一通りした後、やっと私の話になった。
小野寺先生
ベニ
小野寺先生
ベニ
お母さんが、おばあちゃんを呼んだ?
第5話に続く