死へのカウントダウン

ねぇ洸

後、どれだけ？

後どんだけ、一緒にいれるの？

怖いよ

春陽は決して弱音を吐かない奴だった

もちろん根拠のない悪口も言わない

だるい眠い無理めんどくさい嫌ウザい

そんな言葉は春陽からはかけ離れていた

だからこそ今見えた不安は

気にしなきゃいけないのもだったのに

だなんて

そんな軽薄で浅はかなことしか考えてなかった

俺はバカだった

ましてや

こんなことになってるなんて

夢にも思わなかった

ボカッ！

なんでこのとき

冗談だとか思ったんだろ

なんで、

今すぐ帰れって言わなかったんだ

ぎゃぁぁぁぁあ！！！！

そこには1人の生徒の悲鳴が鳴り響く

春陽…助けてあげられなくてごめん

どこまでもいいコな春陽を

俺は見ていた

ろれつがまわらない

そう、俺達は

義兄妹だ

…

まだ春陽が

3歳の時

俺の父親と春陽の母親は再婚した

そのとき俺は8歳だったけど

すごく繊細に覚えている

そしてそれから13年たって春陽は高校生になり

俺は21歳

そんな今

13年前のコトがぶり返されるなんて

助けられません

助けられません

助けられません

ずっとリピートする声

信じられなかった

嘘ついてる

顔見たら分かる

悲しげで泣きそうな顔で言う

…なんで？

何があったの？……一体

春陽の余命はもう

後1週間

毎日が死へのカウントダウンのようでとても憂鬱

そんな春陽の想いで

外泊の許可をとれた

色んなところにたっくさん行ったけど

でも

今、もう春陽は起き上がれない

もう今日は最後の日

…あぁ。助けてあげられなかった自分が嫌だ

そんな自己嫌悪になりかけたとき

うわぁこのコもちもちっ！

このコが僕の妹なの？

洸兄ちゃんはやくー！

洸兄ちゃん、高校生なんでしょぉっ？

春陽遅れんなよ中学！

バーカだから言ったのに

沢山の思い出が甦る

これだけ辛そうな春陽が必死にお願いしてる

辛いけど別れるしかないんだ

そう言った瞬間

ピーーーーー

やけに心電図の音が響いた