冥
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【さくらの部屋】
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ピピピ♪
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【教室】
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そこであたしは、
寝ぼけ眼を大きく見開いた。
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五十里《いがさと》冥くんは
中学からの同級生。
当時は明るくて友達もいた
冥くんだけど、
高校に入って
「逆」高校デビュー
してしまったのだ。
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冥
さくら
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冥
ジリリリリリリ♪
さくら
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冥
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冥
気づくと冥くんの顔が、
もう少しでキスできそうなくらい
近くにあった。
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そして、
くちびるとくちびるが
触れそうになるまで近づいて、
やっと。
さくら
あたしは身を引いて
冥くんから距離をとった。
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冥
冥くんは
表情の読めない瞳で
あたしを見つめて。
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――「だけど、あんたが」
――「前の俺がいいっていうなら……」――……
さっき冥くんが口にした言葉は、
あたしの書きかけの小説に
出てくるセリフ。
主人公の女の子に、相手役の男の子が
せまる際のセリフなのだ。
……そして、
キスされそうになってしまうのも
今と同じ……。
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あたしの小さなつぶやきは、
そのまま虚空へと消えていった。
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