禿
客
客
彩葉
…気持ち悪い
嫌だ
でもこの人の相手をしなきゃ
冬にもう一度会う前に殺される
あの男達が村に来なければ…
拉致されなければ…
冬…
会いたい
いつこの日々が終わるんだろう
禿
禿
客
禿
私はこの子に笑いかけた
彩葉
禿
禿
彩葉
禿
禿が出て行った
始まっちゃう…のね…
お互いのことを知らないまま 身を重ねる
この男の息を浴びる
この男に汚されてしまうなら
今は…今だけは…
香りのしない花のようにありたい…
あの人にだけ好きになってほしい
他の誰に愛されても嬉しくない
あの人に愛されたい
…やっと終わった
客
彩葉
彩葉
そう言って私は髪を一本抜いて 客の指に結んだ
心中立てというものだ
髪の他に爪や血を渡すこともある
私は貴方だけのものです
そんなことを表すためのものだ
だけどそのほとんどが客から 金を搾り取る為の手管として 使われる
私の今のはそれ
下級の遊女はこうしないと 生きていけない
野垂れ死ぬのは避けたい
客
客
そう言って私の指に 髪を結んだ
彩葉
彩葉
彩葉
彩葉
彩葉
客
客が出て行った
彩葉
彩葉
彩葉
遊女の部屋に戻った
下級の遊女は大部屋で雑魚寝だ
桜花
桜花
彩葉
私は無意識のうちに手毬を 取り出して手に取っていた
桜花
桜花
桜花はここでできた親友だ
何を話しても優しく聞いてくれる
彩葉
桜花
興味深そうに聞いてくれる
彩葉
桜花
桜花
桜花
彩葉
桜花
桜花
桜花
桜花
桜花
桜花
桜花
彩葉
桜花
彩葉
手に持っていた手毬は転がっていく
暗闇の方へ
心も暗くなっていくみたい
ねえ…お願い
彩葉
彩葉
彩葉
彩葉
叶わない願い
あの雲間に消えてしまった気がした
冬
冬
冬
冬
冬
冬
冬
主
主
主
主
主
主
コメント
2件
素敵ですね。最終話、めちゃくちゃ気になります!応援してます!