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目を開けると白い天井が見えた。 知らない天井。僅かに消毒液の臭いがする。

太宰

ああ、病院か

太宰

チェッ。また死に損なった。
……あれ?

太宰

今の私の声? にしては随分幼かったけど。ああ、もしかして子供になったのかな? 異能はあり得ないとしてそんな薬を誰かが開発したとか。

太宰

うむ。やはり体全体が小さい。そういうことか。光源氏計画ってやつかな。面倒だな

はああと小さな体から吐息が出ていた。 と、その時、病室の扉が開いた。扉から太宰が知らぬ少女が入ってくる。少女は目を見開くと途端その顔に喜色を浮かべた

コナン君。良かった気がついたのね!

太宰

……コナン? それにこの女性は……。

太宰

あ、なるほど、私幼くなったわけじゃなく別の体に入ったのか。腹が痛いから小さくなったで間違いないと思ったけど……。

太宰

そうか。この子も腹を刺されたのか

太宰

にしても無茶するな、殺人犯をおいかけるなんて、しかも他の人が刺されそうになった所をかばいに入るなんてね

太宰は一瞬で理解した。そしてその瞬間、彼の中には大量の記憶が流れ込んでいた。 それは太宰の記憶ではないものだった。 彼が入ってしまった体の持ち主のものだろう 見知らぬ女性が誰であるかも分かってしまう

太宰

うん。大丈夫だよ。蘭姉ちゃん。

良かった。もう無茶しちゃだめよ。コナン君もう3日も目を覚まさなかったんだから。
心配したのよ

太宰

ごめんなさい

お医者さん呼んでくるから待っててね

少女は再び病室から出ていた。 病院の中には太宰1人だ

太宰

(可愛らしい女性だったね、この体でなければ心中にでも誘っている所なのだけど)

太宰

(所で一応君のふりして過ごしてみた方がいいのかな。コナン君)

 太宰は問いかけた。

 誰にと言うと先ほど、記憶を思いだす時、感じた体の中のもう一つの気配にだ。

コナン

(うん。そうしてほしいんだけど……何でこんなことになったのか、お兄さん、分かる。お兄さんの記憶が少し見えたから僕と同じ時間に腹をさされたことは分かるんだけど……)

太宰

(さあ? さっぱりだね。 異能は私には効かないから違うとして、それ以外にこんな現象が起きてしまうなんて……。)

太宰

(もしかしてこれが心霊現象と言うやつなのかな。私が死んで君に取り憑いた。)

太宰

(私は君と違って人がいない場所でさされたからそのまま放置されたか、遺体を見つからないように隠されたかのどっちかだからね。)

太宰

いやー、困った困った

コナン

(全然困った風には聞こえないけど。もしかしたらずっとこのままってこと……

コナン

お兄さん、悪い人じゃないよね)

 おやと、太宰は心の中で片眉を上げた。子供がどうにも子供らしくない。思い起こせば記憶の中の行動も子供とはかけ離れていた。そして太宰の中に流れこんでくる思考もまた子供らしくない。

太宰

(安心して、私は一般人に危害をくわえるようなものではないよ。聞いたことないかな、武装探偵社と言う所で働いていて、狙われたのもその仕事の関係だ。だから君が心配するようなことはない

コナン

(……武装探偵社。本当だ。でもお腹さされたのが仕事の関係は嘘だよね。
女性関係の逆恨みって何したの)

太宰

(……この体心まで読めてしまうのは面倒だね)

コナン

(本当に。お互い伝わってくるもんね。隠し事の一つも出来やしないや。お兄さん知られたくないことたくさんあるみたいなのに)

太宰

(それは君もね)

 二入してため息をついたのは同時。あわせて体も吐息を吐いていた。

 病室の扉が開く

博士

新一。目覚めたと聞いたが大丈夫か

灰原

悪運が強いわね。工藤君

コナンin太宰

新一、工藤? コナンでじゃないの?

博士

コナン

(あ、やべ)

灰原

…!! 貴方誰

 病室内、冷たい風が走る

太宰

(はあ、なるほど、薬で体が小さくなってるんだ。黒の組織ってのが関わっているのか。うう~ん、この銀髪の男とサングラスの男かな。恐い顔してるね。一般に出歩いて大丈夫? 職質たくさんうけてそう)

コナン

(ぐっ。くそ、この体ホントかくせねぇ)

太宰

(はは、それよりいいの。あの子、シェリーちゃん? ふるえてるよ。)

太宰

(普通記憶喪失とか疑いそうだけど、彼女は誰かが入れ替わっているって疑ってるのかな)

コナン

(まあ、組織の奴とか、別人にすり変わるのが得意な奴いるからな)

コナン

(一人や二人協力者がいてくれたほうがボロもでにくくなるだろうから、二人なら本当のこと伝えていいよ)

太宰

(了解)

コナンin太宰

私は太宰治、君が考えた通り別人だけどすり変わっているわけではないから安心して

コナンin太宰

これは正真正銘彼の体で、私はどういうわけか彼の中に入ってしまったようだ。まあ、幽霊が取り憑いているとでも思ってくれたまえ

コナンin太宰

彼もちゃんと私の中にいるから安心してくれ。なんか話せるかな。あ~あ

灰原

は? 貴方何を言っているの。子供だからってそんなこと信じるって思わないでくれる

コナン

あ~悪い灰原、本当の話なんだ。お前の姉さんが宮野明美さんであることと、博士のお尻にほくろがあること。ついでに二人が病院近くのハンバーガー屋でお昼を食べたことで信じてくれねえか。博士のひげにはソースがついてるし、二人共ケチャップ系の匂いが薄っすらとしてるからな。灰原が博士が脂っこいハンバーガーを食べること許すのは珍しいけど、病防近くに他に食べ物屋はねぇし、二人がずっと俺の目がさめるのを待っていてくれたとしたら不思議はねえよ

コナン

ありがとな

灰原

……ふん。どうやら本当のようね。全く面倒ばかりおこすんだから

太宰

(ふふ、やるね。でも君が表にでられるなら私が君のふりしなくてもよさそうだねーって、ありゃ、そうはいかないのか)

 太宰は体の中のもう一つの気配が弱るのを感じて一つ嘆息していた。そうだなと聞こえる声は弱しい。

博士

でも、どうしてそんことが起きたんじゃ

コナンin太宰

それが謎なんだよね、同時刻に刺されたみたいだからそのせいかとは思うんだけど、どうしてなのかはさっぱり

灰原

ちょっとどうして工藤じゃないのよ、彼が話せるなら、彼に話させなさいよ

コナンin太宰

それがどうやら彼が話すと精神的にとても消耗するようでね。基本的には私がこの体を動かすしかないようだ

灰原

……そうなの

 少女がとても不快そうに太宰を見て鼻をならした。

コナンin太宰

あ、そうそうこのことは秘密にしてほしいな。あんまり大勢に知られてもいいことはないだろう?

灰原

そうね、分かったわ

博士

了解じゃわい

 丁度話が終わったころ、医者を連れて女性が戻ってきた。二人は入れ替わりに出ていきた太宰は診察を受けた。

コナン

(そう言えば)

太宰は暫く入院することとなった。

これ幸いと布団の上でごろごろ過ごす。何も考えずゆっくり横になっていた夜、同じようにゆっくり休んでいたのだろうコナンに声をかけられた。

 彼の考えはじんわりと太宰の中に浸入してきていて、何を言おうとしてるのかは言われる前に分かる。

 つい思いおこしてしまうみんなの姿

コナン

(お兄さんの仲間に生きていること伝えなくていいの? 心配しているんじゃ)

太宰

(……別にいいよ。この状況を説明するのも手間だし、彼らは私がいなくなることにもなれてるからきっと気にもしてないよ。ついに死んだかって思ってくれるはずだよ)

コナン

(·········お兄さん)

 太宰は一度思いかべた顔を脳裏から消して答えていた。子供の声が悲しげになる。じわじわと思いがしみこんでいた。

コナン

(大変だね)

太宰

(まあ、そうなのかもね)

 子供の声が聞こえなくなる、それでもわずかずつ感じる思いにふたするよう太宰は目を閉じた。それで聞こなくなるなんてことはなかった

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