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三島圭子

イル!

三島圭子

おはよう!

浜松イル

三島ちゃん……

結局メールの返事は送らなかった

わざわざ違う電車に乗ったが

学校の最寄りの駅前で、当たり前のように圭子は待っていた

イルは一瞬、逃げ出したいと思ったが

止められるのがわかっていたため

何も言わずに合流した

三島圭子

やっと半袖にしたんだ?

三島圭子

気になってたんだよね~

三島圭子

こんなに暑いのに長袖なんだもん!

三島圭子

って、なに?そのリストバンド!

傷を隠すためのに着けたリストバンド

イルにとってはとても重要なもの

しかし、何も知らない圭子は

三島圭子

ない方がいいよ~

お構いなしに思ったことを口にする

浜松イル

でも、気に入ってるから

三島圭子

初めて見たけど?

浜松イル

え?

三島圭子

それ着けるの今日が初めてなんじゃない?

三島圭子

本当はそんなに気に入ってなかったりして?

浜松イル

そんなこと……

三島圭子

不自然に長袖着てたかと思えば、今度はリストバンド着けてくるなんて

三島圭子

イルらしくないよ

圭子の言葉が

イルの心にナイフのように突き刺さる

できることなら伝えたい

昔から圭子と比較されいじめの対象になっていたこと

今も進行形でいじめられていること

しかし圭子は正論を振りかざし

そんな自分を「正しい」と心の底から思っている

正論は時に人の心を抉る凶器となる

圭子はそれが理解できていない

坂井穂波

三島ちゃーん!

穂波の声にイルの身体が少し強張る

三島圭子

イル?大丈夫?

圭子の声を掻き消すように

坂井穂波

おはよー!

穂波は圭子に声を掛けつつ

イルの足を思いっきり蹴った

浜松イル

いっ……

坂井穂波

ごめん!当たっちゃった!?

三島圭子

ちょっと、大丈夫!?

浜松イル

…………

坂井穂波

ごめんね浜松さん!

三島圭子

気を付けなよ!!

坂井穂波

はぁい……

もちろん反省などしていない穂波は

圭子にバレないように振り向き

遠くから様子を見ている男子達に合図を送った

吉崎隆

わざとらしーな、あいつ

高尾雄大

三島はそれでも気づかないのか~

吉崎隆

バカ松に同情するよw

朝のホームルームを終え

圭子は担任に呼ばれ教室を出ていく

圭子が教室を出て数秒後

坂井穂波

ハーイ!みさなーん!

坂井穂波

今日はバカ松さんに何をしますか~?

いつもの調子で穂波が呼び掛ける

教室にいるほぼ全員の生徒がイルを見て笑っていた

女子A

はい!

女子A

その長くてうざったい髪の毛をカットしたいでーす!

坂井穂波

いいね!やろうか!

吉崎隆

今はまずくね?

高尾雄大

三島が戻ってきた時にどう説明するんだよ?

坂井穂波

えー!?

坂井穂波

つまんなーい!

ほんのわずかな時間でも

穂波達は生徒を煽りイルを攻撃しようとしていた

そこに圭子が戻ってくると

三島圭子

何話してたの?

坂井穂波

浜松さんがイメチェンするって話!

自分達の都合のいいように言い訳をして

圭子のことを騙していた

圭子はイルの些細な変化を気にしてはいるものの

自分のクラスでいじめが行われ

その攻撃の対象がイルになっていて

自分を傷つけてしまっていることには全く気づいていなかった

三島圭子

イル、イメチェンするの?

浜松イル

しない……

三島圭子

え?

浜松イル

イメチェンなんてしない……

浜松イル

したくない……

イルの初めての抵抗だった

しかしそんな抵抗も

穂波達には決して通用しないのである

傷跡ー二人の絆ー(休載中)

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