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1件
すごぉぉ!!!
雪晶奏
やなと
おさでい
あなたの残り時間:00:08:12
画面に表示された文字。
【次の役割:通知の送信者】
頭が真っ白になる。
やなと
これまで、
恐怖をばらまき、 人を追い詰め、 命を奪ってきた“存在”。
それに、俺がなる?
――違う
そんなの、認めない。
おさでいが、必死な顔で言う。
おさでい
俺は、短く息を吸った。
…もう、隠す意味はない。
やなと
やなと
おさでいの目が見開かれる。
おさでい
やなと
俺は、笑った
やなと
あなたの残り時間:00:04:20
おさでいの目から涙があふれた
おさでい
その言葉で、 俺の中の何かが、はっきりと形になる。
…そうだ
間違ってる。
この仕組み自体が。
誰かを助けるために
別の誰かが必ず犠牲になる。
そんな世界、
正しいはずがない
【送信準備完了】 【最初の通知を送信してください】
俺は、画面を見つめた。
宛先入力欄。
ここに、誰かの名前を入れれば、 また新しい犠牲者が生まれる。
でも
俺は、名前を入れなかった。
代わりに、文字を打ち込む。
宛先:――なし 本文:「この連鎖を、ここで終わらせる」
送信。
【エラー】 【宛先が存在しません】
何度も、送る。
エラー。 エラー。 エラー。
そのたびに、 胸の奥が、焼けるように痛む。
あなたの残り時間:00:01:12
それでも、やめなかった。
やなと
おさでいが、俺の腕を掴む。
おさでい
俺は首を横に振る。
やなと
やなと
残り時間:00:00:10
視界が、白く滲む。
それでも、 最後の力で、送信ボタンを押した。
――その瞬間
スマホの画面が、完全に白く光った。
【システム強制終了】 【通知機能、停止】 【連鎖、遮断完了】
やなと
あなたの残り時間:00:00:00
終わった。
そう思った瞬間。
――世界が静止した。
音も、光も、 すべてが止まる。
次の瞬間。
ゆっくりと、 時間が、再び動き出した。
おさでい
おさでいの声。
俺は、地面に倒れていなかった。
普通に立っている。
心臓も動いている。
スマホを見る。
そこには――
あなたの残り時間:∞
やなと
【通知システムは完全に停止しました】 【これ以上、犠牲者は発生しません】
喉が、震えた。
やなと
おさでいが泣きながら俺に抱き着く。
おさでい
肩が、びしょびしょになる。
俺は、空を見上げた。
夜明け前の、薄い光。
――初めて。
生きている実感がわいた
この世界には、もう。
深夜0時の通知は届かない。
雪晶奏
雪晶奏