すばる
どのくらい?
母親
すばる
中1の俺は 親が離婚したせいで 母親の実家があるど田舎に 無理やり転校させられ 不機嫌だった。
母親
すばる
母親
すぐ左をひたすらまっすぐね。
むかつく。 誰のせいでこんな目に、、
すばる
母親
もうすぐ晩ご飯だから
すばる
晩飯には戻る
ほんとなんもない。 田んぼと畑 あと潰れた酒屋 道も舗装されてないし。。
すばる
とりあえず散歩しながら
時間潰すか
しばらく歩くと 小さな公園があった。
すばる
公園の外側には 桜の木がきれいに並んでいて その真ん中にポツンと 今にも壊れかけそうな ベンチがあった。
さくら
すばる
あんたは?
さくら
このあたりに住んでいるの
桜の木の下で微笑みながら 話す彼女に 俺は問いかけた。
すばる
さくら
すばる
さくら
空気は美味しいし静かで
過ごしやすいよ。
すばる
そうゆうもん?
さくら
都会にも行ってみたい
すばる
その問いかけに さくらは少し どもったけど すぐに顔をあげた。
さくら
けど出れないかな
すばる
俺の質問を遮るかのように だれかがさくらのことを 遠くで呼んでいる。
さくら
お母さんが迎えにきちゃった。
話し相手になってくれて
ありがとう。
さくらは俺の問いかけに 答えることはせず 去り際に笑顔だけを残して 公園からでていった
すばる
頭のなかに 少しモヤッとした なにかが残ったけど それがなんなのか 俺にはよくわからなかった。
母親
すばる
母親
すばる
そうゆうと 母さんは手に持っていた皿を フッと床に落とした。
ガシャンッ
母親
すばる
さくらっていってた
母さんは慌てて 床に散り散りになった お皿を拾い始めた。
母親
すばる
母親
雛子も呼んできて
晩ご飯できたから
明らかに動揺してるのに 何回聴いても 気にしなくていいの 一点張り
俺は諦めて 妹の雛子を呼びに二階にあがった
雛子
お母さんは?
すばる
雛子
ペコペコだよお
すばる
雛子
すばる
母さんの実家、ここによく
きてたよな?
雛子
すばる
雛子
だって雛多分2.3歳だったし
すばる
雛子
すばる
雛子
すばる
雛子
母親
ご飯できたから
結局、妹に聞いても モヤモヤは消えなくて 思い出せそうなのに なんでか 思い出せないんだよな。
でもたぶん おれ、小さい頃 さくらに会ったことあるんだと思う じゃなきゃ このモヤモヤはなんだってんだ
すばる
○□から引っ越してきた
武田 すばるです。
よろしく
今日は転入初日
担任の先生がおれの席を指差した
担任
木戸? どこかで聞いた名字だ
すばる
おれの隣の席は さくらだった。
すばる
さくら
木戸 さくらです
よろしくね
まるで今日が 初対面かのような さくらの反応に 身体が反応してしまった。
すばる
さくら
すばる
さくら
さくら
とぼけている感じもない。 至って普通だ 公園であったさくらとは 別人なのか
すばる
さくら
さくら
何度聞いても 首を傾げるさくらに 俺は訳が分からなくなった。
すばる
母親
どうしたの。浮かない顔して
すばる
さくらのこと何隠してんの
俺の問いかけに 明らかにまた 動揺してる。
母親
すばる
母さんは、目を見開いて 重たい腰をソファーに おろした。
母親
すばる
母親
すばる
俺のこと完全に忘れてた
母親
すばる
初対面だって
すばる
母親
すばる
気がするんだ。
母親
すばる
小さいとき母さんの実家によく
遊びにきててその時よく遊んでた女の子
すばる
母親
すばる
すばる
母親
母親
すばるは初対面ではないわ
すばる
母親
会っても、さくらちゃんの方からしたらはじめましてになるのよ。
すばる
すばる
母さんはため息をつき 話し始めた。
母親
すばるの記憶がないの
すばる
母親
友達の記憶もない
すばる
母親
自分の親と自分だけ。
すばる
母親
母親
母親
記憶障害 覚えておきたいことも なにもかも 次の日には忘れてるのか
すばる
母親
母親
初対面なの
母親
あの事件もぜんぶ
さくらちゃんは忘れてるのよ
すばる
すばる
母親
母親
そうゆうことだから
母親
母さんは それ以上話さなかった。
すばる
コンコン。
雛子
入ってもいい?
すばる
ガチャ 静かにドアが開いた
雛子
すばる
雛子
からさ。お兄ちゃんと喧嘩でもしたのかと
すばる
雛子
すばる
すばる
雛子
なんか変
すばる
雛子
雛子
すばる
すばる
すばる
俺は何事も なかったかのように さくらに話しかけた。
さくら
さくら
すばる
覚えてるのか?
さくら
出来事をこまめにメモしてるんです
さくら
さくらはそういって にっこりと俺に 笑顔を向けた
さくら
さくら
すばる
隣の席同士仲良くしてくれよな
さくらは小さいノートを 机の引き出しから取り出した ノートを広げ 真っ白なページに おれの名前をスラスラ 書き始めた
さくら
すばる
さくら
さくらの笑顔は どこか寂しそうで でも何故か懐かしい そんな感じがした。







