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忘れないでよ。さくら。

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忘れないでよ。さくら。

1 - 忘れないでよ。さくら。

♥

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2020年03月04日

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すばる

母さん、コンビニまで
どのくらい?

母親

家からだと歩いたら30分位かしら?

すばる

は!?そんな遠いの?

中1の俺は 親が離婚したせいで 母親の実家があるど田舎に 無理やり転校させられ 不機嫌だった。

母親

田舎だもの。仕方ないわよ

すばる

まじかよ。。

母親

コンビニいくなら家をでて
すぐ左をひたすらまっすぐね。

むかつく。 誰のせいでこんな目に、、

すばる

とりあえず適当に歩いてくる。

母親

あんまり遠くに行かないでよ。
もうすぐ晩ご飯だから

すばる

子供じゃねーつーの。
晩飯には戻る

ほんとなんもない。 田んぼと畑 あと潰れた酒屋 道も舗装されてないし。。

すばる

どーすっかな。
とりあえず散歩しながら
時間潰すか

しばらく歩くと 小さな公園があった。

すばる

あれ?

公園の外側には 桜の木がきれいに並んでいて その真ん中にポツンと 今にも壊れかけそうな ベンチがあった。

さくら

あなた、みない顔だね

すばる

今日引っ越してきたから。
あんたは?

さくら

私?私はさくら。
このあたりに住んでいるの

桜の木の下で微笑みながら 話す彼女に 俺は問いかけた。

すばる

ずっとこんな田舎に住んでんの?

さくら

そうだよ。生まれたときから

すばる

退屈じゃね?なんもないし

さくら

そうかな?
空気は美味しいし静かで
過ごしやすいよ。

すばる

ふーん。
そうゆうもん?

さくら

うん。でも
都会にも行ってみたい

すばる

ここからでたことないのか?

その問いかけに さくらは少し どもったけど すぐに顔をあげた。

さくら

出てみたい。
けど出れないかな

すばる

なんで?

俺の質問を遮るかのように だれかがさくらのことを 遠くで呼んでいる。

さくら

あ、ごめんね。
お母さんが迎えにきちゃった。
話し相手になってくれて
ありがとう。

さくらは俺の問いかけに 答えることはせず 去り際に笑顔だけを残して 公園からでていった

すばる

おんなじ中学なのか?

頭のなかに 少しモヤッとした なにかが残ったけど それがなんなのか 俺にはよくわからなかった。

母親

おかえり。遅かったじゃない

すばる

うん。なんか公園で喋ってた

母親

誰かいたの?

すばる

さくらって子なんだけど母さん知ってる?

そうゆうと 母さんは手に持っていた皿を フッと床に落とした。

ガシャンッ

母親

さくらって坂の上に住んでる木戸さんの娘さん?

すばる

いや。名前しか知らない
さくらっていってた

母さんは慌てて 床に散り散りになった お皿を拾い始めた。

母親

そう。さくらちゃん

すばる

知ってんの?

母親

気にしなくていいのよ。
雛子も呼んできて
晩ご飯できたから

明らかに動揺してるのに 何回聴いても 気にしなくていいの 一点張り

俺は諦めて 妹の雛子を呼びに二階にあがった

雛子

あれ、お兄ちゃん
お母さんは?

すばる

キッチン

雛子

あーお腹すいた。
ペコペコだよお

すばる

なあ、雛子

雛子

ん?なに?

すばる

俺らって昔小さい頃
母さんの実家、ここによく
きてたよな?

雛子

そうだねえ。でもまだおばあちゃんとか生きてた頃だし10年くらい前でしょ

すばる

そんときのこと覚えてる?

雛子

覚えてない。
だって雛多分2.3歳だったし

すばる

だよな。俺だって4.5歳位だし

雛子

どしたの?急に

すばる

さくらって子覚えてる?

雛子

さくら?だれそれ

すばる

だよな。いいや忘れて

雛子

今日のお兄ちゃんなんか変

母親

ほらほら片付けてよ。
ご飯できたから

結局、妹に聞いても モヤモヤは消えなくて 思い出せそうなのに なんでか 思い出せないんだよな。

でもたぶん おれ、小さい頃 さくらに会ったことあるんだと思う じゃなきゃ このモヤモヤはなんだってんだ

すばる

はじめまして。
○□から引っ越してきた
武田 すばるです。
よろしく

今日は転入初日

担任の先生がおれの席を指差した

担任

武田の席は、木戸の横だな

木戸? どこかで聞いた名字だ

すばる

あ、

おれの隣の席は さくらだった。

すばる

さくら

はじめまして。
木戸 さくらです
よろしくね

まるで今日が 初対面かのような さくらの反応に 身体が反応してしまった。

すばる

さくら、、だよな?

さくら

へ?あ、はい木戸さくらといいます

すばる

俺のこと覚えてないの?

さくら

、、、

さくら

どこかでお会いしました?

とぼけている感じもない。 至って普通だ 公園であったさくらとは 別人なのか

すばる

ほんとに、俺のことおぼえてない?

さくら

、、、

さくら

ごめんなさい。誰かと勘違いされてるの?

何度聞いても 首を傾げるさくらに 俺は訳が分からなくなった。

すばる

ただいま。

母親

早かったのね。
どうしたの。浮かない顔して

すばる

母さん。
さくらのこと何隠してんの

俺の問いかけに 明らかにまた 動揺してる。

母親

だから、気にしなくていいって

すばる

俺、さくらと同じクラスだった

母さんは、目を見開いて 重たい腰をソファーに おろした。

母親

そう。同じクラス

すばる

ああ。しかも隣の席

母親

そう。さくらちゃんと

すばる

会ったはずなのに
俺のこと完全に忘れてた

母親

、、、

すばる

何回も聞き直したけど
初対面だって

すばる

意味わかんないだけど

母親

、、、

すばる

俺、昔ここでさくらに会った
気がするんだ。

母親

すばる

うろ覚えだけど
小さいとき母さんの実家によく
遊びにきててその時よく遊んでた女の子

すばる

覚えてない?

母親

そうね。

すばる

ずっとモヤモヤしてたんだ

すばる

どっかでひっかかってた。

母親

、、そうね

母親

たしかにさくらちゃんと
すばるは初対面ではないわ

すばる

やっぱり

母親

けれどこれからさくらちゃんに
会っても、さくらちゃんの方からしたらはじめましてになるのよ。

すばる

、、、

すばる

は?

母さんはため息をつき 話し始めた。

母親

さくらちゃん。
すばるの記憶がないの

すばる

、、、

母親

すばるだけじゃない
友達の記憶もない

すばる

、、、

母親

さくらちゃんが認識できるのは
自分の親と自分だけ。

すばる

それって

母親

そう

母親

記憶障害

母親

一日あったこと次の日にはリセットされてるのよ。

記憶障害 覚えておきたいことも なにもかも 次の日には忘れてるのか

すばる

会ったことも忘れてるって事か

母親

ええ

母親

だからさくらちゃんからしたら
初対面なの

母親

小さい頃に出会ってたことも
あの事件もぜんぶ
さくらちゃんは忘れてるのよ

すばる

.........

すばる

事件ってなんだよ。

母親

あ、いや

母親

と、とにかくさくらちゃんのことは
そうゆうことだから

母親

早くご飯食べましょう

母さんは それ以上話さなかった。

すばる

結局母さんなにも教えてくれなかった。

コンコン。

雛子

お兄ちゃん。雛子だよ、
入ってもいい?

すばる

ああ。いいけど

ガチャ 静かにドアが開いた

雛子

またお母さんと喧嘩したの?

すばる

喧嘩なんかしてない

雛子

なんかお母さんぶつぶつゆってる
からさ。お兄ちゃんと喧嘩でもしたのかと

すばる

雛子ってさ。

雛子

、、、なに?

すばる

いや。

すばる

いいや。なんもない

雛子

お兄ちゃんもお母さんも
なんか変

すばる

そんなことない

雛子

さくらさんのこと?

雛子

...わたしね。思い出したことあるの

すばる

、、、

すばる

え?

すばる

おはよう。木戸さん

俺は何事も なかったかのように さくらに話しかけた。

さくら

あ、

さくら

昨日の転校生の人ですよね

すばる

あ、ああ。
覚えてるのか?

さくら

忘れないように
出来事をこまめにメモしてるんです

さくら

わたし、よく忘れちゃうから

さくらはそういって にっこりと俺に 笑顔を向けた

さくら

よろしくね。

さくら

えっと確か名前は、、

すばる

すばる。武田すばる
隣の席同士仲良くしてくれよな

さくらは小さいノートを 机の引き出しから取り出した ノートを広げ 真っ白なページに おれの名前をスラスラ 書き始めた

さくら

字はこれであってる?

すばる

え、あ、ああ

さくら

これで忘れないね

さくらの笑顔は どこか寂しそうで でも何故か懐かしい そんな感じがした。

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