サヅキ
はぁ……はぁ……

X
変わってないなお前は

サヅキ
なに?

X
どれだけ技を会得したところで癖を治せなければ俺を殺すことは不可能だ

サヅキ
まだだ…

サヅキ
まだ僕はやれる!

X
言ったはずだ!

X
癖を治さないと真っ向勝負で俺に勝つことは出来ない!

サヅキ
真っ向勝負では勝てないなら…

サヅキ
こんな風に工夫すればいいんだよね?

襲いかかるサヅキだったが突然目の前で屈んで隙を作る
次の瞬間Xの視界にはサヅキが消え代わりに眩い光がXを襲う
X
ぐぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?

サヅキ
僕だって正直真っ向勝負で勝てるとは思ってない

サヅキ
だからこそ今みたいな策を考えて実行したんだ

サキ
はぁ……

サキ
いま私の撃てる全力よ…

サヅキ
ありがとうサキ

サヅキ
とは言ってもこれでXがくたばる訳がない

サキ
そうね…

X

X
はぁ…はぁ……

X
(今の攻撃はソーラーレイか?)

X
(あの光エネルギーの量と質…)

X
(やはりあの女は只者じゃないな…)

X
(今撃てる全力とも言っているがあれは嘘に近いものだな)

X
(俺の予想でしかないがまだ威力をあげられるはずだ)

X
(その代償が体に負荷をかける故セーフティをかけたのか)

X
(もしセーフティをかけていなかったのなら俺は致命傷を負っていただろうな…)

X
なかなか鋭い攻撃だ…

サヅキ
やっぱり仕留められてないか…

サキ
……そうね

X
正直今の策とその攻撃には驚かされた

X
まさか俺がここまでダメージを受けるとは

X
ほぼ無傷で貴様らを完封しようと考えていたが甘く見すぎたようだ

X
今の攻撃に敬意を払って少し俺もリミッターを解除してやろう

サヅキ
なに!?

サキ
まだ上があるのね…

X
ここで貴様らを殺してもいいが

X
こちら側に勝算がないのでね

X
リミッターを解除するにしても剣は使わないでやろう

サヅキ
見くびってたとか言ってるけど

サヅキ
まだ少し僕らのことを下に見てるね

X
無論俺は貴様らに負けることは無いからな

X
まぁこの攻撃を避けれたら認めてやろう

サヅキ
?

サヅキ
ただこちらに向かって歩いてくるだけ…

サヅキ

サヅキ
!?

サキ
がはっ…!?

X
やはり見えてもいないか…

サヅキ
いつ僕らの後ろに…

X
ついさっきだ

サキ
さっきまでゆっくりこっちに歩いてたはずじゃ…

X
それは残像と言うやつだな

X
俺はお前ら2人の間を刹那の間に抜けた

X
その瞬間軽く表面を傷つけさせてもらった

X
俺のこの爪でな

サヅキ
黒い腕…

サキ
まるで狂人化したやつみたいな…

X
当たらずも遠からずってとこだな

X
これは俺のスキルのひとつだ

X
分かりやすくいえば形状変化だ

X
人の腕から獣の腕に変えたりできるのが俺の持つスキルのひとつ

X
その力を使い貴様らに傷を負わせた

サヅキ
(Xはまだなにか隠している…)

サヅキ
(今の僕の本気も彼には通用しない)

サヅキ
(また僕は負けるのか…)

サキ
(これ以上彼が強くなるのはまずい…)

サキ
(でも、それを阻止するには私の【全力】を出さないといけない…)

サキ
(それは負荷が大きすぎるから……)

サキ
(もしもの時があったらその時は……)

X
さぁどうする?

X
俺は確かにお前が嫌いだ

X
殺ろうと思えばいつでも出来る

X
だがそれはつまらん

X
だからこそ加減もしてる

X
それでもお前らは俺を越えられない

X
勝ち目がないのだよ

X
知った上でやるというのなら相手しよう

サヅキ

サヅキ
僕の一撃を与えてやる

サヅキ
それさえ決められれば今回は満足だ

X
面白い…

X
その攻撃真っ向から受けてやる

X
そこの女はどうする?

サキ
私は……

サヅキ
ここは僕だけでやる

サヅキ
最悪の場合に備えておいて欲しいからね

サキ

サキ
分かったわ…

サヅキ
行くよX…

X
かかって来るがいい

サヅキ
僕のこの剣は僕のために作られた

サヅキ
僕の癖に合わせて作られたものだ

サヅキ
もちろんまだ試作段階ではあるけれど…

サヅキ
こいつが耐えれるギリギリを狙ったものをXお前に食らわせてやる

刃先が真紅に染まり剣を覆うように焔が空を舞っている
サヅキ
さぁこれで準備は整った!

サヅキ
その身に刻め!

サヅキ
【炎の構 炎風神】

Xの体を横に引き裂くような起動を描き剣を振るうサヅキ
それに対抗するように肥大化した獣のようなその腕が…爪が…それを相殺する
サヅキ
ぐっ…!

X
(このエネルギー量……)

X
(この技自体も試作品だろうが…)

X
(もうほとんど完成形に近いな…)

X
(こいつ本当に天才かもしれん…)

X
だが……

X
所詮テスト段階!

X
その程度で…

サヅキ
まだだ…

サヅキ
まだだァァァァァァ!

お互いの力は釣り合っていたはずがサヅキがさらに火力を上げ
Xの右腕を押していき遂にはその腕を切り落とすことに成功する
X

X
なかなかだ……

サキ
う…そ……

サキ
サヅキが……

サキ
Xの腕を……

サヅキ
はぁ……はぁ………

サヅキ
これが僕の全力だ…

X
これは素直に褒めてやろう

X
だが欠点だらけの技であるのは間違いない

X
この一撃を使ったあとはほとんど気力すらも残されないということ

X
威力の増減はその心の強さに比例しているという点もひとつだ

X
安定した火力があげれない上に1度きりとなるとさらにバツが悪いな

X
だがこの威力と俺の腕を飛ばしたのは褒めてやる

X
まぁ相手が俺でなければほとんどの奴らは出てこねぇ

サヅキ
はぁ………

サキ
ま、まさか……

X
察したようだな…

驚くべきことにXは切れた腕すらも傷口に重ねるだけ治ってしまった
サヅキ
そんな……

X
驚くべき成長速度だと褒めてはやろう

X
しかしそれで俺をやれなければその程度よ

サヅキ
もう僕には…

サキ
なら私が…

X
君は手を出しちゃいけないだろ?

サキ
ぐっ…

X
まぁ安心しろ

X
俺の腕を飛ばしたのは誇ってもいい

X
その一撃を評して今回はこれくらいにしておこうか

サヅキ
なに?

サヅキ
そんな余裕を見せてほんとにいいのか

X
俺の悪いくせでね

X
いわゆる戦闘狂と言うやつかな

X
お前が強くなればなるほどまた俺も強くなれる

X
だからこそ生かしておこうと思ってな

サヅキ
いつか必ず僕が君を倒す

X
その日を俺は楽しみにしてようかな…

サヅキVSXはサヅキ達の不戦勝という形で勝利を得ることに成功した