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これは私がまだ営業部署に所属していた頃の話

とても暑い真夏日の事。 私はいつもの様に地方の取引先に出向き仕事をこなしていた

取引先との話はすんなりと終わり 予定より早く上がった

今日来たところは地方のデカい湖が有名で傍には出店や観光ホテルなんかも多数ある 私も今日はその中の1つに泊まる予定だ

さて、そろそろ夜も更けてきたしホテルに入るか

商談を終えてから近場の観光スポットやら出店やら回っていたらあっという間に暗くなっちまった 今日泊まるホテルは 観光ホテルの中でもかなり豪華な所

食事も産地のものをふんだんに使った料理が出てくるらしい 考えるだけで腹減った

女将

いらっしゃいませ

予約していた者ですが

女将

はい、お調べしますね

女将

女将

お客様、ご予約リストに登録されておりません

おいおいそんなはずないぞ

確かに予約したはずだ

女将

えぇ、調べ直しましたがお名前がありません

そちらの手違いじゃないのか?

女将

ですが今日は満室ですのでご予約が無いと宿泊出来かねます

はぁ〜なんだよ〜
ついてねぇな!

女将

大変申し訳ありません

じゃあ別なとこ探すよ

女将

お気をつけてお帰り下さい

ほんとついてねぇ 予約できてたはずなのに とりあえず直ぐにでも別なホテルとらないとこの調子じゃ野宿だ…

私はすぐに隣のホテルへ行き一部屋借りれるか頼んだ しかし隣もその隣も何件も回ったが どこも満室で予約がなきゃ泊まれない

そりゃそうだよな 今、世の中は夏休み期間だ どこもかしこも人気ホテルは満室 とにかく野宿だけは避けたい この辺にビジネスホテルはないし 観光スポットなだけあって民家もない 何とかしてどこかのホテルに泊まれるようにしなければ.......

ーーーーーーーー あった。

観光ホテルから結構外れの方に ポツンと平屋の小さな旅館があった

ちょっと…いやだいぶ 古い様な感じではある 人気も少ない感じだがこの際贅沢は言ってられない もう飯も諦めて風呂と寝るだけだ 我慢しよう そう思ってその古びた小さな旅館に入った

女将

いらっしゃいませ

あの、1名泊まれるかな?

女将

はい。どうぞ

少しくたびれた和服を着た女将が出迎えてくれた 案の定中はガランとしていて客も少ないのかすぐさま通された 中は外ほど古びてなくまぁまぁって所か 寝泊まりするくらいなら全然アリだ

女将

こちらのお部屋でごさいます

女将

夕飯はお召し上がりになりますか?

夕飯もでるのか!お願いしたい

女将

かしこまりました。
すぐにお部屋にお持ちします
少々お待ちくださいませ

女将は少し暗いというか親切丁寧な感じとは違うが夕飯も出るし ラッキー.......だったな 部屋も綺麗で10畳ほどの和室で テレビもあるし1人には充分過ぎるほど広い とりあえず荷物を置いて夕飯を待つ

コンコン

女将

失礼します

女将

夕飯をお持ちしました

部屋に通されてから30分程で夕飯が出て来た 観光ホテルのホームページに載ってるような豪華な料理とまではいかないが そこそこの懐石料理だ 味も悪くない

女将

お風呂も準備が出来ておりますので
ご自由にお入りください

女将

ごゆっくり.......

女将はそう言って出ていった さて、夕飯をさっさと済ませて風呂に入って寝るか 明日も仕事がある 早いとこ寝てしまおう

風呂から戻ると部屋に布団が敷いてあった

そういやこれなんだ?

ちょうど布団に寝転がると頭側が壁になる その壁に小さな木枠があった ほんとにネズミでも出入りするのか?というくらい小さい木枠でおそらく向こうに通じるであろうその木枠は扉を閉めるかのように釘と板で蓋がしてあった

なんだこりゃ、気持ちわりぃな

気にしないようにして就寝した

ゴンゴン ゴンゴン

んだようるせぇな

.......はーい?

.............

はぁ。なんだよこんな時間にまだ2時半だぞ?

まだ夜中に大きな扉を叩く音で目が覚めて機嫌が悪い 一体なんなんだ?

ふと枕元を見ると頭側にあった木枠を閉めていた板と釘が無くなっていた あれ? よく見ると木枠の中は鏡になっていた

うわ!気持ち悪!なんでこんな所に鏡あんだよ

その鏡をしばらく覗いてると 自分の顔が写っているが その目が少しずつ左を向いた

!?

怖くなって鏡から離れた

ドン!ドン!ドン!

うわ!

今度は窓からデカい叩く音 見てみると窓の外にはうっすら人影があった それは白いモヤのようなハッキリとしないでも確かに人だと分かる影

.......!なんなんだよぉ!
きえろ!きえろ!

私は必死にその影が消えるように叫んだ しかし影はどんどん形がハッキリしていく

女.......だ

その影は髪の長い女の形に変わってハッキリと髪の質や服のシワまでも見えるようになってくる

最後に顔がゆっくりとこちらを向いて 目を合わせようとしてくる

だめだ目を合わせてはいけない!

そう本能的に思うが目がそこから離せない

ゆっくりゆっくりと顔を向け髪の間から目が....... こちらを睨む

ヒヒヒヒャヒャャャャャャハハハハハ!!!

女と目が会った瞬間物凄い大きな笑い声 その声を最後に私は気を失ってしまった

翌朝目が覚めると頭側にあった木枠は無かった そもそも存在していなかったようにそこは壁で穴を開けた跡も何も無かった 女将も普通に出迎えてくれ私はまた仕事に出た

あれは何だったんだろう....... 女は何を伝えたかったんだろう そしてあの木枠と鏡は何だったんだろう

後日その旅館について調べるが、 その土地に旅館は無かった いや、あったがあそこは既に廃墟となっていた 最後に営業していたのは今から40年前

じゃあ私が会ったあの女将は? 食べた夕飯や風呂は....... 泊まった部屋は....... 今思い出しても不思議な体験でした

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