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私は七三五の記憶を 持って生まれた

 

(なんや、この体)

 

(ウチ、また不自由になりよるんか?)

 

ふ、うぅ……

 

(また何もできん)

 

(助けて、兄やん……)

 

にぃい……にぃい

赤子の身は窮屈で

七三五として生きた時を 思い出させた

 

(兄やん)

 

(会いとうと……)

思い出すのは 兄と過ごした日々

 

(一度でええき)

 

(名前で、呼んでみたかったと……)

 

まだ、ぐずっとうか?

 

よしよし。泣かんでよか

 

(なんや!?こん人!)

 

(ウチの体、抱き上げとうか?)

 

(ウチは、神のお付きたい!)

 

(馴れ馴れしか!)

……だけど

久々に触れる人の身は 温かく

 

やっぱり、母親に似ちょうなぁ?

 

えれえ、じょうもんや

 

父さん。今は「かわいい」言うんよ

 

ほうか!色々、覚えていかんとな?

 

こん子のために

 

(かわいいって、ウチんことか?)

 

(ほんま、馴れ馴れしか)

 

(でも、まあ)

 

(別に、よかと……)

二人の存在は

不思議と苦ではなかった

過ぎ行く時の流れは

私を人に帰していった

 

とーちゃ、かーちゃ

 

せやせや

 

ほんま、しっかり者さね

 

(こん二人は……)

 

(ウチに危害を加えるつもりは、ないんや)

三歳になってようやく

私は心から安堵した

 

(ウチは、もう……)

 

(七三五やなか)

今の私は「兄やん」の 妹ではない

 

(こんで、ようやっと呼べる)

 

兎吉

 

会いとうと……

やがて私は 十五になった

 

(少しづつやけど、兎吉のことば忘れよる)

 

(決して忘れんて、誓うたのに……)

だが運命は

私を見離さなかった

 

こんにちは

 

……誰ね?

 

「はじめまして」の方が、良かったかな?

 

君の遠い親戚の……

 

宇山重吾です

 

じゅうご……!

その名に

その響きに

私は兎吉を重ねた

 

なんだか、不思議なんだけど……

 

君とは、初めて会った気がしないな?

 

……私、も……

私たちは互いに惹かれ合い

私は子を身ごもった

「十五夜」の血を引く

「じゅうご」の子を

宇山 珀兎(ハクト)

兎吉様のお導きって、どういう意味?

七面 美羽(ミウ)

こういう……

七面 美羽(ミウ)

意味ですよ!

七面さんは突然 原石くんに抱きついた

原石 六空(ムク)

なっ!?

七面 美羽(ミウ)

兎和子さん!

七面 美羽(ミウ)

ムクくんは、わたしが捕まえています!

七面 美羽(ミウ)

その間に、儀式を!

宇山 珀兎(ハクト)

兎和子って……

宇山 珀兎(ハクト)

母さん!?

プールサイドの向かい側

屋根の下に母はいた

宇山 兎和子(トワコ)

会いたかったとよ?

宇山 兎和子(トワコ)

「兎吉」

どくん

母の声に 心臓が悲鳴をあげる

宇山 珀兎(ハクト)

ぐっ……

宇山 珀兎(ハクト)

母さん。僕は兎吉じゃない……

宇山 珀兎(ハクト)

母さんの息子のハクトだ!

母は薄い笑みを浮かべ

僕の元へと歩み寄る

宇山 兎和子(トワコ)

なぁ。もっと近うで、見せてぇな……

宇山 兎和子(トワコ)

こん日ために、ウチ

宇山 兎和子(トワコ)

頑張ってきたとよ?

宇山 珀兎(ハクト)

なに言ってるの?母さん

宇山 兎和子(トワコ)

兎吉こそ、なに言うとるん。ウチは「母さん」やなか

宇山 兎和子(トワコ)

「七三五」たい

宇山 珀兎(ハクト)

違う。母さんは、兎和子だよ……

原石 六空(ムク)

離れろ、宇山!

原石 六空(ムク)

その人は危険だ!

七面 美羽(ミウ)

お二人の再会を、邪魔しないでください!

宇山 兎和子(トワコ)

兎吉。会いたかったと……

母の指先が 僕の頬をすべる

宇山 珀兎(ハクト)

(こんなの、僕の知ってる母さんじゃない)

ガシャン!

フェンスが 激しく揺れる

珀兎の祖父

ハクトぉ!

宇山 珀兎(ハクト)

おじいちゃん!?

珀兎の祖父

今の兎和子は、もう……

珀兎の祖父

お前の母やなか!

珀兎の祖父

今のヤツは「七三五様」たい!

宇山 珀兎(ハクト)

そんな……そんな事って……

珀兎の祖父

ワシのせいや!

珀兎の祖父

1人目の犠牲が出た時、気づいとれば……!

宇山 珀兎(ハクト)

どうしたらいいの!?

宇山 珀兎(ハクト)

どうしたら母さんを……七三五様を救えるの!?

珀兎の祖父

七三五様は、存在そのものが呪物。この世に居ったら、いかんと!

珀兎の祖父

殺すんや!

珀兎の祖父

兎和子と一緒に!

宇山 珀兎(ハクト)

僕には出来ないよ!

珀兎の祖父

いんや、お前がやるんや!それが──

宇山 兎和子(トワコ)

イヤやぁ!

宇山 兎和子(トワコ)

ウチはずっと、この日のため生きてきたと!

宇山 兎和子(トワコ)

こん日のために、ウチは、ウチは……!

重吾を 殺したんや

宇山 珀兎(ハクト)

父さんを……殺した?

宇山 兎和子(トワコ)

せや。けんど、宇山重吾の体は、兎吉に合わんかった

宇山 珀兎(ハクト)

なっ……!?

宇山 兎和子(トワコ)

なあ、兎吉

宇山 兎和子(トワコ)

新しい“器”ば、用意できとぉよ?

宇山 兎和子(トワコ)

原石 六空

宇山 兎和子(トワコ)

その名に、秘めとお“十五”の数字。兎吉に相応しかぁ……

宇山 兎和子(トワコ)

儀式に必要な血も、たんと貯めとおばい

宇山 兎和子(トワコ)

早よ、うつらんね

兎和子

この、器ん中に……

宇山 珀兎(ハクト)

人をなんだと……!

七三五への激しい怒りが こみ上がった

その時

鐘が 鳴った

兎和子

なんね、この音は!

兎和子

耳ざわりたい!

十五夜 兎吉(トキチ)

七三五

十五夜 兎吉(トキチ)

お前はワシに、聞きおったな?

十五夜 兎吉(トキチ)

「兎」は、何を見て“はねる”んかと

刀を握る手に 力がこもる

宇山 兎和子(トワコ)

なんね……なんね!?

兎、兎

何見て 跳ねる?

十五夜 兎吉(トキチ)

決まっとろう?

十五夜 お付き様

見て

刎ねる

七三五様〜ツキとウサギのひめごと〜

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