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きっと、神様は左利き

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きっと、神様は左利き

1 - きっと、神様は左利き

♥

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2022年05月23日

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私は勉強も運動も人並みに できる訳ではなかった。 なんなら全然できなかった。

それでも毎日が楽しかった。 その"つもり"だった。

だが家庭で異変が 起きてからは違った。 母は毎日私に勉強しろと怒った。 父は運動しろと毎日叱った。

学校でもいじめが当たり前になってしまった_。

いじめられる原因はなんとなく 自分でもわかっていた。

それはいじめられている子を"助けた"のがきっかけだった。

麗葉

ねぇ〜結蘭〜?

麗葉

どうしてあの時あんなことしたのかな〜?

麗葉が言っている"あんなこと"とは、 きっといじめられっ子を助けたことなのだろう。

麗葉

あの時にあんなことしなかったらさ〜

麗葉

今頃結蘭もいじめられなくて済んだんだよ〜?

麗葉

なのに勝手な行動取るから〜

麗葉

これは私のせいじゃないよね?
全部結蘭のせいだよね?ね?

東雲結蘭

う、うん…

麗葉

う〜ん!やっぱそうだよね〜!

麗葉

あっそういえば〜今日提出の課題やってないんだよねー

麗葉

だからさ、ノート頂戴?

東雲結蘭

頂戴、?

麗葉

うん!ちょうだ〜い!

東雲結蘭

貸すじゃなくて…?

麗葉

私字汚いの〜!先生に字を見せるなんて私嫌だ〜!!

麗葉

だからとってもとっても字が綺麗な結蘭にお願いしてるの〜

東雲結蘭

貸すのはいいけど…頂戴は無理かな…

麗葉

は?いいじゃん、別に

麗葉

あんたなんか私の召使いにしかなんないんだから

麗葉

私の言う事だけ聞いとけばいいの

東雲結蘭

は、はい…

麗葉

ほら、早く貸しなさい

東雲結蘭

どうぞ…

かすかに震える手を抑えながらノートを手放す

麗葉

ありがと〜う
感謝するわ〜

ノートを振り回しながら教室に戻る

東雲結蘭

──っ!?

また視線を感じた。 恨むような視線を…。

???

………

何かを訴えているのか、 そこまではわからなかった。

そしてある日私は 1つ上の先輩に告白された。

陸上部で誰よりも足が速いとされている 長月綾人先輩だった。

長月綾人

好きです、付き合ってくれませんか

『こんな私をいつ知ったのか』 と、ふと疑問に思った。

東雲結蘭

どうして私を知ってるんですか…?

東雲結蘭

そんな人気じゃないのに…

長月綾人

んー…簡単に言えば

長月綾人

いじめられてる姿を見たことがあるからです

まさかのいじめ…

東雲結蘭

それなら尚さら…辞めておいた方が…

長月綾人

いいえ

長月綾人

貴方の可愛さに惚れました。
いじめるなんていじめる子が悪いです

東雲結蘭

ありがとうございます、

長月綾人

なので付き合ってくれませんか?

東雲結蘭

…はい…

これが間違いの恋だとは後々気がついた。

東雲結蘭

あの…綾人先輩、もう夜ですよ…?

デートに連れて行かれた日のことだった。 辺りはすっかり暗くなり 前が見えづらいほどだった。

長月綾人

知ってるよ

東雲結蘭

知ってる、じゃなくて…

長月綾人

黙っとけばいいんだよ

告白された時とは違く、 冷たい眼差しを結蘭に向けるようになった。

東雲結蘭

そろそろ帰らないと親が心配します…

長月綾人

君の親なんて知る由もない

東雲結蘭

いやあの…

長月綾人

うっさいなぁ"!?

長月綾人

だからさぁ!?黙っとけって言ってるだろ!?

長月綾人

お前は耳がないのか

東雲結蘭

…ごめんなさい…

長月綾人

夜に騒がられるとこっちが困るんだからな

東雲結蘭

…はい.

長月綾人

そろそろか、

そう告げた綾人は手に持っていたスマホを鳴らす

チリリーチリリー

凛花

ご用?

東雲結蘭

──なっ…!

その眼差しは──

凛花

あー、こんばんは

あの時、恨むような視線を向けていた犯人だった。

長月綾人

この方は俺の妹だよ

東雲結蘭

妹…、?

凛花

貴方のことをずっと眺めてた

凛花

だからお兄ちゃんが貴方がいじめられてるってことを知ってるんだよ

東雲結蘭

そう、なんだ…

あの眼差しは私を眺めるための眼差しだとわかった。

凛花

けどお兄ちゃんが貴方と付き合ったのは好きとかそんか気持ちないからね

凛花

お兄ちゃんは私だけしか見てないから

東雲結蘭

えっ、それはどういう…?

長月綾人

俺が説明するよ

長月綾人

俺は結蘭のことが好きで付き合った訳ではない

長月綾人

"いじめられてる"から付き合ったんだ

東雲結蘭

どういうこと、?

長月綾人

俺のストレス解消の為さ。

凛花

だから暴力とか夜な夜なのデートに誘ったんだよ?

全て愛情表現だと思っていた。 でもそれは違ったみたいだった。

凛花

逆に気がつかないのがすごいよね

長月綾人

確かに!!

長月綾人

これからもよろしくね!
俺の彼女さんっ!

長月綾人

暴力とかするかもだけどそれは愛情表現だからね!

"愛情表現"?

長月綾人

さっそくなんだけどさー
今日親にムカついたんよな

長月綾人

だからとりま1発殴らせてー!

手を上げた瞬間、 その手を何者かが止めに入った。

辞めろ

長月綾人

はぁ?って、おま…

凛花

徠くんじゃん、!

雫月徠。 それは学校でも人気の生徒だった。 名前を名乗らなくても顔を見れば誰だかわかるようなそんな存在だった。

透き通るような声に 優しそうなふっとした顔立ちから 人気になった。

そのようだと知ってる、感じかな?

長月綾人

逆に知らない奴いないだろ!!

長月綾人

なんでお前がこんな所に、

誰がどこに居てもいいじゃん?

長月綾人

まぁそうだけどさ、…

なぁ結蘭、結蘭はこいつとまだ付き合ってたい?

長月綾人

こいつって、!

東雲結蘭

わかんない、

そっか

それなら試しに俺と付き合ってみる?

意味がわからなかった。

東雲結蘭

えっ私!?

だめ?付き合うとか、そんなん

東雲結蘭

…いいですよ…

全てがどうでもよかった。 この時の私に感情なんてものが 存在していたのだろうか。

ありがとう

そう優しく振る舞った彼の姿を 二度と見ることはなかった。

あの後彼は交通事故に遭った。

居眠り運転との接触だった。

"関係"というものは こんな一瞬に壊れるものなのだろうか…

みんなの心に ムズムズが残った。

誰も喋らない。 その中、ボーッとしている自分が居た

東雲結蘭

、、、、、、、

親戚

一瞬だったそうよ〜、

親戚

しかも東雲さんの娘さんと付き合った直後だったらしいわ〜

親戚

あら〜お気の毒にね〜…

一斉に鳴り響く言葉。 どれもいい言葉には聞こえなかった。

親戚

付き合った直後には辛いだろうに〜、

辛い、?

親戚

傷ついてないといいけどね〜

傷つく、?

親戚

苦しかったでしょうに、…

苦しい、?

色々な言葉が頭をよぎった。

長月綾人

結蘭、辛いだろ?

長月綾人

俺と付き合おう?
支え合うのも大事さ。

支え合う、?

東雲結蘭

いえ、大丈夫です

長月綾人

どうしてだ、?

東雲結蘭

もう長くないので

長月綾人

、、、?

私は心に決めていた。

今日空に飛び立つと。

東雲結蘭

………

何もやり残したことはない。 自分にとってはいい経験の人生だった。

東雲結蘭

さようなら──

家族にも望まれなければ 友達にも望まれない。 いじめられて、 付き合った先輩にはDV受けて、 付き合った直後の彼氏は空へ旅立って。

東雲結蘭

今からそっちへ行きます──

神様が右利きなら どれだけ幸せだっただろう。

きっと、神様は左利きだったんだ。

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コメント

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ユーザー

神様は左利きって、ギラギラの☆☆☆と似てる… 曲の☆☆☆から物語思い付くなんてすげぇ…!!\( ´ω` )/ てか名前にうちの子の苗字の漢字入ってる!!!(((関係無 なんか自分の名前の漢字とか、そーゆーの見ると反応しちゃうよね(?) すげぇや…面白かった! 次回作ももし来るならめっちゃ待機する(?

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