私は勉強も運動も人並みに できる訳ではなかった。 なんなら全然できなかった。
それでも毎日が楽しかった。 その"つもり"だった。
だが家庭で異変が 起きてからは違った。 母は毎日私に勉強しろと怒った。 父は運動しろと毎日叱った。
学校でもいじめが当たり前になってしまった_。
いじめられる原因はなんとなく 自分でもわかっていた。
それはいじめられている子を"助けた"のがきっかけだった。
麗葉
麗葉
麗葉が言っている"あんなこと"とは、 きっといじめられっ子を助けたことなのだろう。
麗葉
麗葉
麗葉
麗葉
全部結蘭のせいだよね?ね?
東雲結蘭
麗葉
麗葉
麗葉
東雲結蘭
麗葉
東雲結蘭
麗葉
麗葉
東雲結蘭
麗葉
麗葉
麗葉
東雲結蘭
麗葉
東雲結蘭
かすかに震える手を抑えながらノートを手放す
麗葉
感謝するわ〜
ノートを振り回しながら教室に戻る
東雲結蘭
また視線を感じた。 恨むような視線を…。
???
何かを訴えているのか、 そこまではわからなかった。
そしてある日私は 1つ上の先輩に告白された。
陸上部で誰よりも足が速いとされている 長月綾人先輩だった。
長月綾人
『こんな私をいつ知ったのか』 と、ふと疑問に思った。
東雲結蘭
東雲結蘭
長月綾人
長月綾人
まさかのいじめ…
東雲結蘭
長月綾人
長月綾人
いじめるなんていじめる子が悪いです
東雲結蘭
長月綾人
東雲結蘭
これが間違いの恋だとは後々気がついた。
東雲結蘭
デートに連れて行かれた日のことだった。 辺りはすっかり暗くなり 前が見えづらいほどだった。
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
告白された時とは違く、 冷たい眼差しを結蘭に向けるようになった。
東雲結蘭
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
長月綾人
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
そう告げた綾人は手に持っていたスマホを鳴らす
チリリーチリリー
凛花
東雲結蘭
その眼差しは──
凛花
あの時、恨むような視線を向けていた犯人だった。
長月綾人
東雲結蘭
凛花
凛花
東雲結蘭
あの眼差しは私を眺めるための眼差しだとわかった。
凛花
凛花
東雲結蘭
長月綾人
長月綾人
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
凛花
全て愛情表現だと思っていた。 でもそれは違ったみたいだった。
凛花
長月綾人
長月綾人
俺の彼女さんっ!
長月綾人
"愛情表現"?
長月綾人
今日親にムカついたんよな
長月綾人
手を上げた瞬間、 その手を何者かが止めに入った。
徠
長月綾人
凛花
雫月徠。 それは学校でも人気の生徒だった。 名前を名乗らなくても顔を見れば誰だかわかるようなそんな存在だった。
透き通るような声に 優しそうなふっとした顔立ちから 人気になった。
徠
長月綾人
長月綾人
徠
長月綾人
徠
長月綾人
東雲結蘭
徠
徠
意味がわからなかった。
東雲結蘭
徠
東雲結蘭
全てがどうでもよかった。 この時の私に感情なんてものが 存在していたのだろうか。
徠
そう優しく振る舞った彼の姿を 二度と見ることはなかった。
あの後彼は交通事故に遭った。
居眠り運転との接触だった。
"関係"というものは こんな一瞬に壊れるものなのだろうか…
みんなの心に ムズムズが残った。
誰も喋らない。 その中、ボーッとしている自分が居た
東雲結蘭
親戚
親戚
親戚
一斉に鳴り響く言葉。 どれもいい言葉には聞こえなかった。
親戚
辛い、?
親戚
傷つく、?
親戚
苦しい、?
色々な言葉が頭をよぎった。
長月綾人
長月綾人
支え合うのも大事さ。
支え合う、?
東雲結蘭
長月綾人
東雲結蘭
長月綾人
私は心に決めていた。
今日空に飛び立つと。
東雲結蘭
何もやり残したことはない。 自分にとってはいい経験の人生だった。
東雲結蘭
家族にも望まれなければ 友達にも望まれない。 いじめられて、 付き合った先輩にはDV受けて、 付き合った直後の彼氏は空へ旅立って。
東雲結蘭
神様が右利きなら どれだけ幸せだっただろう。
きっと、神様は左利きだったんだ。