何度も押されるインターホンの音に驚いた静(じん)さんは
窓をほんの少しだけ透かして外の様子を窺った
見知らぬ男女(私と芹沢さん)が門の前に立っている
井川静(じん)
息を殺してその男女が諦め立ち去るのを待ってみたが
その二人はその場にとどまり何かを話している
井川静(じん)
井川静(じん)
そう思った直後
井川かすみ
買い物に出たはずのかすみさんが何故か戻ってきた
井川かすみ
焦りと緊張が静さんを襲う
かすみさんの声が徐々に大きくなっていき
会話の内容もはっきりと聞こえるようになってきた
井川かすみ
井川かすみ
井川静(じん)
見知らぬ男女が自分に会いに来た
いったい何者なのか
警察?弁護士?
学校関係者?
児童相談所の職員?
様々な想像が頭の中を駆け巡る
井川かすみ
必死に応戦するかすみさんを余所に
女性(私)が叫んだ
沢田マリカ
沢田マリカ
訳がわからず混乱する中
わずかにその女性と目が合った気がして
静さんは慌てて窓を閉めた
焦りと緊張
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
とても強い恐怖が静さんを支配しようとしていた
このままではかすみさんの怒りが彼女に向けられてしまう
そうなったら彼女はもう……
恐怖心で我を忘れた静さんは
床に落ちていた紐を手に取り
隣で横たわるあすみさんの首にかけ
井川静(じん)
井川静(じん)
少しずつ力を入れてその紐を引いていく
苦しさから徐々に歪んでいく彼女の顔をじっと見つめながら
井川静(じん)
そんな言葉を呟いた……
その直後
三村優真
三村優真
玄関の方から知らない男(優真さん)の声が聞こえた
続けてさっきの女性の声が聞こえる
沢田マリカ
階段をかけ上がる音が聞こえ
静さんは彼女の首にかけていた紐を外した
沢田マリカ
私の声にさらに焦った静さんは
部屋のドアを塞ごうと
近くにあった棚を移動させる
だがその音で直ぐに気づかれてしまい
突然の来訪者達は直ぐ目の前まで迫っていた
井川静(じん)
井川静(じん)
静さんは必死だった
自分の犯した罪が露見することなど気にもせず
大切な妹を守りたい一心で動いていた
扉の向こうからは来訪者達の声が聞こえる
芹沢大和
三村優真
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
心の中で何度も思った
こんなどこの誰かもわからない来訪者達のせいで
大切な妹を死なせたくはない
その時
沢田マリカ
沢田マリカ
女性の声に静さんは動きを止めた
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