テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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ミステリと恋は交われない

第5話 - 温泉旅館の水死体【後編】

413

2024年07月08日

#司類

#冬彰

#ミステリー

#ホラー

#推理

あかまる🍓🐾໊

旅館の一室

モブ子(大学生)

ぜ、全部私が悪いんです…

類(探偵)

…詳しくお聞きしても？

モブ子(大学生)

わた…私、人と話すのが苦手で、昔から友達も出来なかったんですけど…モブ美ちゃんが、話しかけてくれて…

モブ子(大学生)

…でも、あのグループでも私は空気みたいな感じで、

モブ子(大学生)

友達のノリってやつで、出来ないことを馬鹿にされたり、笑われたり、無視されたり、突き飛ばされたり…

モブ子(大学生)

……っ

類(探偵)

…なるほど。

司(警部)

確認ですが、本当に貴女がモブ美さんを殺したんですか？

モブ子(大学生)

………はい、

彰人(助手)

…

類(探偵)

では、どうやって殺したかを伺っていいですか？

類(探偵)

ガムテープやロープは何故使用したのかもぜひお聞きしたいですね。

モブ子(大学生)

…ガムテープとロープは、予め用意してありました。

モブ子(大学生)

モブ美ちゃんに抵抗された時、勝てる自信が無かったので、確実に殺すための保険として使用しました、

モブ子(大学生)

みんなが寝たあと、モブ美ちゃんの口にガムテープを貼って、手足を縛り付けて、浴室まで運びました。

モブ子(大学生)

それで、水面にモブ美ちゃんの顔を押さえつけて……その後、手足のロープと口のガムテープを剥がして捨てました。

モブ子(大学生)

朝は…モブ恵ちゃんがお風呂に入るって分かってたから、第一発見者になってもらって、罪を被せようと…

類(探偵)

…

司(警部)

…お話ありがとうございます。

冬弥(刑事)

あの、いつ浴槽に水を溜めたんですか？

モブ子(大学生)

えっ

モブ子(大学生)

っと、それは、モブ恵ちゃんがお風呂好きで、温泉入った後にお部屋のお風呂にも入ってて、たまたま栓を抜き忘れてて…

彰人(助手)

……

彰人(助手)

あの、そんなにアイツらが怖いんすか？

モブ子(大学生)

へ、ぇ？

彰人(助手)

俺、頭良くないんで、事件については全く分かんねぇっす。

彰人(助手)

けど、アンタが嘘ついてることくらい分かります。

モブ子(大学生)

そ、そんな、えっと、嘘なんか…

類(探偵)

彰人くん、なんで嘘だと思うんだい？

彰人(助手)

見りゃ分かりますよ。

彰人(助手)

目泳いでるし、さっきから瞬きの回数が多い。それに、さっきから早口だし。

彰人(助手)

あとは経験上の勘です。

司(警部)

ふむ、心理学か。

類(探偵)

…だそうですが、どうなんですか？

モブ子(大学生)

……

類(探偵)

嘘をついていたとしても、誰も貴方を責めませんよ。

モブ子(大学生)

…

モブ子(大学生)

……ぃ、いいえ…私が、やりました、

冬弥(刑事)

…

類(探偵)

…そうですか。

司(警部)

…一旦、この話は終わりにしましょう。モブ子さん、ありがとうございました。

司(警部)

部屋まで送りましょうか？

モブ子(大学生)

いっ、いえ、自分で…帰れます、

司(警部)

さて、どうしたものか、

彰人(助手)

絶対あの人じゃないですって。可能性的には、あの人除いた残りの2人ですよ。

冬弥(刑事)

モブ子さんに自白しろと指示した可能性はあるな。

類(探偵)

……

司(警部)

しかし、ああいう人間は中々口を割ってくれないぞ…

彰人(助手)

ほんと、何でなんすかね。

冬弥(刑事)

…どうしても、逆らった時を考えてしまうからじゃないですかね。

冬弥(刑事)

傍から見れば、誰かに言えば済むのにって事でも、その人にされた事の記憶が消えなくて、それに支配されて、結局誰にも言えない、

冬弥(刑事)

警察や他の人の方がその人より強いと言うことでさえ、信じられなくなる…

彰人(助手)

…なんか急に饒舌だな。

冬弥(刑事)

あっ、すまない、つい…

彰人(助手)

いいや、言ってることはわかる。

司(警部)

やはり指示されているのだろうか…

司(警部)

探偵はどうだ？

類(探偵)

…ん？なんの話？

彰人(助手)

え、嘘だろ聞いてなかったんすか？！

類(探偵)

ごめんね。考え事をしてたもので。

司(警部)

はぁ…全く、今度は何をだ？

類(探偵)

何故、遺体は濡れていたのだろうか。

彰人(助手)

え？溺死なら濡れてんの普通じゃないですか？

類(探偵)

被害者は全身ずぶ濡れだった。もし抵抗したとして、手足を縛られた状態で足のつま先まで濡れるかな？

司(警部)

……たしかに、

冬弥(刑事)

そう言われてみれば…そうですね。

司(警部)

…その場ですぐ殺されたのではない？

類(探偵)

！

類(探偵)

そう！その可能性さ！

彰人(助手)

すんません、意味分かんねぇっす。

司(警部)

だから、俺たちはこうやって、水面に顔を押さえつけられて溺死させられたと考えていただろう？

彰人(助手)

はい。

司(警部)

殺害方法が、別だった可能性もある。

彰人(助手)

…別って？

司(警部)

さぁ？

類(探偵)

殺されるまでに、時間があったとしたら…

類(探偵)

1番怪しいのは、やっぱり女将さんだ。

司(警部)

む、あの人が？何故？

類(探偵)

監視カメラを見せてもらった。女将さんが21時にモブ美さん達の部屋へ行き、20分ほど出てこなかったんだ。

類(探偵)

けど、女将さんはテレビを直していたと言い張り、他の3人もそれを肯定していた…

類(探偵)

あの時はアリバイが成立していると思っていたけど…

類(探偵)

死亡までに時間があったのなら、女将さんもアリバイは無くなる可能性がある。

冬弥(刑事)

しかし…ここまで計画された殺人で、動悸は何なんですかね…？

彰人(助手)

たしかに。あの大学生の出身地とここはだいぶ離れてるし、年齢だって女将さんのが上だし…初対面ぽくないですか？

類(探偵)

それが分からないんだよねぇ…

司(警部)

うむ…

類(探偵)

…ねぇ、1回さ、何分で手足縛って口にガムテープ貼れるかやってみていい？

司(警部)

俺にやるのか？！

類(探偵)

え、警部だろう？

司(警部)

ん？理由になっとらんぞ？？

類(探偵)

だって、彰人くんや青柳くんにやらせるのはちょっと…

彰人(助手)

えー、俺は全然いいっすよ。

冬弥(刑事)

俺も、別に…

類(探偵)

おや、頼もしいねぇ

司(警部)

いや、しかし後輩たちにやらせるのは…

類(探偵)

なら、君が僕にやるかい？

司(警部)

えっ？

司(警部)

…………

司(警部)

いや、だ、ダメだ！！！

類(探偵)

ちょっと、なに想像したのさ。

司(警部)

分かった！俺が被害者役やるから！

類(探偵)

はいはい、最初からそう言ってよね。

類(探偵)

ガムテープはすぐ貼れるだろうし、とりあえずロープだけにするね。

類(探偵)

彰人くん、タイム測ってて。

彰人(助手)

了解っす。

類(探偵)

はい、出来た。

彰人(助手)

……3分23秒。

類(探偵)

ふむ…初めてならこんなものかな。

類(探偵)

どうだい？

司(警部)

いや、どうとは？？

類(探偵)

その状態で、どこまで抵抗できそう？

司(警部)

む…ちょっと待ってくれ。

司(警部)

えっと……ふむ、ほぼ無理だな。

類(探偵)

その状態で、頭を水面に押し付けられたまま全身が濡れるまで抵抗する方法は？

司(警部)

…思いつかん。

類(探偵)

だよねぇ

冬弥(刑事)

となると…被害者は、どうやって殺害されたんでしょうか？

類(探偵)

うーん……

司(警部)

おい、先に解いてくれ

『モブ恵ちゃんがお風呂好きで、温泉入った後にお部屋のお風呂にも入ってて、たまたま栓を抜き忘れてて…』

類(探偵)

…あれは本当だったのだろうか？

司(警部)

ん？どれだ？

司(警部)

というか無視するな

類(探偵)

モブ子さんにいつ浴槽に水を張ったのか質問した時のことさ。

彰人(助手)

あぁ、なんかモブ恵さんがどうとか…

冬弥(刑事)

たしかに、嘘の可能性もありますね。

類(探偵)

もし…水が張ってない状態だったなら？

司(警部)

む…しかし、水をあそこまで溜めるのには時間が…

司(警部)

ﾊｯ

類(探偵)

…たしかに、それならロープとガムテープの意味も分かる。

司(警部)

そうか……そうだな、

彰人(助手)

え？どういう事ですか？

類(探偵)

だから…浴槽に水を溜めてから被害者を浴室に運んで殺したんじゃなくて、浴槽に溜めながら殺した可能性もある。

類(探偵)

まず、全員が寝静まった時に被害者の手足をロープで縛り、口にガムテープを貼る。

類(探偵)

そして、浴室へ運び、浴槽に水を出したまま放置。手足を縛って口を塞いだのは、もし起きた時に抵抗できないようにするため。

彰人(助手)

けど、水を溜めるのにもまぁまぁ音出ません？水が出る蛇口って位置高いし、少しづつ溜めたにしても音出ると思うんですけど、

冬弥(刑事)

…シャワーなら、浴槽の底に置いて、少しづつ水を出せば、ほとんど音が鳴らない。

司(警部)

む、だが、シャワーはしっかり壁に掛かってたぞ。

類(探偵)

それに、いつ遺体を発見時の状態にしたのだろう…

類(探偵)

もし、仮にだよ、女将さんが犯人として…犯行までは辻褄が合うんだけど、その後遺体をどうやって動かしたのかが分からない。

類(探偵)

監視カメラを見たけど、女将さんは21時にお茶を持って行って以降、モブ美さんたちの部屋へは行ってない。

類(探偵)

どうやって、遺体をあの状態にしたのか……

冬弥(刑事)

…窓、とか、

司(警部)

窓？

冬弥(刑事)

遺体発見時…部屋の窓の鍵が開いていました。

彰人(助手)

窓から侵入したってことか？

類(探偵)

けど、この外から侵入って出来るのかな？一応、ここ5階だし…

冬弥(刑事)

ここの外…植木で隠れてますが、あそこに通路のようなものがあります。恐らく、火事や災害があった時の避難経路でしょう。

司(警部)

…本当だ、

彰人(助手)

うわ、マジで隠れててほぼ見えねー…よく気付いたな。

司(警部)

冬弥は人一倍観察眼が鋭いからな。

類(探偵)

…ここまで旅館を熟知していて計画できるのは、やはり彼女しかいないね。

司(警部)

……ああ。

類(探偵)

最後の仕上げだよ、警部さん。

類(探偵)

とりあえず、全員部屋に集めようか。

司(警部)

…分かったが誰か縄解いてくれ

類(探偵)

ふふ、嫌だよ。

司(警部)

「嫌だよ」？！？！

冬弥(刑事)

あっ、け、警部。解きますよ…

司(警部)

冬弥…っ！！✨️

水仙の間

モブ恵(大学生)

犯人が分かったって…やっぱりモブ子だったんですか？

モブ奈(大学生)

自白してたんだから当然モブ子ですよね？本人が殺したって言ってるんだし。

モブ子(大学生)

…

モブ彦(社会人)

なんでもいいけど、早くしてくれ…

類(探偵)

まぁまぁ、落ち着いて。今からゆっくり説明しますから。

類(探偵)

警部さんがね。

司(警部)

俺か？！

司(警部)

まぁいいんだが…

司(警部)

…えっと、まず遺体発見時の状態から、俺たちは「被害者は水面に頭を押さえつけられて溺死した」と考えていました。

司(警部)

でも、遺体は必要以上に濡れていたんです。

司(警部)

いくら抵抗したとして…手足が縛られた状態で、足の先まで濡れるのは不自然です。

モブ奈(大学生)

えっ、てことは違う方法で殺されたってことですか？

類(探偵)

はい。そう考えるのが自然です。

司(警部)

犯人の手口は恐らくこうです。

司(警部)

モブ美さん達の部屋に侵入し、全員が寝た時を狙って、もしくは眠らせてからモブ美さんの手足を縛り、口を塞いだ。

司(警部)

その後に浴室へ運び、浴槽へモブ美さんを入れ、シャワーで少しづつ水を溜めて殺害した。

モブ恵(大学生)

あの、なんでシャワーで水を溜める必要があるんですか？

司(警部)

恐らく理由は2つあって、1つ目はシャワーなら音がほとんど鳴らないこと。

司(警部)

もう1つは、死亡までに時間を使い、アリバイを作ることだと思います。

類(探偵)

半分自動殺害みたいなものですよ。これなら、自分は別の部屋にいる間に被害者を殺害できますから。

モブ子(大学生)

…でも、それだと発見時の状態とは合わないんじゃ、、

司(警部)

はい。恐らく犯人は被害者が死亡した後にもう一度浴室へ侵入し、遺体を移動させたんでしょう。

類(探偵)

防犯カメラには、午後21時以降誰もモブ美さんたちの部屋へ入ってはいません。部屋の扉からは、ですが。

モブ奈(大学生)

それって…他の場所から侵入したってこと？

司(警部)

遺体発見時、モブ美さん方の部屋の窓の鍵は開いていました。そして、部屋の外には恐らく避難経路であろう通路があります。

司(警部)

犯人は予め部屋の窓の鍵を開けておき、その通路を使って侵入したんでしょう。

モブ恵(大学生)

あんな所に通路なんてあったっけ？

類(探偵)

ほとんど植木で隠れているので、普通は気付きませんよ。

司(警部)

だから…それに気づけるのは相当鋭い観察眼を持っているか、この旅館を熟知しているか。

司(警部)

…ですよね、女将さん。

モブ子(大学生)

？！

穂波(女将)

…

類(探偵)

…貴方のアリバイは、最初は完璧で、完全に容疑者からは外れていました。

類(探偵)

アリバイもあるし、何より動悸がない。これだけ計画された殺人に、動悸なしの犯行と言うのはほぼ無いでしょう。

穂波(女将)

…ふふ、そうですね。

穂波(女将)

動悸のない殺人なんてない…当然ですよね。

類(探偵)

…モブ美さんを殺したのは、貴方ですね？

穂波(女将)

ふふ、ええ。そうですね。ここまでバレてしまったなら、仕方ありません。

穂波(女将)

彼女は、私が殺しました。

ザワッ

モブ恵(大学生)

えっ？！な、なんで…？？！

モブ奈(大学生)

も、モブ美と知り合いだったんですか？！

穂波(女将)

ふふ、いいえ。お会いしたのは昨日が初めてです。

司(警部)

なら、何故こんな計画的な殺人を？

穂波(女将)

…ふふ、黙秘権を行使します。

類(探偵)

…罪は認めるんですね？

穂波(女将)

えぇ、私がやったことに間違いはありません。

類(探偵)

一応、どうやって殺害したのか聞いても？

穂波(女将)

さっき警部さんが言ったことは、ほとんど正解ですよ。

穂波(女将)

21時に睡眠薬入りのお茶を持っていって、眠った隙に縛って、浴槽に入れて、水を溜めて…

穂波(女将)

大体3時頃にもう一度通路を使って部屋に入り、遺体を移動させました。

穂波(女将)

けれど、動悸に関しては死んでも話すつもりはありません。

司(警部)

なっ…

類(探偵)

……

冬弥(刑事)

警部、とりあえず近くの警察署に連絡しました。すぐ車が来ると思います。

司(警部)

あ、ああ。ありがとう。

モブ恵(大学生)

なっ、なんで、なんでモブ美を殺したんですか？！あの子が何をしたって言うんですか？！

類(探偵)

モブ恵さん、落ち着いて…

モブ奈(大学生)

落ち着いていられませんっ！！こんな、こんな犯罪者が…っ

彰人(助手)

犯罪と言えば、お二人も該当するんじゃないですかね？

モブ恵(大学生)

えっ？！わ、私たちが？！なんで？！

類(探偵)

モブ子さんの事ですよ。

類(探偵)

貴方達はモブ子さんが犯人だと騒ぎ立て、聞いてもいない事まで話し始めましたが…

類(探偵)

刑法第172条、虚偽告訴罪に該当する可能性があります。

類(探偵)

人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、捜査機関や懲戒権者などに対して虚偽の申告をすることで問われる罪です。

モブ奈(大学生)

け、刑法？！

モブ恵(大学生)

いや、でも私たち虚偽の申告なんかしてないし！

モブ恵(大学生)

あっ、やってないのに嘘の自白をしたモブ子が該当するんじゃないですか？！

モブ子(大学生)

え、えっ？！

冬弥(刑事)

仮にですが…もし、貴方たちお二人がモブ子さんに嘘の自白をするように言ったのであれば、刑法第222条の脅迫罪、もしくは第223条の強要罪に該当する可能性があります。

類(探偵)

ちなみに、それの法定刑はなんだっけ？

司(警部)

脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金、強要罪は3年以下の懲役だな。

モブ恵(大学生)

えっ、え？！

モブ奈(大学生)

わ、私たち脅迫も強要もしてないよ！ね？

モブ恵(大学生)

そ、そうです！モブ子が勝手に…！！

モブ子(大学生)

…

モブ奈(大学生)

だよね！モブ子！私たち、そんな事言ってないもんね？

モブ子(大学生)

…

モブ子(大学生)

わた…し、何も、やってない、です、

彰人(助手)

！

モブ子(大学生)

モブ奈ちゃんとモブ恵ちゃんが、「どうせアンタがやったんでしょ」「嘘つくなんて最低」「やったなら早く自白してきなよ」「しないなら私たちが言いに行くけど？」……って、

モブ奈(大学生)

なっ！！

モブ恵(大学生)

ひ、酷い！モブ子！！私たちそんな事言ってないのに…！

司(警部)

そろそろ終わりにしませんか。

モブ奈(大学生)

だっ、だって…！！

司(警部)

無実の人に容疑を仕向けるような嘘をつくと、先程も言ったように刑法第172条の「虚偽告訴罪」に問われる可能性がありますよ。

モブ恵(大学生)

で、でも…っ！

モブ子(大学生)

あっ、あの！これって、私が訴えなければ、モブ恵ちゃん達は罪に問われないんですよね？

類(探偵)

ええ。脅迫罪や強要罪は、被害者からの申告がなければ捜査すらできませんから。

モブ子(大学生)

なら…私はモブ恵ちゃん達を訴えたりしません。けど、これだけは…

モブ子(大学生)

私は…モブ美ちゃんを殺してなんかいません。

モブ子(大学生)

モブ美ちゃんは…こんな私にも話しかけてくれた。遊びに誘ってくれた、わたしの話を、ちゃんと聞いてくれた…

モブ子(大学生)

私…モブ美ちゃんが大好きなんです。だから…っ

類(探偵)

…分かりました。

モブ子(大学生)

女将さん、

穂波(女将)

はい。

モブ子(大学生)

モブ美ちゃんが…貴方に、何をしたのか分かりませんが…私は、モブ美ちゃんを殺したこと、絶対に許しません。

穂波(女将)

…ええ、構いません。許してもらおうとは思っていませんから。

警察

すみません、警察です。今朝の殺人事件の犯人が分かったと…

穂波(女将)

あぁ、はい。私です。

警察

なっ……望月さん？！

警察

何故……

穂波(女将)

ふふ。

警察

…とりあえず、警部さんも一緒に来ていただいていいですか？

司(警部)

はい、もちろんです。

旅館の一室

冬弥(刑事)

警部、あと30分ほどで帰って来れるそうです。

類(探偵)

べ、別に待ってあげてるわけじゃないけど。

彰人(助手)

はいはい。俺が冬弥と帰りたいって言ったからですよね。

類(探偵)

そうそう…ん？冬弥？？

類(探偵)

え、いつの間にそんな仲になったの？

冬弥(刑事)

この旅行中に色々お話して…

彰人(助手)

なんか気合ったんだよな。

類(探偵)

えぇ、なんか意外かも…

類(探偵)

見た感じ2人とも正反対っぽいし、

冬弥(刑事)

まぁ…たしかに、それはそうです。

彰人(助手)

ま、凸と凹だからハマるってのもあるんじゃないすかね。

類(探偵)

あ〜、なるほどねぇ〜…

類(探偵)

…ん？

冬弥(刑事)

？

類(探偵)

あれ、え、まって

彰人(助手)

どうしたんすか？

類(探偵)

…………ない、

冬弥(刑事)

ない？

類(探偵)

ピアスが…無くなってるんだ、

彰人(助手)

あ、そういえば…

類(探偵)

ど、ど、どうしよう…どこで落としちゃったんだろ、最悪…

冬弥(刑事)

とりあえず、部屋探してみますね。どんなピアスですか？

類(探偵)

シンプルな星型のピアス…色はシルバーなんだけど、

彰人(助手)

んー、念の為浴室も見てきますね。

類(探偵)

すまない、2人ともありがとう。

彰人(助手)

…無い、ですね。

冬弥(刑事)

すみません、見当たりませんでした…

類(探偵)

こっちもだよ…

類(探偵)

…

類(探偵)

君たちは、警部が帰ってきたら一緒に帰るといい。僕はもう少し探すから、

彰人(助手)

え？！

冬弥(刑事)

そんなに…大切な物なんですか？

類(探偵)

うん。とっても…とっても大事な物なんだ。

類(探偵)

僕の…本当に、大切な物でね、

彰人(助手)

…んじゃ、ちょっと外の廊下の方も探してきますね。

冬弥(刑事)

俺は水仙の間を探してみます。

類(探偵)

え？！いや、いいよ！そんな、悪いし…

彰人(助手)

手分けした方が早く見つかるでしょ。

冬弥(刑事)

そうですよ。まだ時間もありますし、一緒に探します。

類(探偵)

2人とも…ごめんね、ありがとう。

冬弥(刑事)

あっ、神代さん！これじゃないですか？

類(探偵)

え、本当？！

類(探偵)

あっ、それだよ！そのピアスだ！

彰人(助手)

見つかりました？！

類(探偵)

うん！良かった〜……

類(探偵)

2人とも、本当にありがとう。本当に、何てお礼を言ったらいいか…

冬弥(刑事)

いえ、そんな、お礼なんて結構です。

彰人(助手)

そっすよ。見付かって良かったです。

類(探偵)

うん、本当に…良かった……

類(探偵)

…部屋に戻ろうか。本当にありがとうね。

ミステリと恋は交われない

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わっ！！！！やっぱ犯人当てんの難しいな………😰😰 星型のピアス………ねえ…😆😆😆😆😆😆😆😆

星型のピアス……だと！？！？

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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