コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
谷島
谷島
その日
俺は昔自分が住んでいたアパートの近くを通りかかった
仕事で近くまで来ていた俺は
あのアパートがまだあるのか気になって
なんとなく通りかかってみたのである
いや、良い思い出がないどころか
思い出したくない記憶があるのだ
【十年前】
あれは俺がまだ社内でも若手と呼ばれていたような
そんな頃の話だ
仕事の付き合いの飲み会いに参加した俺は
ベロベロになるまで飲んでいた
そして、駅から自分のアパートに向かう途中
急に便意を催し
さびれた公園の公衆便所に入った
谷島
谷島
谷島
谷島
小便器に立った俺の目の前に
こんな落書きが書かれてあった
「殺してもいい人、電話番号を教えてください」
谷島
谷島
谷島
谷島
深酔いしていた俺は
Yシャツの胸ポケットからペンを取り出して
その落書きに返事をする形で
自分の電話番号を書いた
特に深いことは考えておらず
バカなガキが電話をしてきたら
ちょっと説教してやろう
そんなつもりだった
【谷島のアパート】
谷島
谷島
谷島
谷島
その時
俺の携帯が震えた
谷島
谷島
谷島
谷島
谷島
声
谷島
谷島
谷島
声
谷島
谷島
谷島
谷島
声
声
谷島
谷島
谷島
谷島
谷島
声
声
声
声
声
谷島
谷島
谷島
声
それで電話は切れた
そして酔っ払っていた俺は
そのままベッドに倒れ込むようにして
眠りに落ちた
それからしばらくして
俺はドアを思いっ切りノックする音で目が覚めた
ドアは「ドンドンドンドン!」と
ものすごい音を立てながら叩かれていた
谷島
谷島
谷島
谷島
時計を見ると、夜中の3時過ぎだった
谷島
谷島
谷島
谷島
谷島
谷島
ようやく事態を把握した俺は軽くパニックになった
まさか本当に来るなんて思っていなかったのだ
なおも扉は凄まじい音を立てて叩かれている
俺はベッドを降りると
そっとドアに近寄った
そして覗き穴から外を覗き込もうと思った瞬間
ノックの音がピタリと止んだ
谷島
俺は音を立てないように慎重にドアへ近づいて
覗き穴から外を見た
しかしそこには誰もいなかった
谷島
谷島
俺がそう思った瞬間
部屋に置いてある携帯が
ブーーーーーっという音を立てて
震えだした