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8 - べらんだ 8話

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2022年01月21日

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私は少年と共に私の家に戻り、急いでドアの鍵を掛けた。

これで蘭たちが勝手に入ってくることはないだろう。

少年

お姉ちゃん、昔はあんなんじゃなかったんです

少年は重苦しい口調でそう言った。

少年

前まではもっと

少年

優しくて、明るくて

少年

僕とも仲よくしてくれたんです

夏海

ただいまー!

少年

おかえり

夏海

ねえ聞いてよ

夏海

駅の近くの高架下、分かる?

少年

あーうん

夏海

あそこに猫が捨てられててさ

夏海

可哀想だから、連れて帰ってきちゃった!

少年

え、マジで?

夏海

マジだよ、ほら見て!

にゃー

少年

ほんとだ…

夏海

かわいいでしょ?

少年

かわいいけど、お母さんに怒られるよ

少年

このマンション、ペット禁止だし…

夏海

いいのいいの

夏海

お母さんは仕事で忙しいし

夏海

飼っててもどうせバレないよ

少年

そうかな…

夏海

それに海人も、前から猫欲しいって言ってたじゃん

少年

それはそうだけど…

夏海

こんなにかわいい子、放ってなんておけないよ

夏海

海人も一緒にお世話してくれるでしょ?

少年

えー…

少年

うん、まあいいよ

夏海

やったー!

夏海

ねえ、この子の名前、『うみ』なんてどうかな

少年

うみ?

夏海

そう

夏海

私も海人も名前に海が入ってるし

夏海

ぴったりな名前じゃない?

少年

うん、いいと思う

夏海

よし!

夏海

じゃあ早速えさ買ってくるね!

少年

いってらっしゃい

少年

それから僕たちは協力して、うみをベランダで飼ってたんです

少年

特にお姉ちゃんは

少年

うみをすごく可愛がってました

ひまり

へー、あの夏海が?

ひまり

意外だなー

少年

…でも、ある日を境に

少年

お姉ちゃんは変わってしまいました

ちょっと夏海、海人!

どういうことなのこれは!

にゃーん

母はうみを抱いて部屋に入ってきた。

夏海

え…

夏海

あ、あの、これは…

少年

あの!

少年

か、勝手に入ってきただけじゃない?

少年

猫は遊ぶのが好きだし…

夏海

そ、そうだよ!

夏海

私たちこんな猫知らないよ

ふーん

じゃあこれはなにかしら

そう言って母が掲げたのは

うみの名前が書かれた猫の餌皿だった。

夏海

…!

勝手に入ってきた猫に専用の餌皿があるなんて

不思議なこともあるものねえ

それにここは8階

どうやって猫がベランダに上がってくるのかしら?

夏海

夏海

ご、ごめんなさい!

夏海

3ヶ月くらい前、高架下に猫が捨てられてるのを見つけて

夏海

どうしてもほっとけなかったから…!

はあ?!

ふざけないでよ!

パシンっ

夏海

うっ…

夏海

ご、ごめんなさい

少年

少年

ぼ、僕が悪かったんです

少年

お姉ちゃんがうみを拾ってきた時に、僕が育てたいって言ったから…

あんたもなの?!

はぁ…

ほんと、姉弟揃って常識知らずね

つける薬がないわ

夏海

でも、うみは捨てないで、お願い

だめよ

マンションのルールを知らないの?

このマンションはペット禁止

それにこんな薄汚い猫を育てられるようなお金、うちにはありません

夏海

お願い!

夏海

小屋は段ボールで作ればいいし

夏海

餌だって給食とかでまかなえるから…

馬鹿言わないで、給食費だって私が出してるの

いいから捨ててきなさい

今すぐ

夏海

そんな…!

にゃーーーお…

夏海

うみ…

捨てないんなら私が捨ててくるだけだけど?

夏海

ご、ごめんなさい

夏海

私が捨てるからっ

そう

じゃあ私は仕事に行ってくるけど

私が帰るまでにまだその猫がいたら

分かってるわよね?

夏海

…はい

ひまり

それで捨てちゃったの?

少年

いえ

少年

そんなことで屈するようなお姉ちゃんじゃなかったので

少年

ベッドの下に隠そうとしたんですけど

少年

当然すぐばれました

ひまり

だろうね

ひまり

それで、どうなったの?

少年

…お母さんが、猫や犬を殺処分する施設に送りました

夏海

海人のばか!

夏海

ばかばかばかばかばかばかばかっ!

少年

ご、ごめん

夏海

ごめんで済むと思ってるの?!

夏海

うみは今頃苦しみながら

夏海

毒ガスの部屋で死んでるんだよ?!

少年

……

夏海

ああああああああああっ!

夏海

全部あんたのせい!

夏海

全部ぜんぶぜーんぶ

夏海

うみが見つかったのだって

夏海

あんたが餌皿を見つかりやすいところに置いといたからでしょ!

夏海

あんたがうみを近所の公園にでも放してあげてれば

夏海

今でもうみは生きてたかもしれないのに!

少年

…ごめん

少年

ごめんなさい…

夏海

謝ったところで今更なんになるの?!

夏海

あんたのせいでっ…

夏海

あんたが…あんたが…

夏海

うわああああああああん!

ひまり

はあ?なにそれ

ひまり

夏海が悪いんじゃん

少年

そうなんですけど、でも

少年

お姉ちゃんもすごく傷ついたんだと思います

少年

僕が罪を被ってお姉ちゃんの気が少しでも楽になるんなら

少年

そのほうがいいと思って…

ひまり

ひまり

きみは優しすぎるなー

少年

そんなことありません

少年

お姉ちゃんの機嫌がもっと悪くなるのが怖くて…

ひまり

あー

ひまり

確かに、否定したら余計怒り狂いそうな感じ

少年

だから、僕がちょっと我慢すればいいと思って耐えてたんですけど

少年

お姉ちゃんの態度はだんだん、エスカレートしていって…

夏海

蘭、優奈、美月、こっち!

美月

うわー、片付いてる

あれ、弟くん?

夏海

あーうん

美月

小学生くらい?

美月

まだまだ背低いね〜!

夏海

そうそう

夏海

こいつ、最近超ウザくてさ〜

優奈

えーマジ?

優奈

名前は?

少年

海人です

美月

年齢は?

少年

11歳です

へー、5年生?

夏海

んーん6年

夏海

こいつ、ホントにサイテーなの

夏海

私が昔飼ってた猫も

夏海

こいつの策略にはまって、殺処分になって…

少年

美月

えーウソ?!

夏海

ホントだよ!

夏海

あの時はすごくつらくて

夏海

ご飯も喉を通らなくて……

えー、夏海可哀想すぎ

夏海

今もそのこと思い出すと、涙が出てくるの…

美月

夏海、泣かないで

優奈

この子のせいで猫ちゃんは亡くなっちゃったし、夏海も元気なくなっちゃったんだね

夏海

そう

夏海

だから私

夏海

こいつのこと、一生許さない

少年

そんなの当然の結果だよ

そうだ、うちらも夏海の気分晴らすの手伝ってあげようか?

夏海

どういう意味?

この子、なにしてもいいの?

夏海

うん、いいけど…

じゃあ…

そう言うと、蘭はいきなり少年を蹴った。

少年

えっ…?!

少年

や、やめてください!

こういうこともしていいってこと?

夏海

夏海

そうだね

夏海

そうだよ

夏海

どうして今まで気づかなかったんだろう

夏海

殴ったりすれば、ちょっとは気持ちも晴れるよね

少年

お姉ちゃん…?

少年

ねえ…やめてよ…冗談でしょ?

必死で許しを乞う少年を無視して、夏海は平然と少年を殴る。

少年

うっ…!

夏海、結構容赦なく行くね

夏海

あははっ!

夏海

みんなも遠慮なく殴っていいよ

夏海

こんな奴サンドバッグ以外に使い道ないんだからっ!

少年

うう…ううっ

少年

いやあああっ

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