美空
……!
奏多
おいっ!
隆二郎
こ、浩介!
奏多さんが手に持っていたランプの火を
そこら辺の棒に移して虫を払った
虫が払われた浩介さんの体は
傷だらけでボロボロだった
隆二郎
嘘だろ……
奏多
なんだよこれ、
奏多
誰かに襲われたような……
確かに手が僅かに赤い
どうやら抵抗したがそれも虚しく………
隆二郎
もう……浩介は……
奏多
クソっ……!
どんどん仲間を失っていく
奏多さんの顔は絶望に満ちていた
奏多
それでも…
隆二郎
行くしか、ないよな……
結花
桜のためにも………
どうにかそれぞれ自分自身を励まし
中心部までやってきた
それは神殿のようで
奥に向かって高くなっていた
天井も一際高く
石造りの壁には
絵具が剥がれた絵画がそこら中に飾ってあった
結花
入口って、どこ………?
隆二郎
多分あの上だな。
そう階段を登ると
神殿にないような池があった
奏多
これか?
奏多
不自然な入口だな……
どこからか水が滴り
青緑の不気味な色をした池が波打つ
美空
これ、どう開けるの……
池は1.5メートルくらいの深さで
どう入ればいいのか分からない
奏多
でも、多分これを使うよな?
今まで使わなかった
地獄で手に入れた火で
地獄の地面に埋もれた石を燃やした
その色があまりにも極彩色で禍々しく
元の白い石とは想像もつかず
あまりの不気味さから持っていたもの
隆二郎
投げれば……いいのか?
結花
そうみたい……
奏多
よし、じゃあ……
美空
私が、入れるの?
奏多
その手に持ってる石をな
私が不思議と身に付けていた石を投げた
美空
うわ……
先程まで青緑だった池が
極彩色になった
結花
き、気持ち悪……
結花
酔いそうね……
波打つたびに闇に合わないギラギラした色が目に映る
美空
もう、行くしか………
奏多
ああ、覚悟を決めないとな……
結花
私は覚悟してる。
結花
舞衣、大丈夫なの?
舞衣
……
舞衣
……
結花
悲しいのは分かるけど
結花
典人さんのために、
結花
やってきたんじゃないの!?
結花
ねぇ
結花
さっきからずっと黙ってばかりで
結花
舞衣らしくない。
結花
そろそろ舞衣も覚悟を決めて
結花
大切な人なんでしょ!?
結花
だったら……
結花
その最期の願いを叶えてあげないの!?
隆二郎
結花ちゃん、落ち着いて……
舞衣
……
舞衣
ごめんね
舞衣
これまで、怖かった
舞衣
ずっと私のことを面倒見てくれて
舞衣
優しくしてくれた人がいなくなって
舞衣
このまま、私は……
舞衣
1人で生きてくのかな、なんて思っちゃってさ
舞衣
私、ずっと無理させてた
舞衣
私がみんなを笑顔にしようと頑張ってたのに
舞衣
逆にそれが典人さんを苦しめてしまった
結花
でも舞衣のその性格のお陰で典人さんは笑顔でいられた
結花
そうなんじゃないの?
美空
最期の姿、笑顔だったよ
美空
きっと、舞衣といられて嬉しかったんじゃないの?
舞衣
……ううっ……
舞衣
ありがとう。
舞衣
私ももう、覚悟決めた。
舞衣
ちゃんと戦うの。
隆二郎
何かあったら俺らに任せろよ。
奏多
よし、みんな大丈夫か?
美空
加奈子?
ずっと黙っている加奈子に声をかける
加奈子
……いいわよ
加奈子
私はここにいるから覚悟は出来てる
加奈子
ほっといて!
加奈子ってこんな子だっけ
違和感を覚えたが
私たちは、
極彩色の池に飛び込んだ―






